SDGsが世界的に重要視され、地球環境への意識がいっそう高まる昨今ですが、リサイクル・リユースへの注目度も高まっています。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で多くの業界が経済的に大打撃を受ける中で、リサイクル・リユース業界は今どのような状況に置かれているのでしょうか。そんなリサイクル・リユース業界について詳しく分析をしながら、現状と今後の動向について詳しく解説していきます。
リサイクル業界・リユース業界の現状や課題
そもそもリサイクルとリユースは、別の意味を持つ言葉です。リサイクルは「再資源化」、リユースは「再利用・使用」を指します。どちらも、衣料品やCD・DVD・ゲームソフト、家具や本などの中古生活用品を仕入れて売ることで、これらの製品を再利用する産業です。早速、リサイクル業界・リユース業界市場規模と、業界が抱えている課題について見ていきましょう。
市場規模は拡大中
リサイクル・リユース業界の市場規模は現在、拡大傾向にあります。リサイクル業界の業界紙であるリサイクル通信の調査によると、2020年の日本の市場規模は前年比2.5%増の2兆4169億円となりました。市場規模は11年連続で成長しています。さらに同紙の予測では、2022年には業界の市場規模は3兆円を突破し、2025年には3.5兆円にまで拡大する見込みです。
このような好調の背景にあるのは、環境意識への高まりでしょう。SDGsが世界レベルで推進されたことで、再利用や再資源化が今まで以上に推奨されるようになっています。今後もSDGsへの意識は高まり続け、それに伴い市場規模は拡大していくと見込まれています。
またコロナ禍により中古品売却・購買が活発化したことも、業界の成長を加速させました。コロナ禍では多くの人がオフィスへの出社勤務から、在宅勤務に切り替えた結果、部屋の整理をする人が増えて不用品を買い取りサービスに出す人が増加しました。テレワーク需要として、家具やパソコンを中古で買う人が増えるなど、多くの業界がコロナ禍の経済的打撃を受ける中、リサイクル・リユース業界は社会情勢によるニーズの顕在化によって成長を押し上げられたと見て取れます。
しかし販売経路別に詳しく見ていくと、すべての業態が好調なわけではないことがわかります。店舗での中古品の販売は、コロナ禍の影響で休業・時短営業が強いられたことも関係し、前年比8.3%減という厳しい数字となっています。一方、インターネット経由の販売は、BtoCのネット販売で2.0%増、フリマアプリなどのCtoCの販売で前年比14.7%増という好調ぶりを見せています。
店舗型からネット型へ
かつてのリサイクルショップの多くが店舗型の業態をとっていました。しかし先述のように、店舗での買い取りや販売は苦戦を強いられており、大手販売店であるゲオホールディングスやブックオフグループホールディングスなども、実店舗からオンライン店舗に業態を広げつつあります。また、販売業態を実店舗からオークションサイトやアプリへと業態を移行する企業も増えており、今後はますますオンライン取引が主流になることが予想されます。
同時に、海外の顧客を取り込むためのインターネット移行も重要視されています。コロナ禍以前は、来日した外国人観光客に向けた実店舗での中古品販売がさかんに行われていましたが、感染拡大の影響で外国人観光客の客足が途絶え、難しい状況となっています。そのため各社はネットでの売買に切り替え、グローバル市場に乗り出し始めてきています。
業界内の競争激化が課題
業態をECに拡大する企業が増えたことで、業界内の競争はさらに激化しています。店舗型の経営で業績を上げてきた大手が、今やECで資本力をつけながら実店舗とのハイブリッド型の事業を展開しています。これにより、店頭取引を行っている小規模な店舗は、資本がないためECへの移行が困難で店舗の売り上げも厳しくなり、身動きの取れない状況に置かれる可能性が高くなるといえるでしょう。
さらに、業者間の差別化が難しくなってきているのも大きな課題です。ECでは、店舗型販売と違い商品の陳列がないため、取り扱える商品数の上限は設定されていません。そこで多くの業者が取り扱い品目の幅を大きく広げて専門性が薄れるため、扱う商品の差別化が困難となっています。
またインターネットで価格を検索できるようになったことで、顧客が簡単に最安値の商品を購入することが可能となりました。自社製品を選んでもらうために、業者は少しでも安い金額で売りに出そうとするため、価格競争が激化し厳しい戦いの中に置かれています。
リサイクル業界・リユース業界の今後
全体として市場拡大傾向にありながらも、業態によって明暗が分かれているリサイクル業界・リユース業界ですが、業界の動向として今後、どのような変化を見せていくのでしょうか。
今後もリサイクル・リユース市場は成長していく
SDGsを意識した消費者は、「物を大切にする意識」を持って暮らすようになるため、これまで捨ててしまっていた物を中古品市場に売りに出すようになっています。事業戦略としてSDGsを推進する企業も増え、リサイクル・リユース市場はますます成長していく見込みです。
また、フリマアプリやネットオークションは、世の中にさらに浸透していくでしょう。中古品を売買することが当たり前になれば、これまで中古品に抵抗を持っていた消費者も、徐々に抵抗を感じなくなる可能性もあります。実際に初めて中古品を購入したことで、中古品の経済的利点を実感し、中古品の購入が自然と視野に入るようになる人もいるでしょう。利用者を増やしながら、業界は成長を続けていくと考えられます。
CtoCのEC市場のさらなる拡大
メルカリの急成長などからもわかるように、フリマアプリを使った個人間の取引は勢いよく浸透しています。経済産業省の統計では、2020年のCtoCのEC市場の市場規模は、前年比12.5%増の1兆9,586億円でした。
アプリを使用した取引には手数料がかかるケースが多いですが、一般的には業者を介するよりも経済的にやり取りができます。ただ、もちろん個人間の取引には、偽物を販売したりと、トラブルが発生したりする一定のリスクはあります。CtoCのEC市場は縮小する気配がなく、フリマアプリは今後も中古品売買の重要なプラットフォームとしての立ち位置をキープし続けるでしょう。
リサイクル業界のM&Aはバトンズにお任せください
リサイクル業界・リユース業界は、業界全体としては好調ですが、業態によって明暗が分かれています。このような状況の中で事業の存続を図るためには、より安く商品を仕入れるルートを開拓したり、店舗エリアを拡大したりする必要があるでしょう。しかしゼロからルートを開拓したり、出店先を探したりするためには、膨大なコストがかかります。
そんな事業の拡大を効率的に叶えるためには、M&Aが有効です。M&Aを行えば、買い手は新店舗の選定を行ったり、従業員の育成をしたりする手間をカットして、すぐに事業のスケールを拡大できます。スケールメリットを得ることができるので、ECへと業態を広げるためのシステム導入費用もまかなえる可能性があり、事業の効率化が大幅に広がるでしょう。
一方、売り手にとっては従業員を守ったまま、売却費用を手に入れることができます。経営難だけでなく、後継者不足に悩んでいる場合には1つの選択肢としてM&Aを検討してみてはいかがでしょうか。
M&Aのマッチングプラットフォームであるバトンズでは、リサイクル業界・リユース業界の案件を多数取り揃えています。士業やコンサルティングをはじめとする1,800社以上の専門会社と提携しているため、初心者でも安心してM&Aを行うことができます。またバトンズでは、平均3ヵ月という早いスピードでの成約を実現しています。専門家によるサポートを受けながら、安価でスピーディーなM&Aを実現することができます。
まとめ
大きな転換期に置かれているリサイクル業界・リユース業界ですが、成長傾向にあるため、M&Aなどの経営戦略を立てることができれば事業拡大の実現も可能でしょう。バトンズは、リサイクル業界・リユース業界における本気のM&Aを支援しています。企業のさらなる成長のために、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。
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