アパレルのネット販売事業を、約半年で法人化させるまでに成長させ、この度、その中の事業部のひとつを譲渡することで経営の選択と集中を果たし、次の成長ステージへと進む決断をされたのは、Innovation System株式会社の代表を務める後藤 恭彰様。どんな質問にも的確かつシンプルに回答され、非常に気さくでフラット。そんな今時の若手事業家といった印象の後藤様に、起業から本事業部を譲渡されるまでの経緯と、M&Aに対する考えをお伺いしてまいりました。
自ら立ち上げたアパレルのネット販売事業を、約半年で法人化させるまでに拡大
後藤様が、アパレルのネット販売事業を始められたのは2020年の3月。メインターゲットは20〜30代の女性で、リピート顧客を獲得しスタートしてから数ヶ月というスピード感で事業拡大を実現されました。OEMでオリジナル商品も手掛けたり攻めの姿勢を崩さずに邁進されています。
そんな後藤様が今回、本事業部を譲渡する決断をされたのは、こうした事業の多角化に伴って広げてきた守備範囲を少し狭め、後陣で設立したネット販売のコンサル事業に経営資源の選択と集中を行うことで、次の成長ステージに向かうためだったとのこと。
迷いのない事業の展開ストーリーと、それを速やかに実行する決断力をお持ちの後藤様にとって、今回のM&Aは初めからその綿密なシナリオに組み込まれていたものでした。
多数の問い合わせを絞り込むのは合理的に…されど、最後の決め手は情理的に
「もともと、どこかの事業を買いたいと思っていたので、M&Aについては自分なりに勉強していたんです。なので、大まかな流れは事前に知っていました」と語る後藤様は、今回の案件もアドバイザーを立てずにご自身で進められるほど心得ていらっしゃって、バトンズのことも、独学でM&Aを学びながら多岐にわたって情報を収集する際に知ったとのこと。よって、インターネット経由のマッチングスキームにも大きな抵抗はなく、バトンズへの登録以外にも、自ら積極的に売り込みをされた結果、なんと20件を超えるお問い合わせが集まったそうです。
だからこそ、その中から絞り込んでいくのは大変だったそうで「その段階では、自分が当初設定していた条件に合致するかどうかという観点だけで、機械的かつ合理的に判断するようにしていました」とも。
そんな後藤様に、今回の譲渡先となった個人事業主であられる熊谷 広明様に最終的に決めた理由をお伺いすると「最後の最後は、熊谷さんの本気度と人となりで決めました。年齢は違いますし、置かれている状況も違うのですが、自分が事業を立ち上げた頃に抱いていた気持ちが似ているというか、すごく共感できる部分が多かったんです。個人でやっていらっしゃるため、他の誰かと社内で擦り合わせる必要もなく、いろんなことが早く決まっていくのも好印象でした。自分も、早く譲渡を完了させて次のステップに進みたかったので…」とのこと。
実は後藤様、当初は「きっと買い手は法人だろう」と漠然と思われていたそうで、実際に商談を進める中で考えが変わり、結果として個人事業主であられる熊谷様を譲渡先として選ばれたことは、ご自身でも良い意味で意外だったとのこと。とても計画的でありながら、合理的な側面と情理的な側面とを巧みに組み合わせつつ、時に柔軟に考え方を変えながらご成約へと進んでいかれたところが非常に印象的でした。
大企業同士の100億超えM&Aだけじゃない、今はスモールM&Aもメジャーな時代
そんな後藤様にM&Aに対するお考えを、最後に伺ってみると「M&Aと聞くと、どこかの大企業同士が100億とか200億という大金を積んで成立させ、バイアウト(企業売却)で利益を得る、みたいな印象があるので、難しく考えている人も多いと思います。でも、今は1000万円以下のスモールM&Aの件数も増えてきていて、どんどんメジャーになってきているんです。そんな流れを掴んでいたので、今回の譲渡した事業は、実は初めから売却する前提で設計していたんですよ」とのこと。
そこで“売却前提の設計”とは、具体的にどういったものなのかを続けて伺うと「一番大切なのは、属人的にならないことです。私は、いずれの業務プロセスも外注先を見つけて設計してくことで、自分がいなくても回る仕組みを構築していきました。M&Aにあたり、買い手が最も気にするのは、売上や将来性に加えた、その事業の再現性なんです。社長がいなくなった時に、その事業が回るかどうか、それが合理的に説明できるかどうかが非常に重要なんです」とのこと。
ご自身も、普段より買い手としての視点でM&A市場を見つめているからこそ、“優良案件”として何が必要なのを熟知していらっしゃるご様子でした。
「もはや、スモールM&Aは事業の拡大に欠かせない重要な選択肢のひとつとなっていて、買う側も熱心に探しています。自分も、時期を見て別の事業部を売りたいと思っているし、同時に、魅力的な買い案件も探しています」とも。
そんな、今後も攻めの姿勢を崩さない後藤様に、将来の目標をお伺いすると「自分には、具体的な目標地点はありません。ですが、今の自分が楽しいと思えることを、ひたすら頑張って行きたいと思っています。それをひたすら繰り返していって気がついたら、どこか面白いところに辿り着いているだろう…そんな風に考えているんです」とのこと。そう言って微笑む後藤様からは、肩肘張らず、常に等身大で気さくなお人柄が伝わってまいりました。
後藤様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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