連続M&Aで、全国展開に向けて走り出したタクシー事業

2021年10月28日

福岡県久留米市を拠点にタクシー事業を営む西日本通商ネクスト有限会社の木下代表と丸三タクシー株式会社の川島代表が、秋田県仙北市を地盤とする角館観光タクシー株式会社を譲り受けされました。宇都宮のタクシー会社に続き、連続M&Aにより事業拡大を行う木下様に代表して、今後の事業戦略についてお伺いさせていただきました。

ドライバー不足のタクシー業界での新たな成功モデルを

福岡県久留米市でトップクラスのタクシー車両数を誇るタクシー協働体のオーナーである木下様と川島様が今回M&Aを成約されたのは、宇都宮市の東野タクシー株式会社を譲り受けしてから半年も経っていないタイミングでした。「チャンスがあればモノにする」と語る木下様は、積極的にM&Aを検討されたそうです。

タクシー業界は高齢化などによるドライバー不足が深刻化している現状があります。そんな中、西日本通商ネクスト有限会社の母体であるタクシーグループでは20代の若者が10名弱在籍。約2年前から新卒採用を開始し、短期間で7名が入社するなど、若者を採用しています。

木下様に、若者が安心して働くことができる理由をお伺いしたところ、「年齢が違うと仕事の価値観に違いが生まれることが多くなる。だからこそ、従来の仕事の価値観を押し付けるのではなく、しっかりと向き合うことで新しい価値観を受け入れていくことが大切だと思います。

人は誰でも長所や短所があり、特に短所に上司や先輩社員が寄り添いながら、強みを発揮できるようにすることが大事」であるとお話いただきました。

M&A後も、社風を尊重した経営を徹底

今回譲り受けされた「角館観光タクシー株式会社」は、前オーナーが事業の選択と集中によりタクシー事業の譲渡先を探されていたとのこと。前オーナーの堅実で気さくな人柄に意気投合。秋田県という遠隔地ではありましたが、バトンズを通じで成約に至りました。

角館観光タクシー株式会社は、秋田県で有数の観光名所で、観光タクシーのほか、介護の送迎など地元に密着した５０年以上の歴史がある会社であり、新しい風を入れていくべき部分もありますが、M&Aにあたって、木下様と川島様は「社名を残し、社風を尊重すること」と「従業員の雇用継続に努めること」を大事にしています。

「タクシー業界では、タクシーの行灯（あんどん）に表示している社名は、従業員にとって、これまで地域の交通を支えてきたプライドを表すものです。また、地域で馴染みのある社名を変えてしまうと、これまで培ってきた地域との信頼が希薄化してしまう」と木下様。

また、雇用については、「これまでの会社の風土はできるかぎり尊重するように心がけ、譲り受け後も、従業員に安心感を持っていただくことが重要。ありがたいことに、M&A後も退職希望者はなく、継続して会社を支えていただいていており、私たちの経営ビジョンを共感していただいているものと考えます。」とおっしゃっておられました。

M&A成約後、東野タクシー株式会社の部長様を角館観光タクシー株式会社へ連れ、事務職との懇談会を開催したところ、すぐに打ち解けたそう。

「共通する業務が多いため、お互いの仕事の手順を教えあったりと、相乗効果も見られて、うまく意思疎通が図られていることを実感した」と笑顔でお話する木下様から、M&Aによって生まれているシナジー効果を感じることができました。今回M&Aのサポートをされた株式会社鈴木総合経営の鈴木様は、角館観光タクシー株式会社の顧問税理士。仕事の丁寧さや正確さは、さすが税理士と安心できる仕事ぶりだったとのことでした。