駅前の好立地カフェを異業種の買い手に譲渡。従業員の雇用と街の活気が守られる

千葉県のとある駅前に面するカフェを経営していた橋本様（仮称）は、2020年11月末、スポーツ・レジャー施設を経営する買い手様に同カフェを譲渡されました。

一年前買収した事業がコロナで経営不振に。早期撤退のためバトンズに再掲載

サービス業が本業の橋本様は、派生事業としてカフェを買収しました。しかし、コロナによる外出自粛が経営を直撃。本業に影響が出かねないと判断し、バトンズで買い手探しを始められたのです。実は、このカフェはちょうど一年前に橋本様がバトンズで譲受された事業だったのですが、経営状況が更に深刻になる前にと事業整理することとなりました。

「譲受して以降、かなり資金を投入してきたのですが、結果的に一年で手放すことになりました。カフェをバトンズに再掲載した当時は価格重視で考えていた為、買収当時の金額を譲渡金額として掲示していたのですが、時間が経過するうちになるべく早く買い手を見つけた方が良いだろうと考え、最終的に大幅に譲渡金額を下げて募集することにしました」。

掲載後は多数の候補者から橋本様にマッチングオファーがあったそうです。しかし、チャット上では相手の真意を掴みづらく、複数の候補者との駆け引きで難しい判断を迫られる局面もあったと回想されます。

「チャット上では相手の熱量が正直見えない部分もあります。なかなか掴みづらいと思いましたね。飲食業は固定費がかさむので、早く出血を止めるためにスピード感が重要です。しかし、マッチングした買い手のなかには価格交渉であからさまな駆け引きをするような方もいらっしゃいました」。

複数の候補者の絞り込みが難しかったとのことですが、根気よくお相手を見極めた結果、橋本様が希望していた異業種のお相手が見つかり、具体的なお話を進めていかれることになりました。

現れた買い手は希望した異業種。丁寧な姿勢を信頼し譲渡を決意

カフェの譲渡先として橋本様が選んだのは、スポーツ・レジャー施設を複数展開する買い手様でした。チャットのやりとりで丁寧な姿勢が伝わり、この方であれば安心して譲渡できるだろうと感じられたそうです。

「買い手様はレスポンスが早かったです。実名開示前のチャットのやりとり時からみなさんの対応を見ていましたが、買い手さんによってはマウンティングされるような方もいました。なかには、買い叩くような金額交渉を持ちかけてくる方も。しかし、今回譲渡した買い手様は、ありきたりですが言葉遣いも含め、確認事項も的確で進捗共有も迅速でした。加えてきちんと配慮を示してくれる方だなと感じました」。

買い手様にはPLを共有し現状の固定費から赤字状況まで全てお伝えすることで、今後の経営課題を詳らかにお話しされたそうです。譲渡後は仕入れ先など各所への連絡や引き継ぎを行ない、引き継がれた5名の従業員との個別面談を買い手様が行われました。

従業員や物件オーナーもM＆Aを歓迎。お店は買い手に託し、本業に集中できるように

従業員や取引先へは昨年10月頃から少しずつM＆Aについてお話をされ、皆さん前向きな姿勢を示してくださっていたそうです。

「店舗物件オーナーからは可能性として譲渡もあり得るのであればM&Aを検討して欲しいと意向を予め聞いていました。また、従業員には経営状況を鑑みて閉店またはM＆Aをすることを選択肢として考えていると早めに伝えていたんです。M＆A交渉中は進捗を適宜周囲に共有していたので、従業員は状況を理解してくれ不安を見せるようなことは特にありませんでした」。

こうして昨年末に無事M＆Aが完了。今後は本業に集中されます。買い手様へは「街に愛されるお店にして欲しい」と期待を込めます。

「駅前という好立地の店舗の閉店を防げたことで、街の活気が損なわれるのを回避できたのではないかと思います。

今後は、複数店舗を展開しているサービス業の一部が赤字の為、全ての店舗で黒字化できるよう注力していきます。やはり、従業員も自分達が行っている仕事が黒字化していないと、モチベーションの維持に影響が出てくることもあると思います。全体としては黒字なのですが、やるからには全店舗で利益を出していき、全スタッフがビジネスの成長を感じられるようにしたいですね」。

迅速な決断力と実行力によって、関係者全員が前向きになれるM&A（事業承継）だったのではないでしょうか。橋本様のご事業の益々のご発展と地域の人々に愛されるカフェの存続を、バトンズ一同お祈りしております！