2002年の1月に創業してから東京都渋谷区で約20年にわたり不動産専門(マンション、戸建、ビル等)の広告制作事業を営んできた有限会社アドノット・クリエイツの代表 伊東仁様。東京都港区で広告制作事業を中心に、ECサイトの運営など幅広く手がけて急拡大中の株式会社レバーンのグループへ参画されることを、2021年7月に決められました。元々後ろ向きだったM&Aを決意するターニングポイントはどのようなものだったのでしょうか。
ライフスタイルに対する提案として「事業承継」と出会う
最初は「M&Aなんて乗っ取りなのでは」と、M&Aに対して後ろ向きな気持ちだったという伊東様。バトンズを知ったのは大和証券の営業担当者からの紹介だったといいます。面識がない担当者で、まだ営業として駆け出しと思われる、たどたどしい話し方で電話がかかってきたそうです。いつもなら「間に合っています」と切ってしまうような営業電話。でもこの時ばかりは、営業担当の一生懸命さと、株の話ではなく真剣に伊東様のことを考えて、なんとか伊東様の役に立ちたいという気持ちが電話口から強く伝わってきたと言います。そして、話しをしているうちに、後継者がおらず会社の将来に不安があるということをお伝えになったそうです。そこで紹介されたのがバトンズ。広い意味でのライフスタイルに対する提案の一環として、事業承継という手法を紹介された様です。
後継者はいない、といっても伊東様には息子さんがいらっしゃいました。何度か跡取りの話をされた事もあった様ですが、ある時、伊東様が「会社を継いでくれ」とまでは言わないものの「今の仕事はどうなんだ」と聞いたところ「楽しいよ!」との返事があり、あえて茨の道に引きずり込む事もないのではと考えられた様です。
還暦を迎えた伊東様にとって、あと5~10年で世間のサラリーマンが定年を迎える歳になるということも気にかかっていました。いざその時になってバタバタとお相手探しをしても焦ってしまって、うまくいかないのではないか。とりあえず”動く”という意味で登録だけしてみて、ゆっくりお相手探しをしていくうちに、長い目でみて良い方とご縁があればいい。登録すればバトンズの担当者から話を聞いてみることもできるらしいし、お金がかかるわけでもない。まずは登録してみるか、というくらいの軽い気持ちで事業承継に向けた一歩を踏み出されました。
「M&Aなんてハゲタカでしょ?」をくつがえしたスモールM&Aの世界
実際にバトンズ成約支援カウンターの担当者とWebツールで面談した時にも、実は何十年も前からM&Aにいいイメージがないことを担当者に素直にお話しされたそうです。M&Aは大企業が市場でのシェアを拡大するためにどんどん中小企業を”食べて”いくものなのでは。しかし、担当者から現在のスモールM&A市場の話や、様々なM&Aの在り方についての話を聞いていくうちに、少しずつ気持ちは前向きになっていきました。そして、具体的な会社の譲渡をどう進めていくかや交渉のポイントなどもしっかりとアドバイスを受けることができたので、とても安心できたそうです。
実際にバトンズに登録してみると、すぐにたくさんの買い手から手が上がりました。最終的には全部で2~30件ほどの手が上がり、その中からいくつか自社とシナジーがありそうな企業を選んだ上で「実名開示」を進めていきました。会社の詳細情報を公開した時点でミスマッチにより交渉へ進まない相手も出てきたので、最終的に具体的な交渉をしたのは5~6社。そこから直接顔を合わせてお話されたのが5社、半分は同業他社で、半分は少し離れた事業を営む企業だったといいます。
考えていた条件にピッタリな引き継ぎ先とのご縁
伊東様がお相手探しの時に大事にされていたことは2つ。相手がシナジー効果を生み出せる事業を営んでいることと、会社の雰囲気でした。そこで最終的にお相手として選ばれたのは東京都港区で約50年に渡り広告事業を中心に新規事業としてECサイトの運営などもしている株式会社レバーンの匹田様。
シナジー効果の部分においては、株式会社レバーンは元々、有限会社アドノット・クリエイツと同じく不動産広告事業を中心に展開しており、現在でも主力事業として取り組んでいます。大手不動産のクライアントと直接取引にてプロモーションツールの広告制作を得意とする有限会社アドノット・クリエイツに対して、株式会社レバーンは自社でデザイナーを抱えてイラストやCGを内製するなど、デザイン性の優れた広告を制作しており、相互に全く違う強みを持っていたというところが大変大きかったそうです。そして、お互いの顧客が被っていない、というところも取引先の拡大という側面でプラスに働いたといいます。
会社の雰囲気という意味では、Webツールでの面談が中心ではあったものの、社長の匹田様と窓口に立っていただいた王様にとても信頼の出来る対応をとっていただいた事、経営幹部を交えた面談を通して、会社の雰囲気や社員の人柄に触れて、株式会社レバーンへの譲渡を決められました。そのまま社長として続投される伊東様は、匹田様や株式会社レバーンのメンバーから期待をかけられていると感じており、今後はレバーングループの一員としてリタイアまで頑張ろうと考えられているそうです。
1本の電話から繋がった無数のご縁の、その先には・・・
従業員であるデザイナーの方には、調印式のスケジュールが明らかになった7月中旬にM&Aをお伝えになったとのこと。まさに寝耳に水という形で大変驚かれたそうですが、そのまま社長が残られることに安心され、理解してくれたそうです。また、調印式が終わったタイミングで息子さんにもM&Aについて伝えられました。「おめでとうございます」とメッセージが返ってきたと、伊東様は頬を緩めていらっしゃいました。
1本の電話から始まり、何もないところからご縁が繋がっていったM&A。伊東様は「違う頭が2つ、くっついている」と表現されていました。M&Aも色々な形があります。今回のような譲渡側の社長が残られて続投する方法はシナジー効果を生んでいくためにとても効果的です。これまでの取引先や、従業員にとって負荷が少ない上に、長年社長が培ってきたノウハウや経営手法についても承継することができるからです。これから、有限会社アドノット・クリエイツは株式会社レバーンの一員として次のステージへ進みます。「ワクワク感8割!サービスの幅を広げ、クオリティをあげていきたい」と話す伊東様の目はキラキラと希望に溢れていました。
バトンズ一同、伊東様と株式会社レバーンのさらなる躍進を応援しております!
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2023年05月15日
放送事業を展開する企業。映像制作会社を引き継ぎ、思い描く事業戦略とは?
関東・関西の2箇所に事業所を構え、放送事業を中心に事業を展開する株式会社アトス・インターナショナル。そこで取締役を務めるS氏は、これまでも...