中小企業支援
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2020/11/03

「皆さん、一度でいいから社長になって下さい」

記載者情報
母校の学長の言葉
「皆さん、一度でいいから社長になって下さい」この言葉は、私の出身校の「長岡技術科学大学」の初代学長の「川上正光先生」の約40年前の卒業式での言葉です。 他の内容は全て忘れていますが、なぜかこの言葉だけが印象に残り忘れることができません。 川上学長は、電子工学の大家で、母校の学長の前は「東京工業大学の学長」をされていたと記憶しています。 私が大学には「2期生」で入り、まだ建築工事が併行して行われていて、実験装置もまだまだ整備されていない状態でした。 大学は「産学協同」を重視し、そのため、教授をはじめ半数以上の先生が企業出身者で、私の大学院の研究室の先生も東芝出身者でした。 「皆さん、一度でいいから社長になって下さい」の言葉の前と後を付け加えると、「皆さん、どんな小さな会社でもよいので、一度でいいから社長になって下さい、社長になると全てがわかります」。 この言葉を聞いた時は、普通の製造会社に就職し、そのまま定年まで勤める気持ちでしたので、当然、理解することはできませんでしたが、なぜか心の奥に残っていました。
サラリーマン時代
その後、会社の中では、組織の一員(開発部門の一技術者)としてスタートし、この言葉とは全く縁がない「同じ目的に向かった、ごく少数の集団の中」で過ごしていました。 社会全体の動きにも自分が担当する分野しか興味がなく、会社の業績も「ボーナス額」がどうなるかぐらいしか関心がなく、会社の仕組み、社会保険のこともわからず、ひたすら、実験をし、結果をまとめ・報告、次の実験の繰り返しでした。 それでも経験を積んでいくと、他の会社や国の研究機関との共同の研究開発を担当させて頂いて、その中で、いろいろな方と触れ合うようになりました。 その中で、いままでの自分が「ごく狭い社会」の中にいて、「非常に視野が狭い人間」であることを実感しました。 このことが契機で、通信教育で「中小企業診断士講座」や「MBAマネジメント講座」を勉強し、ビジネス面の雑誌も定期購読したりしました。 これらの中で、少しだけ、「学長の言葉」を意識するようになりました。 といっても、会社での仕事は、多少広くなりましたが、ごく限られた「閉鎖社会」の中ですので、学んだことを実践に使うこともない状態でした。 大きな転機は、北九州市の戸畑に、他のメーカーと共同で、今まで開発していた製品を事業化するために、製造会社が設立され、そこに技術部長として出向したことです。 大きな会社の「傘の下」にいる子会社なので、単独で成り立っている中小企業様と比べると恵まれている環境なので同じとは言えませんが、従業員が「150人位(パート社員含む)」でしたので、その中で、社長や経理部長、営業部長、購買部長、製造部長など、今まで縁がなかった方々と近い距離で接して、会社の中での自分の部門の立場、会社の業績に与える影響を意識することができました。 会社経営としては、非常に厳しい状況で、技術の検討遅れが、直接的・間接的に経営に影響を与えるので、その重要性も再認識しました。 この会社の中で、3人の社長と、何人かの役員と一緒に仕事をさせて頂いて、だんだんと学長がおっしゃった「社長になると全てがわかります」という言葉が、多少理解できるような気になりました。 会社運営に必要な「さまざまな手続き」「資金調達」「経営分析」「現場の管理」「お客様との関係」「各種の仕組みの構築」「人の管理」「アウトソーシング(外部委託)」・・・・を知ることができました。 また、社長をはじめてとした「経営者」の責任の重さ、判断の重要性、一言の重さ(影響力)、そして精神的な苦しみ・楽しみを直接的、間接的に知ることができました。
独立して身にしみる
会社を辞めて「行政書士として独立」し、その後2社の会社を設立し、その代表として「全てを理解すること」が要求されるようになりました。 学長がおっしゃったのは、表面的な面だけでなく、「人間的な面、社会での存在意識」も含んでいると思います。 全責任を持つ、その中で、苦しみも味合うが、楽しみも感じ、夢も持てて、社会に貢献させて頂いて、自分が成り立っていく、「社長になると全てがわかります」、この言葉を意識しながら取り組んでいきたいと思っています。 (株)事業パートナー九州は、中小企業の経営支援、特に「事業再生(経営改善)」「事業承継・M&A・廃業支援」を中心に行っています。 現在、「新型コロナウィルス感染拡大」による影響で、「経営の見直し・ビジネスモデルの再構築」を検討されている企業が多いと思います。 当社にご相談頂ければ、現状をお聞きして、方向性を見つけ出すように、ご支援をさせて頂きます。
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