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ベンチャーがM&Aを目指す理由は?どんな時にすべきか

2022年03月04日

ベンチャー企業の優れたサービスや製品を広く普及させるための方法の1つは「自社を売るM&A」です。発展途上にあるベンチャーの事業を着実に伸ばしていくにはあらゆる経営資源(資金・人材・技術・経験など)が必要になってきますが、多くの場合 そのような資源は十分とは言えません。この問題を解決するのが自社を売るM&Aです。

必要な資源を兼ね備えた企業から資金やノウハウ、人的リソースの提供を受けたり、経営の主導権を委ねたりして自社の弱点を補完ことで、単独では成し得ない急速な事業成長の実現を可能にするという方法です。

この記事ではベンチャー企業が売り手の立場でのM&Aのメリット・デメリット、成功の秘訣や検討すべき場面について解説しています。

 

ベンチャー企業とは

ベンチャー企業とは1970年代に登場した和製英語です。実は統一された明確な定義はありませんが、概して「独自の技術やアイディアを用いた新事業の拡大を目指す新興企業」と言われています。

これとよく混同されるのがここ10年アメリカで広く浸透したスタートアップ企業という概念です。同じく統一の定義はありませんが「革新的な技術やアイディアによって社会問題を解決、または新たな価値を創出し、ビジネスモデル化(実用化)して市場の潜在需要を掴む新興企業」という意味合いです。シリコンバレーの元起業家でスタンフォード大学やカリフォルニア大学等で教鞭をとるスティーブ・ブランク氏により提唱されました。

両者は新興企業が新しいことに挑戦するという点が類似していますが、スタートアップはより短期的な目標に向けて成長していく企業を指します。一方ベンチャーはスタートアップと比べて中長期にわたる成長戦略を持ち、ある程度大きくなった企業も含む呼び方です。

 

ベンチャーにとってのM&A

M&Aとは企業の合併や買収のことですが、この記事では売り手として事業を売却することを意味します。ベンチャー企業の創業者がM&Aを行う主な目的は2つです。1つ目は自社に足りない経営資源を補完して事業拡大を実現するための成長戦略。2つ目は事業を売却することで創業者利潤を獲得するためのEXIT戦略です。

 

 M&Aとは

Merger & Acquisitionsの略称で「合併と買収」と訳されます。売り手としては、創業者個人による株式売却、ベンチャー企業(法人)による事業売却、企業同士の合併などさまざまな手法が存在しますが、この記事ではM&Aを「ベンチャー企業の創業者が買い手に株式の過半数と会社経営の主導権を譲渡すること」と定義します。シンプルで分かりやすく代表的なM&A手法です。

 

成長戦略としてのM&A

発展途上にあるベンチャー企業は、自社に足りない経営資源を補完して事業を拡大するために、成長戦略としてM&Aを選択することがあります。例えば、認知度は低いが優れた製品・サービスを有するベンチャー企業が広告宣伝の強化を目的としてM&Aを実行するケース。資金やノウハウ、専門人材を提供可能な企業に共同経営者になってもらうことで、マーケティング機能を補完して自社単独では難しかった成長戦略の計画が可能になります。

 

EXIT戦略としてのM&A

EXIT(出口)戦略は主にM&AとIPO(株式公開)に分けられます。EXITとは、創業者がベンチャー事業を売却し、経営主導権を買い手に引き渡すことで売却益を獲得することを指します。さらに会社の借入金に対して創業者が個人保証を行っていた場合は、会社債務への弁済責任を個人的に負う立場ではなくなりますので、個人保証を外すことが可能になります。

 

ベンチャーにとってのM&Aのメリット

ベンチャー企業の創業者にとってM&Aはどのようなメリットがあるのでしょうか。主な4点について確認しましょう。

1点目は後継者問題の解決です。事業継続に関わる重要な経営課題ですが、通常は資金や人材が豊富な優良企業が経営を引き継ぐことになりますので、頼もしい後継者と言えます。

2点目は短期間でのEXIT(事業売却による売却益獲得)が可能なことです。IPOは最短でも2年半を要し、厳しい要件がありますが、M&AであればいつでもEXITが可能で、手続きも最短3日で終わらせることができます。

3点目は事業成長の加速です。自社と買収先企業の経営資源の補完性が高ければ、これを有効活用することにより自社単独では成しえなかった急速な事業拡大が可能になります。

4点目は創業者による売却益の獲得です。所有する会社株式と引換えに多額の現金を手にすることができます。

 

後継者問題の解決

ベンチャー企業に限らず多くの企業にとって後継者の確保は重要な経営課題です。その問題の解決策の一つがM&Aによる事業承継です。資金や人材が豊富でないと会社を買収することは難しいので、通常、買い手は資金力や組織力を兼ね備えた優良企業となります。経営資源が豊かな企業が買収した企業の事業を引き継いで発展させる目的でM&Aを実行しますので、安心できる後継者への事業承継が実現し問題の解決に繋がります。

総務省の調査によると2016年時点で日本企業全体の1/3(127万社)が後継者不在による事業存続のリスクに直面しており、後継者問題は創業者にとって対策を講じなければならない重要な経営課題です。

 

短期間でEXIT(事業売却による売却益獲得)が可能

ベンチャー企業の創業者が事業を売却してEXITする際は主に2つの方法が考えられます。1つ目はIPO(株式公開)により株式市場に上場して一般投資家に自社株式を売却する方法で、2つ目はM&Aにより第三者に自社株式を売却する方法です。IPOは大規模な事業を対象としておりその影響度や手続きの煩雑さにより着手から実現までに最短で2年半の期間を要しますが、M&Aの場合は小規模かつシンプルな事業であれば最短で「3日」という報告もあるほどスピーディです。M&Aは売り手と買い手が合意すれば成立しますので、IPOと比べて短期間でEXIT可能です。

 

事業成長の加速

買い手は多くの場合、買収した事業に自社の経営資源を投入して相乗効果を生み出すことで、事業の成長加速を目指します。事業拡大が実現し業績が伸びれば、一定の株式を保有する創業者やそこで働く社員も恩恵を受けることにつながります。有望なベンチャー企業は優れた製品やサービスを限られた市場に提供していますが、買い手から資金・人材・技術・顧客網・情報・関連事業などの経営資源の提供を受けることで、製品・サービスの改善やターゲット市場の拡大による事業成長の加速が可能になります。

 

売却益を得られる

創業者は事業売却により所有株式と引換えに多額の現金(売却益)を手にすることができます。売値はベンチャー事業の将来性に大きく左右されますが、市場優位性を長く保持できる見込みがあれば高額な値がつくでしょう。また手放す株式の割合に応じてM&A後の会社経営への関与度合いが変わってきます。全ての株式を手放せば当該企業の経営からは退くことを意味し、一定の株式の所有を継続するのであれば一経営者として買い手と力を合わせて事業の発展に尽くすことが一般的です。どの程度の株式を売却するかについてはM&A交渉の場での双方の意向次第となります。

 

ベンチャーにとってのM&Aのデメリット

続いて創業者がM&Aにより経営権を手放すことのデメリットをみていきましょう。

1点目は経営自由度の低下が挙げられます。従来は創業者の裁量で社内の意思決定が行われてきましたが、M&A後は重要な判断は買い手に委ねられることになります。

2点目は社員に対するケアです。大きな環境変化には誰しも不安を抱きますので、それを取り除くために密なコミュニケーションが求められます。

3点目は会社の売値(企業価値評価)がIPOと比べ低くなることです。M&AはIPOと比べると評価額が低めになる傾向があります。

裁量権を買い手に委ねることになる

M&Aにより株式を譲渡すると、出資比率に基づく重要な経営判断の裁量権を買い手に委ねることになります。創業者の目指す方向性が買い手と合致していれば問題にはなりませんが、異なる場合は裁量権を持つ買い手側の意向が優先され社内で混乱を招くことにつながりますので、そのような事態を回避するために創業者はM&A実行前に事業の方向性・経営方針に関する買い手の考え方を確認しておく必要があります。

 

社員のケアを怠ると失敗に

企業の日々の事業活動を支えているのは現場で働く社員です。社員のケアを怠り離職や業務効率低下を招けば業績低迷に繋がりかねません。これを防ぐためには社員との密なコミュニケーションを通した不安や不満の解消が鍵となります。

買収が行われる事実を社内に共有できる状態になり次第、社員との対話を開始し、これまでの貢献への謝意と共にこれからの会社運営体制や待遇など社員が心配する点について継続的にコミュニケーションをとって不安を解消することが重要です。また買い手が自社の企業文化や経営方針を押し付けてくるようなケースでは、ベンチャーの社員にとって居心地が悪く離職に繋がる恐れがありますので、社員のマネジメントについてはM&A交渉段階から注意を払う必要があります。

 

企業価値評価はIPOより低め

IPO(株式公開)では不特定多数の投資家が買い手となりそれ以降も株式の自由な売買が行われます。そこに至る過程で監査法人や証券取引所が企業の財務状況、将来性や経営体制などを厳しくチェックしますので、上場審査に合格するということは優良企業の証でもあり企業価値評価(株価)は高まります。一方 M&Aでは、買い手は一企業でありIPOほどに有効性・信頼性を伴うチェックは難しいため、企業評価価値は低めの傾向となります。

 

M&Aを成功させる秘訣 

M&Aを成約まで結びつけるためには状況に応じてさまざまな対応が必要になってきますが、ここでは重要な2点の秘訣をご紹介します。1点目は業績が伸びている時にM&Aを行うことで、2点目はPMI(M&A実行後の会社統合対応)を事前に確認することです。ベンチャー企業の将来性や潜在性が買い手にとって魅力的に映るような時期と方法をとりましょうという主旨です。

 

業績が伸びている時に行う

買い手はベンチャー企業の事業がM&A後にどれだけの利益をもたらしてくれるかという観点でM&Aを検討します。その際に事業計画(未来の業績の見込み)を立てますが、その土台となる情報源が日々の事業活動の結果である業績値の推移です。業績が伸びていれば将来性が高く評価される可能性が高くM&Aの成約率も高まります。

また、買い手の社内での意思決定プロセスを考慮しても、業績が上昇基調であることは非常に好材料です。

 

PMIを確認する

まずPMI(Post Merger and Integration)とは、買い手企業が売り手企業をどのように管理・統治していくかの枠組みを決めて実務まで落とし込んでいく買収後の統合対応を指します。このPMIでどれだけ効果的な相乗効果が期待できるかについて、売り手と買い手の双方で事前確認できるかがM&A成否を大きく左右します。

例えば、ベンチャー企業が持つ優れた製品・サービスを買収元大企業のグローバルネットワークを通して拡販するなどの両社の強みを活用した相乗効果を見出すことができれば、買い手にとってM&A実行に対する魅力度が高まり成功率も向上します。

 

ベンチャーがM&Aをすべき場合 

ベンチャー企業の創業者はどのような場合にM&Aを検討すべきでしょうか。まずは事業拡大を目指す場合です。自社に不足している経営資源を提供可能な企業からの支援を受けたい時にM&Aは有効な方法です。次に利益確定をしたい場合です。保有株式を譲渡することで売却益を確保し、すぐにキャッシュを得ることができます。最後に資金調達をしたい場合です。「借りる・一部出資してもらう」に加えて「会社ごと買い取ってもらう(M&A)」を選択しに加えることで資金調達実現の可能性を高めるという主旨です。

事業拡大を目指す場合

歴史が浅いベンチャー企業はさまざまな経営資源が不足していることが一般的です。これを補い事業拡大を加速するために有効な方法がM&Aです。経営資源が豊富な大企業の傘下に加わり人材・技術・顧客網・情報・仕入購買力などの支援を受けることで、自社の弱点を補強して事業の成長に結びつけます。

 

利益確定をしたい場合

創業者個人が保有する株式を第三者に譲渡することで売却益を手にすることができます。足元でベンチャー事業が順調であったとしても、市場の環境変化が著しい現代においては数年先の状況は不透明です。創業者が心血注いで築き上げてきた成果が収穫可能な機会が目の前にあるのであれば、利益確定を行うことは選択肢の一つかもしれません。株式を全て手放した上でまた新たな事業に挑戦することもできますし、一部は保有を続けて現行の事業に引き続き注力することも可能です。

 

資金調達をしたい場合

倒産リスクの観点からベンチャー企業は銀行からの借入や投資家からの出資を受けられないことがあります。しかし何か一つでも第三者の目に留まる長所(技術・製品・サービスなど)があれば、会社を丸ごと買収してもらうことで買収先企業の信用力を活用した資金調達に繋げることが可能になります。資金提供者の立場を考えると、「貸す・一部出資する」など経営への関与が限定的な場合と比べて「会社ごと買い取って」経営を自身で管理する方が都合が良いケースもありますので、資金調達実現の可能性を高めるために選択肢の一つとしてご紹介しました。

 

【まとめ】ベンチャー起業家はM&Aをひとつのゴールに

ベンチャー企業の創業者にとってのM&Aは、ベンチャー事業の成長戦略として、また創業者の利益確定のためのEXIT戦略として活用できます。メリット・デメリットを理解して状況に応じた適切な方法を選択することで、会社の将来の目標に向かって前進していくことができる効果的な経営手段です。

そして 希望条件でM&Aを成立させるには、業績好調時のタイミングと、買い手企業との経営統合プロセス(PMI)の共有による相乗効果の事前確認が重要です。最後に ベンチャー企業がM&Aを検討すべき場面は、事業拡大・利益確定・資金調達を企図する時。となります。

適切にM&Aを実行することで個人としての利益獲得、並びに法人としての事業拡大が両立できますので、創業者はM&Aを一つのゴールに据えることをおすすめします。

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