廃棄物・資源循環を専門とする建設コンサルタント会社として活動する「株式会社環境デザイン設計事務所」が、北海道でプラント関連工事業を営む「株式会社瀧川工事(仮称)」を引き継ぎされました。今回、株式会社環境デザイン設計事務所の代表取締役である小川様に、事業承継をされた背景についてお伺いしました。
譲渡企業 | |
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社名 | 匿名 |
業種 | 建設業・設備工事業 |
拠点 | 北海道 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受企業 | |
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社名 | 株式会社環境デザイン設計事務所 |
業種 | 建設コンサルタント業など |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
発注側と受注側。互いの強みを活かし、一貫した事業展開を進める
廃棄物、排水処理、リサイクルやエネルギーに関するコンサルティングを手掛ける株式会社環境デザイン設計事務所は、主に地方自治体が行う一般廃棄物の調査及び計画の策定や、処理施設の整備・運営に関する支援などを行なっています。
本企業の代表取締役である小川様は、もともと所属していた大手の総合建設コンサルタント会社で廃棄物のみならず都市開発・土木関係等の幅広い知識や経験を培い、小規模の廃棄物専門コンサルティング会社へのご転職を経て、2013年に株式会社環境デザイン設計事務所を設立されました。
M&Aは、自身のこれまでの知識や経験、もしくは本企業で手掛けている廃棄物処理の分野を軸に、アメーバ戦略を目指して事業探しをスタートされたと話す小川様。いくつかのM&Aプラットフォームを利用して事業を探されている中で、バトンズは無料で事業探しができる上に、バトンズ側からの情報発信も多く、多種多様なお知らせがあることが魅力に感じる点であるとお話しいただきました。
今回引き継ぎされた会社は、多数の大手プラントメーカーを顧客として、プラント関連機器の製作と設置を手掛ける創業50年を超える歴史ある会社。プラントメーカーの多くは廃棄物処理施設を作っているため、業界としては重なる部分があり、自治体やプラントメーカーに対し、環境デザイン設計事務所は発注側、瀧川工事は受注側として双方からアプローチすることができる点は、交渉に進む上で魅力に感じたポイントのひとつでした。
二度の交渉決裂を経てのご成約。その裏側と、成約に至った背景とは‥
本案件は、スズカFAS株式会社の立藤様が売り手様側のアドバイザーとして入られていました。
実はご成約するまでに、二度に渡ってお断りのご連絡があったとのことで、三度目の交渉によってご成約した経緯がありました。
一回目のお断りの理由として「この会社をどうしていきたいのか、雇用の継続をしてもらえるのかが伝わらず、不安を感じたと社長様からお話があった」という旨を、アドバイザーの立藤様を経由してお聞きしたそうですが、交渉決裂後に売り手様側から再アプローチがあったそうです。
「“まだ引き継ぎをする気持ちがあるなら、もう一回話をしたい”というお話をいただいて、交渉のチャンスをもらいました。結果的に二度目も決裂することになるんですが、その時は創業家ご親族の株主の方から“見知らぬ人間に会社を譲るのか?”という反対意見があったという背景がありました。
私としては、弊社に問題があって断られたわけではなかったので、会社をどうしていきたいかということがしっかり伝わればご納得いただけるのではないかと思いました。事業計画書を作り、今後会社をどうしていきたいか、引き継ぐことでお互いの会社にどういう相乗効果があるのかを説明する時間をいただきたい旨を電話で伝え、三度目にして成約に至ったという経緯になります。」
事業課題と引き継ぎ後の展望。交渉時に重視したのは、事業の明確化
成約までに紆余曲折があった本案件。交渉の際に気をつけられた点について、小川様は「自分たちがなぜ引き継ぎをしたいのか、買収金額はいくらを希望していて、その理由は何なのか、といった細かい部分まできちんとお伝えするように心がけていました。
譲渡する側もいろんな想いがあるかと思いますが、こちら側も、自分たちの事業の課題点や引き継ぐことによってどうなることを望んでいるのか、といったことを明確にしておかなければ、M&A成立後に問題になるかもしれませんので、しっかりとこちらの想いや情報をお伝えすることは重要かと思います」とのこと。
2021年6月に無事合意に至りましたが、譲渡前に譲渡企業側で新たな受注が動いていたため、実質的な引き継ぎはそれが終わり次第ということでまとまりました。その期間、小川様は毎月のように瀧川工事へ通い詰められたそうで、結果としてその期間が従業員様との関係性を培う時間としてプラスに働いたそうです。
「従業員の方々とは、引き継ぎ前に一人一人面接をさせていただいて、今後どうしていきたいのかなど、聞きたいことがあればお答えする時間も設けていたので、期待をもって前向きに捉えていただけたんじゃないかなと思っています。また、具体的に引き継ぐ3月までの約1年間を通して顔見知りになったので、代表が変わることに対する抵抗感はその期間で緩和できたのかなと思います。」
互いの強みを活かし、更なる事業発展へ新たなスタート
今回のM&Aは、会社のビジョンや将来性に対する期待がご成約のポイントとなったのではないかと感じています。ご成約の決め手となった今後の展望について、最後に小川様へお話を伺いしました。
「瀧川工事さんの課題のひとつに、従業員の高齢化がありました。老朽化が進んでいる建物の設備投資をするなど、まずは新しい人が入りたくなるような会社にしていければと思っています。外部的には、顧客拡大に積極的に取り組んでいきます。
これまではB to Bのお客様がほとんどでしたが、今後はB to Cも取り組みとして進めていく予定で、廃棄物処理のノウハウを使った、一般家庭に売れるようなものを施策として考えています。既存のお客様との関係を継続させつつ、今後はさまざまな取り組みを検討していきたいと思っています」とお話いただきました。
小川様と株式会社環境デザイン設計事務所の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
この案件を担当したスズカFAS株式会社の紹介ページ
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