公開日 | 2020/12/21 |
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記載者 | 株式会社経営支援センター |
財務・税務
【事業承継で使える制度】特例税制・計画提出期間は令和5年3月末まで
バトンズ認定アドバイザー
認定バトンズDD調査人
【バトンズベストアドバイザー2020受賞】 神奈川県を中心に地域密着でM&Aおよび事業承継支援で活動。 年間80社以上の経営相談を元に事業の継続・発展をご支援。
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特例承継計画の提出期限はあと約2年です
本日は、経営承継円滑化法の特例税制の適用を受けるための特例承継計画についてです。
この特例税制はご存知の通り、自社株式が高額になり、その結果贈与税や相続税も高額になる。事業承継が進まないということを防ぐために、贈与税や相続税を猶予して、最終的に免除する。ある意味、贈与税や相続税をゼロにするための特例の制度です。
そして、なぜ、いまさら円滑化法なのか、特例承継計画なのか、
この経営承継円滑化法の特例税制は、平成30年をスタートとした10年間の時限措置です。
ですから、令和9年12月末までに贈与や相続によって自社株式を移転しなければなりません。
さらにこの特例税制を受けようとする場合、事前に特例承継計画という、事業承継の計画書を作成して提出しておく必要があります。いわば、この税制を活用するために、事前に計画書を出すことで活用できる権利を得ておく必要があるわけです。
そして、その計画書の提出も、5年間、平成30年4月から令和5年3月末までに提出しなければなりません。その5年間のうち半分以上を過ぎて、残り約2年となりました。
多少なりとも、この制度を活用したい、もしかしたら使うことになるかもしれないという方は、忘れないうちに、この特例承継計画を作成して、提出しておきましょう。
この特例承継計画を提出したからと言って、かならずこの制度を使わなければならないというものではありません。しかし、特例承継計画を提出しておかないと、この制度は使えません。
特例承継計画の記載方法
でも、承継計画を作成するのは、大変じゃないの?
と思われるかもしれませんが、実は、そんなことはありません。比較的簡単です。
記載する内容としては、
1.会社について、・・・・事業内容、資本金の額、従業員の数を記載するだけです。
2.特例代表者・・・自社株式を所有する、一般的には現代表のかたのお名前を記載します。
3.特例後継者・・・後継者のお名前を記載します。
ここまでは簡単ですね。問題は次からですが、
4.特例代表者(現代表)が有する株式等を特例後継者(後継者)が取得するまでの期間における経営の計画について
社長から後継者に株を渡すまでに何をやりますか?ということです。
・株式を承継する時期(予定)・・・予定としていつ株式を渡しますか?
・当該時期までの経営上の課題・・・現状の会社の経営上の課題は何でしょうか。
人手不足で生産能力が落ちている
特定の取引先に依存してリスクが高い・・・などなど
・当該課題への対応・・・その課題に対してどうしますか?
人材採用活動をこのようにする。
取引先の拡大のために、◎◎をする。などなど
5.特例後継者が株式等を承継した後5年間の経営計画
今度は、後継者が自社株式を承継した後に何をしますか?先ほどは渡す前に、現代表が何をするか、今度は後継者が実質的な経営者になってどうしますか?です。
1年目、2年目、3年目・・・5年間分を記載していきます。
記載例が中小企業庁のサイトにアップされていますので、参考にすればよいと思います。
製造業、サービス業、小売業で用意されています。
これは、あくまで計画ですから、この通りできない場合にペナルティがあるということはありませんから、そこは心配不要です。
そして、これらを記載しましたら、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に見てもらい、ハンコをもらって提出です。
認定支援機関は、顧問の税理士の先生にご相談するか、金融機関、商工会議所などにご相談ください。
特例承継計画の提出
特例承継計画が用意できましたら、所在の都道府県に提出します。
各都道府県のHPなどに提出先が案内されていますので参考にしてください。
ここで受け付けられると受け取った旨の通知の書類が来ますので、取ってきます。
ここで、その計画はおかしい、修正すべき、などの指摘はありませんので安心してください。
提出後、贈与や相続を実行します。
贈与や相続を実行した後に、今回の計画書とは別の申請書を作成して都道府県に申請します。この申請書はちょっと面倒なので顧問税理士の先生に相談して作成しましょう。
ここで、さきほどの特例承継計画を添付して提出です。
都道府県から認定されると認定書が届きますので、税務申告で手続することで、贈与税や相続税の支払いが猶予されます。
ただ、その後5年間は毎年報告書の提出、継続の届け出が、6年目以降も3年おきに継続の届け出が必要です。
会社の組織形態の変更があった場合などの手続きや6年目以降も続く継続的な手続きがありますので、この制度を活用する場合には、十分留意のうえ、活用ください。
この制度を活用するためには、特例承継計画を作成して都道府県への提出が必要です。それには、期限があり、残り約2年です。活用する可能性があるならば、この特例承継計画の作成と提出までは、やっておいてもよいと思います。
ただし、継続的な手続きや状況が変わったときの対応がありうるので、そこは慎重にご判断ください。
自社株式の株価対策は、様々あります。またいつまでに承継しなければならないか、時間がどれだけ残されているかで、選択肢も変わってきます。
具体的な選択肢をテーブルにあげて、シミュレーションしたうえで、どれを選択するかを検討することをお勧めします。
その際は必要に応じて、専門家に相談することをお勧めいたします。
この内容は、YouTubeでも情報提供しています。ぜひご覧ください。
https://youtu.be/etZhXUYtl28