中小企業支援
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2021/05/28

経営者像:経営者に求められる役割

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1 経営理念の設定・承継・浸透
経営者の役割についてまとめましたので紹介します 創業者が設定した「経営理念」は、「会社の社会的存在意義」を定めたものであり、創業者だけでなく、承継した経営者もその経営理念を引き継ぎ、従業員への浸透だけでなく、対外的にも発信していく必要があると思います。 最近、この経営理念を逸脱した経営により、社会的信用を失っている会社が見られます。 経営者は常に「経営理念」設定の創業者の想いを意識して行動すべきと思います。
2 利害関係者への説明
会社は、お客様、従業員だけでなく、会社を取り巻く全ての「利害関係者(ステークホルダー)」に正確な情報を提供しなければなりません。 業績が悪い時、問題が発生した場合、人は隠したり、陰で処理したりしてしまいます。 以前のように、隠蔽工作がうまくいかなく、思わぬところから情報が流出してしまいます。 きちんと説明できるように、後で紹介する施策を行い、問題が発生しない「強い会社」を作る必要があります。
3 環境変化への対応
経営者は、環境変化に敏感であり、それに適切に対応する必要があります。経営が順調であっても、過信することなく、将来発生する可能性があるリスクを速く察知し、また、逆に新たなビジネスチャンスを掴む施策を考えていく必要があります。 32年間の会社勤めの中で、主に「薄型ディスプレイ(壁掛けテレビ)」に関する開発や製造に関わってきましたが、今振り返ると、環境変化(技術動向、お客動向)に対して、結果的に適切な対応が自分自身ができていなかったことを反省しています。
4 経営ビジョンの明示
自分がお世話になった「上司」に関して、以前に、私的な感想を紹介しましたが、やはり「ビジョンを明確に示す上司」のもとで仕事をした時が、最も充実していたように思います。 従業員は、現状だけでなく、先のことも考えています。 会社の力を結集させる面(ベクトルを合わす)でも、経営者が明確に適切でぶれない「経営ビジョン」を提示することが必要と思います。
5 経営目標の設定
上記の「経営ビジョン」の提示は、定性的の面では良いですが、従業員が実際に行動するには目指すべき「定量的」な目標を示す必要があります。 また、銀行など(資金調達先)から借り入れがある場合、返済の根拠を示す必要があります。 ただし、この数値目標、特に短期(1年または半年)に関しては、根拠がある「現実的な数値」が必要で、従業員を含めて、会社関係者で共有することが重要と思います。 無理な目標だと、最近騒がれている会社もありますが、会社内で変なひずみが生じる可能性があります。
6 戦略策定
経営者は、現状や会社を取り巻く環境をよく把握して、会社が存続、発展するために、「戦略」を立案し、関係者に示し、実行することが必要です。 戦略がしっかりしていると、それに基づく、「戦術」が有効に機能すると思います。 個別の方向性がない「戦術」ばかりですと、効果は限定的で、また失敗する可能性が高いと思います。 経営者は、各対象(相手、利害関係者)、例えば、「お客」「競合先」「仕入先」「資金調達先」ごとに、適切な戦略を考え、実行する必要があります。
7 仕組みの構築
会社は、当然、人やさまざまな資源によって運営されます。 その人、資源をいかに有効に使用できるか、その仕組み作りは有用です。 先に示した「経営ビジョン」「経営目標」「戦略」を遂行するにも、「PDCA」が回る仕組み作りが必要です。 そのためには、会社業務をフローで考え、アウトプットを明確にして、それに必要なインプットを定め、そのインプットを有効に効果があるアウトプットにするための仕組みが必要です。 組織がない個人経営においても、業務について「仕組みの構築」は必要と思います。
8 利益とキャッシュフローの確保
会社は、ボランティアだけでは、当然、存続することができません。会社を存続させるためには、利益を出して、CF(キャッシュフロー:利益+減価償却費)を確保しなければなりません。 利益、CFを確保しなければ、借入金の返済もできないし、新たな設備投資も、新規に雇用することもできなく、結果的に会社が存続できなくなります。
9 適切な投資
いくら利益、CFによるお金を持っていても、それを次の成長・発展のために有効に使わなければ意味がありません。 設備投資(あるいは新店舗の設立)、人的投資(新たな雇用、従業員の能力向上)、研究開発投資(新製品、新技術、仕組みの再構築)に、目的を明確にして、適切な投資をする必要があると思います。
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