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ベンチャーがCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル) と組む魅力とは!CVCの仕組みや役割を徹底的に解説!

2022年02月10日

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)をご存知でしょうか。CVCとは、事業会社がベンチャー企業とのシナジーを求めて投資を行うために設立したVC(ベンチャーキャピタル)のことです。創業を志す人や創業間もない人にとってはとても頼りになる存在です。近年、このCVCの数が増加し、ベンチャー企業から熱い視線を受けています。

今回は創業間もないベンチャー起業向けに、CVCと組む魅力について詳しくご紹介します。

 

ベンチャーにとって魅力的なCVC

2010年代半ばころから、大企業など事業会社によるCVCファンド設立が増加しています。ベンチャー企業にとっても資金調達や事業連携の選択肢の一つとして、魅力的な位置づけとなっています。特にCVCは、大企業とベンチャー企業の事業連携によるオープンイノベーションが欠かせないファクターとなっており、ベンチャー企業から見てもCVCからの出資を受ける目的の1つとなっています。

CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)とは何か?

CVCとは、投資事業を主体としない事業会社によって設立された、ベンチャー企業への投資を行う機関(あるいは投資を実行すること)です。従来、ベンチャー企業への投資は金融業者など投資会社を中心に行われていましたが、近年、投資を本業としない事業会社がベンチャー企業に出資するケースが増加しています。

CVCの特徴は、事業会社の既存事業とのシナジーや今後参入する新規事業への貢献などによってベンチャー企業の価値を評価していることにあります。また、資金面の支援だけでなく、技術連携やビジネスパートナーシップなども提供して全面的にベンチャー企業を支援する事例が増えています。

 

CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)とVC(ベンチャーキャピタル)、役割の違い 

CVCと従来の「VC」との違いは、その投資目的にあります。
CVCもVCも、ベンチャー企業に投資を行う点では同じですが、その投資目的には大きな違いがあります。

VCの目的

VCファンドの目的は、主に「キャピタルゲイン」です。金融機関、機関投資家等から資金を集め、将来性のあるベンチャー企業に投資を行います。ベンチャー企業の将来性を評価し、数年後のIPOやM&Aによる金銭的なリターンが狙いとなります。そのため、投資の対象となるベンチャー企業は、出資企業の事業との関連性は必要ありません。

CVCの目的

CVCの目的は、事業戦略の実現による事業の拡大や収益性の向上です。そのため投資対象は、事業連携や子会社化などにより新たな価値を生み出すことができると評価・判断されたベンチャー企業に限られます。CVCは、基本的には事業会社の投資部門やその金融子会社が設立・運営することが多くなっています。

 

【CVCとVCの主な違い】

CVC VC
狙い  事業シナジー(キャピタルゲイン)  キャピタルゲイン
資金の出し手  事業会社(大企業)  機関・個人投資家、事業会社
意思決定  事業会社の投資部門、投資子会社  VC
ファンド  CVCファンド  VCファンド

 

CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)のメリット

事業会社が求めているのは、「金銭的リターン」だけではありません。

ベンチャー企業との提携により得られるシナジー効果に加え、時間的、金銭的なメリットもあります。

シナジー効果

事業会社は、経営戦略に基づいて3~5年の「事業計画」と10年超の「経営計画」を策定します。ポイントとなるのは3つ。「製品・サービス」、「市場」及び「時間軸」です。

シーズの段階から量産化に至るまでのマップを「製品・サービス」や「市場」の視点で具体化していきます。既存事業で培った技術や市場をベースにしますが、自社にリソースがない場合や時間が必要な場合には、ベンチャー企業を自社の戦略に取り込むこととなります。それを実現する手段がCVCであり、その目的は事業シナジーの創出となります。

事業シナジーだけでなく、経営シナジーも重要となります。事業シナジー効果を最大限に発揮するためには、「異なる企業文化を取り入れること」と「異なる時間軸で動くこと」など経営シナジーを実現する必要があります。

自社の経営資源や自社主導でのM&Aでは、事業のハンドリングは過去の企業風土の影響を強く受けることになります。新規事業を立ち上げる人材が自社社員だけでは、自社の価値観を超えて物事を判断していくことが難しい場合があります。

一方で、外部からの人材と提携し彼らに事業や経営のハンドリングを任せると、新たな企業文化や時間軸を取り入れることが可能になります。ビジネス環境の変化が急速な現在、新たな企業文化と時間軸を取り入れることが事業のシナジー効果を高めるだけなく、新たなイノベーションを生み出す可能性が高まります

 

コスト削減

自社で新たに製品やサービスを開発し市場に投入するためには、莫大な費用と時間が必要です。特に、事業部門の壁が高い大企業で新規事業を立ち上げるためには、経営資源の再配分など、社内に向けての多くの調整が必要になります。

ベンチャー企業に出資することで、今後成長が期待できる商品・サービスの開発や市場開拓を、ベンチャー企業に委託すれば、新規事業の展開コストを抑制することができます。

 

CVCの仕組み

CVCは投資可否だけでなく、それを判断するための調査や投資実行後の支援など、さまざまなプロセスで意思決定を行います。具体的にCVCがどのような仕組みの中で、どのような役割を担っているのかを解説します。

 投資の意思決定プロセス

各CVCの投資方針や投資領域による違いはありますが、一般的なCVC投資プロセスは、次の通りです。

案件発掘 CVCのネットワーク、イベント等による案件発掘や投資企業からの直接の申込を通じて、ベンチャー企業を発掘する
調査・分析 秘密保持契約を締結後、事業内容や財務情報について調査・分析(デューデリジェンス/DD)を実施する。状況により周囲へのヒアリングを実施
意思決定 投資委員会などによる審査とその結果を踏まえて、投資可否や投資条件を決定。審査はCVCが設定する指標や事業領域を元に企業価値を判定
投資実行 契約書等の投資に必要な書類を整えて、投資を実行
経営支援 状況に応じ役員派遣などのハンズオン支援や、外部コンサルティングの活用などにより企業価値向上に向けた支援を実施。
EXIT 上場やM&Aのほか、事業会社との事業連携などを含めたEXITを実行

 

CVC投資先のEXIT方法

通常のVCのEXITは、IPO又はM&Aが中心になりますが、CVCの場合はいくつか選択肢があります。

・事業会社が経営権を確保できる株を取得して、事業部化または子会社化する

・事業会社が、ベンチャー企業が経営権を確保できる株式の範囲で株式を取得する

・IPOによるキャピタルゲインを取得する

・他の事業会社へのM&Aによるキャピタルゲインを取得する

 

これら以外にも、資本的な結びつきだけでなく、技術連携や事業提携を行うケースもあります。ベンチャー企業と事業会社は、どのようなEXITがお互いに最適なのかを検討し取り組んでいくことが、ビジネスそのものの成功のためには必要です。

 

2000年代のブームを経て、新たにCVCの設立が盛り上がっている

2000年代の第一次CVCブームの時には、金銭的なリターンの失敗により撤退していった事業会社が数多くありました。ベンチャー企業への投資は、事業化の失敗が先に顕在化する特徴(Jカーブ)があり、投資開始後の数年間は満足のいくリターンが出にくいからです。そのため、多くのCVCは金銭的なリターンが少ない投資の初期段階で、ギブアップする傾向にありました。

当時は、ベンチャーブームも盛り上がっており、大手電機メーカーを中心にCVCファンド設立の動きが拡がりましたが、現在、その多くは撤退や縮小しています。主な要因は以下の2つです。

1、「金銭的リターン」が投資目的であり、事業会社がVCにファンドの設立や運用を委託する形態が一般的であったため、短期的なリターンが満足のいくものでないとすぐ撤退や縮小された。

2、当時の経済状況や技術動向から大企業ではまだまだ自前志向が強く、「事業シナジー」を生み出すための企業風土やスキル・ノウハウが事業者側になかった。

 

その後、2010年代半ばから再びCVC投資が活性化していますが、投資目的が「金銭的リターンの獲得」から「事業シナジーの追求」に変化してきたという背景があります。もちろん「金銭的リターン」を目的としたCVCも存在しますが、事業戦略の実現に向けて中長期的な視点での事業のリターンを狙いとしたCVCが主流となっているのです。

 

日本国内にあるCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の特徴

日本のCVCファンドには以下のような特徴があります。

・CVC のファンドサイズに関しては、国内 CVC の 45%が 55 億円以下のファンドに留まっている

・設立したファンドの運用状況に関しても、投資実行件数が 10 件以内に留まる国内CVC が約 6 割である

国内 CVC の 88% が 2010 年以降に設立されており、さらにその中の多くが 2015 年頃以降に設立されている

・フォロワー(リードインベスターが決める条件に従って、共同投資を行う投資家)として投資に参加するのが大半

・国内 CVC は投資倍率ベースで見ると 4 割がコスト割れとなっている

・リターンがプラスになっていてもその 3/4 が投資倍率 1.5% 以内に収まっている

 

日本のCVCファンドは、トップランナーであるアメリカや、爆発的に拡大している中国に比べて、金額や投資件数及びリターンで大きく見劣りしているのが現状です。市場自体が新しいことに加え、CVCに求められる「目利き力」「シナリオ作成力」そして「支援力」がまだまだ不足していることがその要因といえます。

 

 どのようなベンチャー企業に投資するのか

日本のCVC投資方針は、日本は新市場参入の契機となるようなベンチャーや、自社の将来の商品やソリューションを提供するベンチャーを重視しています。商品・サービスや市場などが、事業会社の経営戦略に適合するベンチャーに優先的に投資し、純粋に金銭的なリターンを求める割合は10%程度に過ぎません。

また、多くのCVCは各社ごとの投資方針や投資分野・対象領域を公開しています。事業会社にとって自社の事業戦略にマッチする将来性あるベンチャーを発掘することは重要課題ですが、自社にマッチしたベンチャーを自ら調査することには限界があります。そのため、ベンチャーから自発的に出資の相談を持ちかけられるようにオープンにしているのです。

とはいえ、事業会社が自社の経営戦略にマッチしたベンチャー企業を探し出して実際に提携するのは容易ではありません。そこで、事業会社とベンチャー企業がお互いのニーズを認識した上で出会うことができるマッチングサービスを活用するのもひとつの手段です。双方にとって最適なビジネスパートナーを見つけるためにお互いのニーズを登録し、CVCからスカウトを受けることが可能です。

下記は、事業会社の投資領域の事例です。

事例① 富士通の投資領域
1.ビジネスイノベーション分野
(1)クラウド(2)モバイル(3)ビッグデータ(4)セキュリティ
2.ソーシャルイノベーション分野
(1)車・交通(2)健康・医療(3)生活産業(4)食・農業(5)エネルギー(6)教育(7)環境

 

事例② オムロンの投資領域
1.Factory Automation
Industry 4.0関連技術・ビジネスモデル(センシング技術、ロボティクス技術など)
2.Healthcare
循環器、呼吸器、ペインマネジメント、認知症、睡眠時間無呼吸症候群など
3.Mobility
自動運転に関わる技術、スマートシティに関わる技術。ビジネスモデル等

 

ティブに活動しているCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の探し方

VCやCVCは、ベンチャー起業家にとって重要なパートナーです。事業が成功するか失敗するかは、ベンチャー起業家にとって最適なVCと出会えるかにかかっているといっても大げさでありません。そのため、日本に数多あるVCやCVCの中から、アクティブに活動し、市場や同業からも評価が高いVC、CVCを選択することはとても重要です。

既に起業をしているのであれば、VCやCVCに関する情報収集に積極的に取り組んでいる人も多いでしょう。しかし、起業前の人にとってCVCの情報収集はなかなか困難です。そこで、起業したい分野にどのようなVCやCVCがあるのかを探すことができる方法がいくつかあります。

・ベンチャー企業と積極投資企業のマッチングサイトを活用

・起業者や起業準備者向けのCVC(VC)主催各種イベントに参加する

・起業仲間など人的ネットワークを活用して調べる

 

CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の現状・今後の展開はどうなる?

前述したように2015年以降、大企業など事業会社によるベンチャー企業への投資は活性化しています。その背景には、斬新な発想や先端性の高い技術をもったベンチャー企業が、成熟した日本経済に新しい市場を切り開いて、変化をもたらすことを求められているからです。

現在のCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)に求められていること、今後期待されていること

2010年代に入り経済のグローバル化とAIやIoTなど技術の発展が加速しています。日本企業がこのような環境変化に勝ち抜いて行くためには、既存の事業モデルや経営スタイルをテクノロジーの進化に対応させていくことが求められています。

従来、日本企業はグループ会社や系列の取引先でクローズした経済活動を行っていました。シードの段階から量産化まですべて系列で行う自前主義では、もはや急速に多様化している市場の変化に付いていけなくなってしまうでしょう。

事業会社にとって、ベンチャー企業が持つ先進的な技術や新たな市場の可能性は、新たな経営資源です。その意味で、CVCは、事業会社とベンチャーキャピタルをつなぐインターフェースの役割が期待されています

 

まとめ

CVCは事業戦略の手段のひとつとして新たな事業投資先を必要としており、今後、投資元、投資対象企業は業種、分野、規模を問わず益々拡大していくことが予想されています。

そして、CVCを設置している事業会社に求められることは、投資目的と効果を明確にし、基準を社内で共有することです。大企業では、経営、本社部門や事業部など縦割りの組織となっています。CVCの運営判断を事業会社の上層部のみに委ねるのではなく、財務的な数値や時間軸など定量的な投資判断基準を明らかにし、関係者間全員で共有していくことが大切です。

ベンチャー起業家にとっても、大企業との連携という新たな選択肢のあるCVCはとても魅力的です。目標は、社会貢献、経営意欲、金銭的リターンなど人それぞれかと思いますが、EXITを検討する際には、自分にとってベストなパートナーを選択することが重要です。

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