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放課後デイサービスとパン屋さん?点から線、そして面へ拡がる事業構想

2022年08月16日

今から7年前、20年間の学習塾経営を経て、放課後デイサービスへと事業領域を拡大したのは兵庫県で株式会社アップルベリーの代表も務める藤田弘様。株式会社アップルベリーを含めて、合計5つもの事業会社を手掛ける敏腕経営者の藤田様が、全く畑の異なる飲食業界でパンの製造販売を行う小さな事業を買収したのは何故だったのか。そこには、放課後デイサービスという事業運営から見えてきた厳しく不条理な現実と、それを打破したいと願う藤田様の熱い想いがありました。「点を線へ、線を面へと繋げていく」という経営指針を持ち、迅速かつ意欲的にそれを実現している藤田様に、詳しくお話を伺ってまいりました。

 


 

譲渡企業
社名 有限会社ビリーブハート
業種 飲食業
拠点 兵庫県
譲渡理由 体調不安

 

 

譲受企業
社名 株式会社アップルベリー
業種 放課後デイサービスなど
拠点 兵庫県
譲受理由 新規事業への参入

 


放課後デイサービスという事業を運営していく中で見た、厳しく不条理な現実

Photo by LeeJeongSoo

「長いこと学習塾の経営をやってきたので、何か他の事業を手がけてみたいというのが、この事業を始めたきっかけだったんですよ」と笑う藤田様が、20年に渡る学習塾の経営に加えて放課後デイサービスという新規事業を選んだのは、「大人になって社会に出た後は、勤めた会社が自分に合わないと感じれば辞めることもできるし、新たな会社を探して自分に合った環境を手に入れることもできるが、同じことを子供たちがするのは非常に難しいのではないか」と感じたからであり、自分に合った社会的環境に恵まれず、ひたすら我慢して日々を過ごすか、一番頼れる場所である家に引きこもってしまう子供たちのために、救いの手を差し伸べたいと考えたからなのだそうです。

こうして始めた放課後デイサービス「放課後等デイサービスいろえんぴつ」のホームページには、障害を持つ子供が、社会で自立できるように支援する関連事業が掲載されております。そのような子供たちに寄り添い、彼らが健やかに過ごせる社会を作るのが自分たちの使命なのだというメッセージも綴られています。

そして、放課後デイサービスのみならず、通信制高校や福祉施設との提携など、「フリースクール りんご」に通う子供たちも多面的に支援したいと願う藤田様の想いが感じられる事業内容となっています。

そんな藤田様が、なぜ今回、教育業界とは全く異なる飲食業界のパン製造販売事業を買収しようと考えたのか、その理由をお伺いすると「結論から言えば、放課後デイサービスに通う子供たちの職業訓練所のようなものを創りたかったからです。彼らは、高校に通う年齢になった時点で、全く学校に通っていないか、特別支援学級の高等部に通っているか、通信制高校に通っているかのいずれかなのですが、1つ目はもちろん、実は2つ目も高卒という最終学歴を得ることができないんです。そして、通信制高校を修了した子たちでさえも、世間からの評価は決して高くないため、何か特別なスキルを持っていないと仕事に就くのが非常に難しいという現実があります。

また、放課後デイサービスを要する子供たちは、マルチタスク能力やコミュニケーション能力が高くない傾向にあるため、アルバイトを見つけることも難しい現状があります。初めの頃は、そんな彼らに内職を斡旋していたのですが、決してシンプルな作業ではないのに1個あたり1円程度しか賃金がもらえなくて。ある時、私たちが納品している商品の最終売値を知って、不当に搾取されていると感じました。

そこで、これはもう自分で用意するしかないな、と思ったんです。自分でやっていれば、何かミスやクレームがあった際にも自分で対応できますし。そこから、彼らにとって職業訓練所となるような、何かスキルが身につけられるような事業に興味がわき、いろいろと探し始めたんです」とのこと。

こうして、藤田様の中で、この度のパン製造販売事業の買収につながるM&A検討がはじまったのでした。

買収先を選ぶ際に重視したのは収支状況ではなく、その事業の将来性と可能性

ご自身が運営されている放課後デイサービスに通う子供たちのキャリアを考え、彼らにスキルアップの機会を提供するための買収先を探していた藤田様が最終的に選ばれたのは、有限会社ビリーブハートが運営しているパン製造販売事業でした。

それまでにも、いくつかパン製造販売事業を見ていらしたという藤田様が、最終的に本案件を選んだ理由や、検討プロセスにおける判断基準は何だったのかを詳しくお伺いすると「大前提として、中で作ったものを簡単な接客で販売できるような事業を探していました。あとは、回収の目処が立つのか、買い取り価格が事業価値に見合っているのかも気にしていました。これは、黒字になっているかどうかという意味ではありません。たとえ、赤字であったとしても、そこに正当な理由があり、正常な状態に戻すことで収益が上げられるのであれば、事業価値は高いと判断していました」とのこと。

「その点において、有限会社ビリーブハートの代表を務める澤田さんの話を聞く限り、彼が事業譲渡を決断した理由は真っ当だと思いましたし、ちゃんと仕組みさえ作れば、現状から脱却できる可能性も十分に感じました。私の事業所から、かなり離れた立地は少し気になりましたが、私がエントリーをした当日にお電話をくださり、熱心に事業のことを語ってくださった澤田さんの真面目で誠実なお人柄や、高い値段で売りつけようとしていない姿勢に好感が持てて、彼のことも、彼がこれまで築いてきた事業そのものも信頼できると感じたんです」とも。

こうして、おふたりの交渉はトントン拍子に進んでいき、僅か2回ほどの面談で十分な相互理解を得て、エントリーから1ヶ月足らずというスピード成約に至ったのでした。

この先に目指すのは、サスティナブルな事業を創り出し安定経営が実現している未来

本案件と並行して、訪問看護ステーションの売却案件も探していたという藤田様に、最後に今後の事業展開についてお伺いしてみると「まずは、このパン屋さんを地元の方々に愛されるお店にしたいですね。澤田さんの想いも一緒に引き継いだと思っているので、彼に追いつくのはもちろんのこと、彼を超えようという気持ちでやるつもりです。

実は、澤田さんには一緒にお店をやってきた息子さんがいるのですが、一旦、経営から離れてプレッシャーのないところで働きたいという理由からお店に残らないという決断をされました。でも、私は彼に2年くらいしたら店に戻ってきてほしい、楽しみに待っていると伝えているんです。なので、胸を張って彼を迎え入れることができるように頑張ります。

また、事業規模をもっと大きくしていきたいと考えているので、良質なシナジー効果が期待できるような案件があれば積極的に取り込んでいきたいと思っています。そうやって事業を紡いでいって、持続可能で安定した経営をしていきたいです」とのこと。

強い使命感を持って事業を営み、果敢に挑戦し続ける藤田様は、社会のため、子供たちのために考え抜ける素敵な事業家でいらっしゃいました。

藤田様と株式会社アップルベリーの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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