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2022/01/02

アドバイザーをつけずに、自ら交渉に挑む売主の注意点

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初めに
M&Aアドバイザーとして沢山の買い手候補とやり取りするようになると、買い手サイドのアドバイザーとして売り案件に立候補することが増えていきます。 中でもインターネット上のM&Aサイトに掲載されている売り案件への立候補となると、売り手が直接案件を掲載している場面に出くわすことが増えます。売り手サイドにもアドバイザーがいるとスムーズなのですが、アドバイザー不在の場合は少し厄介です。 当記事では、どんな点で厄介なのか、実際の現場ではどんなことが起きているのか、などをご紹介していきたいと思います。
目次
1.過去に譲渡経験のある売り手との交渉に注意 2.買い手のアドバイザーとして対応すれば良いのか? 3.売り手のために対価を提供することになるアドバイザー 4.まとめ
1.過去に譲渡経験のある売り手との交渉に注意
過去に一度でも譲渡経験のある売り手の場合、その一度の体験が全てになっているので厄介です。過去の手続きと同じようにことが進むと思い込んでいるため、イレギュラーな対応や依頼には対応できないからです。 変に慣れているため自信も持っており、自分の思い通りにならないと交渉がスムーズに進まないなど、とても厄介なケースの典型だと感じています。
2.買い手のアドバイザーとして対応すれば良いのか?
売り手が、「自分のことは自分で対応できるため、アドバイザーをつけずに自分で対応します」と話を進めることになったとしましょう。こちら(アドバイザー)としては買い手へのアドバイザー業務だけ実施すれば良いので、 「やれるもんならやってみて下さい!!私は買い手のために、買い手が有利になるように交渉を進めちゃおう」 そう思うのが一般的かと思います。果たしてこのスタンスで交渉が進むでしょうか?答えはNOだと思います。なぜなら、買い手に魅力を伝えなければ案件の成約には繋がりませんし、かといってそれを売り手に求めるのは難しいからです。
3.売り手のために対価を提供することになるアドバイザー
売り手にアドバイザーがいる場合(又はアドバイザーが仲介として売り手側の支援もしている場合)、案件ごとに案件の魅力や必要情報を整理し、案件提案書などを作成し、買い手候補の方へ提案を進めます。 ところが売り手サイドのアドバイザーがいない場合は、上記の作業を買い手アドバイザーが実施する必要があるのです。買い手のための対価でもあるのですが、売り手のための対価でもあるので、面白くない、そう思うアドバイザーの方も多いのではないでしょうか。売り手側でアドバイザーを探してもらう、仲介として関与させてもらう、これらが実現できれば良いのですが、売り手は報酬を出来るだけ抑えようと思っているため、なかなか難しいのが現状です。 今の現状では、買い手側のアドバイザーが折れて、買い手に魅力を伝えるための時間を売り手のために捧げている、そんな構図が多いように見受けられます。
4.まとめ
皆様はこんな時、どんな対応をされていますでしょうか? 今の弊社としての対処法は、売り手アドバイザーをつけない(仲介として入らせてもらうことも出来ない)案件は、なるべく受託しない、これしかありません。当該案件しか手元に案件がなく、どうしてもその案件の買い手からの報酬が欲しい、ということであればあればあれば我慢せざるを得ないかも知れません。そうでない場合は、思い切ってお断りする勇気も必要かと思っています。 良い方法、アイデアがあれば共有できますと嬉しいです。国や行政などの支援が拡充されると良いのですが... ライフハックブログでは、当コラムで紹介している様な、これからの時代のM&Aアドバイザー実務についてまとめています。こちらも合わせてお読み下さい。 https://lifehacklp.mangama.jp/ma_practical-business
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