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運送業界の今後は?現状や課題を徹底解説

2022年01月13日

運送業界は人々の暮らしを支える産業の1つであり、異なる業種同士をつなぐインフラとしても重要な役割を担っています。しかし、業界内部には多くの問題点を抱えています。運送業界は、今後どのような方向性で進んでいくのでしょうか。市場動向や課題とあわせて解説していきます。

 

運送業界の現状

まずは、現状の運送業界における市場規模や課題について解説していきます。運送業界は主に旅客と物流にわけることができますが、この記事ではより市場の規模が大きい物流を中心に見ていきます。

運送業界の市場規模

物流は社会を支える一大産業です。2017年度の営業収入は約24兆円と全産業のおよそ3%、2018年度の就業者数は約258万人と全産業のおよそ4%を占めていました。中でもトラック運送事業は重要な役割を担っており、売上面でも労働者数の面でも物流業界のトップとなっています。

国内物流の4分の3以上が100km未満の短距離輸送ですが、その多くはトラック等の自動車による輸送でカバーされています。また、トラック運送事業は99%以上が中小企業で、中小規模の会社により支えられていることも特徴です。

長期的に見た国内の貨物輸送量は減少傾向にありますが、1件あたりの重量が軽い小口の貨物については近年大きな増加が見られます。これは、ネット通販など電子商取引(EC)の市場が拡大していることなどが影響しています。統計によると、宅配便の取扱件数は2018年までの5年間で約6.7億個(18%)も増加しました。

物流にはトラック運送事業のほかに鉄道、海運、航空貨物などもありますが、その中でも事業者数が多く、消費者のもとに荷物を届けるという運送の最終区間を担っているのが、トラック運送事業なのです。

参照URL:https://www.mlit.go.jp/common/001354690.pdf

運送業界の課題

運送業界には様々な課題がありますが、ここでは運送業界の中で重要な立ち位置となっているトラック運送事業に焦点をあてて問題点を見てみましょう。

現在、特に大きな課題となっているのは、トラックドライバー不足です。多くの企業が人手不足を感じており、一人一人のドライバーへの負担は増加しています。トラックドライバーが不足すると物流が滞り、人々の生活にも大きな影響を与える可能性があります。またドライバーの高齢化も進んでいるため、今後さらに人手不足が進むことも考えられます。

トラックドライバーの担い手が少ないのは、労働条件にも原因があると言われています。トラックドライバーは全産業の平均と比較すると約1~2割程度所得が少なく、一方で労働時間はやや長めです。また長時間の荷待ちが発生すると長時間労働に繋がったり効率が下がったりするということもあり、こうした環境の改善は今後必須となるでしょう。

ほかにも重要な課題とされているのが、運賃です。オンライン店舗やECサイトなどにおいて「送料無料」といったサービスが導入されたことで、送料が無料なのはあたりまえだという誤った認識が利用者の間で拡がってしまいました。配送というサービスは目に見えにくいため、お金を出したくないと考える人がそもそも多いという背景もあります。しかし当然ですが、実際には様々なコストがかかっています。そのため、中長期的に業界を持続させていくためには、適正運賃で業務を受託することのできる事業環境が必要です。

 

運送業界の今後の方針と取り組み

ここまで見てきた現状を踏まえつつ、運送業界の今後の方針や課題解決に向けた取り組みを確認していきましょう。

 

政府機関の方針

運送業界の持続的な成長に向けては、政府機関などにより基本的な方針がいくつか掲げられています。

ひとつは、長時間労働の是正です。先述したとおり、運送業界は平均より労働時間が長い傾向にあります。ドライバーの健康維持やワークライフバランスの観点などからも、労働時間の短縮が目指されています。

また、労働条件の改善も基本方針の1つです。平均より低い水準にとどまっている賃金の引き上げが急務ですが、そのためには適正な運賃を受け取れるように業界の構造を改善することも必要です。労働条件を改善することで、若い働き手を呼び込むなど雇用の促進につなげることが期待されています。

さらに、運送業界独自の取り組みだけでなく、荷主などほかのステークホルダーとも協働して労働生産性を高めることの重要性も指摘されています。作業手順の合理化や不要な待ち時間の短縮などには、荷主側の協力や調整が不可欠であり、双方でコミュニケーションをとりながら現状を改善することが求められているのです。運送業界は社会を支える重要なインフラの1つであり、業界全体で安全の向上に取り組んだり、サービスの提供を維持できる体制を整えたりすることが、政府の方針として掲げられています。

 

運送業界の課題解決に向けた取り組み

では、運送業界では具体的に課題解決に向けてどのような取り組みが行われているのでしょうか。まず、労働生産性の向上についての取り組みを見ていきます。

小口の貨物が高頻度で取引されるようになったことなどを背景に、輸送効率の低下が問題となっています。そんな中進められているのが、荷積みをアシストする機器を利用したドライバーの負担減少や、ITや管理システムの導入による時間管理の徹底です。こうしたIoTやAIといった先端技術やデータを活用しながら、生産性の向上を目指す取り組みが行われ始めているのです。また身近なところでは、宅配ボックスや配送時間のお知らせといったサービスを拡充することで、無駄の削減を図っています。

経営改善に向けた取り組みとしては、給料体系を見直して賃金水準を向上させたり、事業規模の拡大による効率化を進めたりするといった対策が見られます。契約の書面化や荷待ち時間の管理、コストの見える化なども進められ、適正な取引の推進に向けた取り組みも行われています。

そのほか、人手不足の解消も重要課題であり、多様な人材を確保するための取り組みが導入されています。具体的には、女性が働きやすい職場づくりやキャリアアップの道筋提示、ワークライフバランスへの配慮などが例として挙げられます。労働環境を改善することでやりがいを持てる職場を構築し、働き手の勤続年数を伸ばしたり多様性のある人材を呼び込んだりしているのです。

 

運送会社を発展させるために行うべきこと

ここまで、運送業界全体としての方針や課題解決に向けた取り組みを見てきました。では、それぞれの運送会社の経営を改善し事業を発展させていくためには具体的に何を行えばよいのでしょうか。今後の取り組みとして必要なことを考えていきます。

 

今後、検討すべきこと

運送業を営む会社は、現状の課題や市場の動向を踏まえ、前述の課題解決の取り組みを柔軟に取り入れながら経営を進めていくことが大切です。つまり、長時間労働の是正や労働条件の改善、荷主を含めた各ステークホルダーとの連携強化などが、今後も持続的に事業を行っていく上での重要なポイントとなるのです。こうした課題へのアプローチとして考えられる手段の1つが、M&Aです。

近年多くの業界で実施件数が増え注目の集まっているM&Aですが、運送会社にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず考えられるのは規模の拡大です。事業エリアの拡張や所有するトラック台数の補強、顧客の増加といった効果が見込めるため、規模を拡大するための戦略として適しています。

そして規模の拡大が進むと、実働率や積載率の上昇にもつながり、より効率的な配送ができるようになります。また、管理業務等を合理化することでその分の資源を本業に回すことができるため、経営面でも効率化を見込めます。このようにM&Aをすることで、運送会社が抱えている多くの問題を解決することが可能です。

また、同業どうしのM&Aだけでなく、倉庫業など異なる分野の物流事業会社とのM&Aも検討してみるとよいでしょう。それぞれの持つ情報やノウハウを共有することで、事業の無駄を削減したりサプライチェーンの効率化につなげたりすることが可能です。

トラック運送事業などの会社は、その多くが中小企業です。高齢化が進み後継者問題を抱えている会社も年々増加しているので、潜在的にM&Aの対象となり得る会社は数多くあると考えられます。自社の成長や運送業界全体の発展のためにも、M&Aについて情報収集してみるのがおすすめです。

 

運送会社のM&A成功事例

では、運送会社によるM&Aの成功事例を見てみましょう。

まずは、東北・関東エリアで運送業を手がけている運送会社のケースです。この運送会社は、既存のルート上に事業拠点を増やすことで積載効率の向上につなげられると考え、埼玉県で運送業を行う企業を買収しました。M&Aの直接的な決め手となった理由は2点あります。

1点目は、相手企業の立地が良かったために自社の事業の効率化に寄与すると考えたからです。そして2点目は、経営が難しくなる中でも従業員を守りたいという相手企業の経営者の想いに共感したことです。結果としてM&Aの契約に結びつき、会社のさらなる発展を成功させました。今後も引き続き、他社との連携やM&Aの検討を進めて事業の持続的な成長を目指しています。

次に、長野県の運輸会社のケースを見てみましょう。この運送会社の前の経営者は、事業承継を検討する中で親族や従業員などへの引き継ぎを進めようとしたものの、なかなか任せることのできる後継者を見つけられずにいました。そこでM&A希望の売り手企業を紹介いただき、同業会社とのマッチングにつながりました。売却側の企業にとっては事業承継の問題解決につながり、また、買収側の企業にとっては規模拡大や経営効率化の足がかりとなり、お互いにメリットのあるM&Aが実現したのです。

運送業は、事業を始めるまでに許認可の申請等で多くの手間と時間、費用がかかります。ゼロから育ててきた事業をたたんでしまう前に、効率化や規模拡大を検討している会社を探してみると、自社の事業を存続させてくれる相手が見つかるかもしれません。このようにM&Aは、運送業界を継続的に発展させるための手段ともなり得るのです。

まとめ

この記事では、運送業界の現状や問題点などを見てきました。人手不足や長時間労働、不適正な価格の蔓延など、運送業界には様々な課題があります。こうした課題を解決するために、政府や業界としての取り組み方針が掲げられ、効率化や雇用促進が進められています。

M&Aも、運送会社が生産性を向上させて持続的に成長を進めるための手段の1つです。社会を支えるライフラインとして重要な産業である運送業界にとっては、今後ますますM&Aが重要な経営施策となっていくでしょう。運送業界に携わる方は、ぜひ検討してみてください。

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