中小企業を中心に、経営支援や経営コンサルティングなどを手掛けるCFOジャパン株式会社が、長野県で小売業を営む株式会社カネジョウを引き継ぎされました。経営支援を行う会社が自ら企業買収に至った経緯について、CFOジャパン株式会社の代表取締役CEOである中嶋様にお話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 |
株式会社カネジョウ |
業種 |
小売業 |
拠点 |
長野県 |
譲渡理由 |
後継者不在 |
譲受企業 | |
---|---|
社名 |
CFOジャパン株式会社 |
業種 |
人材教育、経営コンサルティングなど |
拠点 |
東京都 |
譲受理由 |
新規エリア参入、取引先拡大など |
多様な職務経歴を経て独立。長年培った能力を最大限に活かした事業で独立
大学卒業後、地元の地方銀行に就職された中嶋様はその後、転職先の「株式会社シャルレ」で10年間、経理・財務の経験を積まれました。
未経験から経理・財務の実務経験を得た中嶋様は、経営のプロフェッショナルを目指して34歳でITベンチャーの株式会社ソフトウェア・サービスに転職。管理部門責任者として自社の株式上場に貢献されました。
経営者として必要なスキルを積まれていった中嶋様は次のステップに、お声がかかったファンドがオーナーのウイングアーク1st株式会社(当時ウイングアークテクノロジーズ株式会社)に転職。CFOとして勤められた当社での経験は、中嶋様にとって“経営能力を最も鍛えられた4年間”だったそうです。
多様な経験を経たのち、2013年にCFOジャパン株式会社を設立した中嶋様は、事業立ち上げについて「様々な社長とお会いする中で、“事業を伸ばすことは得意でも、会社の運営は苦手”という経営者が多い印象を受けました。
だったら、管理という視点から会社のオペレーションを回してきた自身の経験は、ベンチャー企業や中小企業の成長に役立てるのではないか、というところから、CFOジャパン株式会社を立ち上げました」とおっしゃっていました。
「本当に解決すべき課題は何か?」関わる中で見えてきた、中小企業の大きな問題
「もともとITベンチャーで育った経験もあり、ベンチャー企業を支援したいというところから事業をスタートしました。
ただ、仕事をやっていく中で実感したことは、キラキラしたスタートアップ企業よりも、実業を長年コツコツと取り組まれているような中小企業の方が“良い人材が採用できない、すぐに辞めていってしまう”、“組織的な経営ができていない”、“資金が集まりづらい”といった課題を抱えている現状でした。そういった現状の課題感から、経営に苦労されている中小企業様の支援・サポートに重点を置くようになりました。」
ベンチャー企業から中小企業に対象を切り替え、経営コンサルティングを行うようになったCFOジャパン株式会社。それによって、中小企業ならではの問題を感じるようになったそうです。
「CFOジャパンで大切にしていることは、経営視点から見て会社がどうあるべきか、を考えてサポートするということです。そういったスタンスで中小企業様と関わっていく中で、後継者不在の問題を抱えている経営者が多いことがわかりました。」
中小企業が抱える後継者問題。その問題を解決するためにCFOジャパン株式会社では、“後継者候補を紹介する人材ビジネス”を始めましたが、そこで更なる問題が浮上します。
「経営能力がある優秀な候補者が見つかっても、お金の問題で承継まで進めないということが多々ありました。会社を引き継ぐためには、株式の買い取り、会社の借り入れに対する連帯保証など、事業を運営する以外に発生する金銭的な障壁があります。その問題を解決するために弊社で始めたのが“地域共創基盤事業”という取り組みです。」
地域共創基盤事業では、金銭的な問題を解決するためにまずCFOジャパンが会社を買取、その上で事業を引き継ぐ後継者をマッチングする、といった取り組みです。「私は山口県の田舎出身ということもあり、地方経済がシュリンクしていくことに課題意識を持っていました。世の中には、地域に必要とされる、存続し続けるべき会社がたくさんあります。この事業では、そういった存続するべき会社を未来に残すために、その会社とシナジー効果の見込める会社も含めて連続的に買収を行い、強い企業グループを作ります。そうすることで、生産性の高い事業を作り上げていくことができると考えています。」
地域や従業員の方々がより幸せになるための仕組み作りとしてスタートした、地域共創基盤事業。その第一号として中嶋様が選ばれた企業が、株式会社カネジョウでした。
お金では買えない、地域に愛され続ける“カネジョウ“ブランド
中嶋様に、企業選びをするうえで重視している点についてお伺いすると「探していた条件は、一定の雇用を抱えており、長い歴史があり、地域に愛されている会社です。とくに、地域に売り上げを依存している小売業や飲食業は、地域の人口減少とともに衰退していく傾向にあるので、そういった会社を中心に探していました。」とのこと。
株式会社カネジョウについては「まず、歴史ある会社であるという部分に魅力を感じました。それは単なる数字的な意味ではなく、ユニクロやしまむらのような大手の小売業がロードサイドを埋め尽くす中でこれまで経営し続けられた、地域に愛され続けてきた会社であるという魅力です。カネジョウでは、従業員様とお客様の間に信頼関係が築かれています。そういった、お金では買えない強みを持っていることがカネジョウの魅力であり、大きな会社とも十分闘える強みであると思ったので、引き継ぐことを決断しました」とのこと。
また、社長の小口様については「非常に誠実で、地域のため、従業員のために尽くされている、聖人のような方だなという印象でした。」とおっしゃっていました。そんな小口社長だからこそ、地域に愛される会社として存続させることができたのかもしれません。
選ばれる会社作りから、地域を活性化する会社へ
歴史ある会社を引き継がれた中嶋様に、新経営者として大切にしていることをお伺いすると「会社の強みを残し、引き継いでいくことは意識しています。
一方で、変えるべきところはしっかりと変えていく必要もあります。従業員の皆様には“過去を否定するつもりは全くありません。その時々で、正しかった選択や方法だったと思います。ただ、それが今も正解かどうかはわかりません”ということを伝えています。従業員一人一人としっかりコミュニケーションをとりながら、是々非々でひとつひとつ結論を出していくように心がけています」とお話いただきました。
そんな中嶋様に、株式会社カネジョウの今後の経営ビジョンについて、最後にお伺いしました。「実際に引き継いでみて、予想以上に地域の人々に注目されている会社であることを再認識しました。また、注目されるのは期待されているからこそだと思うので、絶対に成功させなければならないと、決意を新たにしました。
期待に応えられる企業になるためには、まず強い会社にしていく必要があり、従業員の方々には“生産性をあげましょう”ということを日々伝えています。その裏には、従業員の方々の給与を大幅にUPさせ、働きたい会社として若い世代に選ばれるようになり、地域としての盛り上がりも生まれる。そういった、よい循環が生まれるための会社作りをしていければと思っています。」
歴史ある会社を引き継ぎ、地域共創基盤事業という新たな事業もスタートされたCFOジャパン株式会社。
中嶋様とCFOジャパン株式会社の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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