決算書の読み方と作り方を解説!重要指標も自分で計算できる
2022年05月06日
2022年05月06日
決算書は、確定申告や企業の経営状態を把握するために欠かせない書類です。しかし、基礎知識がなければ自分で読み解くことは難しいでしょう。
本記事では、決算書を構成する財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の読み方をわかりやすく解説します。

決算書の読み方のポイントを確認する前に、決算書の全体像を解説します。まずは、決算書はどういうものなのかをおさえておきましょう。
決算書は税務署への申告時に添付する書類で、企業の一定期間の活動をまとめたものです。決算書を見ることで、その企業の安全性、収益性、成長性などを把握することができます。
決算書と紛らわしい用語が財務諸表や財務三表です。決算書と財務諸表は「損益計算書」や「貸借対照表」など重複する書類も多く、同じ意味で使われることもありますが、原則税法に基づくものが決算書で、金融商品取引法に基づくものが財務諸表という違いがあります。
「損益計算書」と「貸借対照表」に「キャッシュ・フロー計算書」を加えたものが財務三表で、まずはこの3つを理解すると企業の全体像を把握することが可能です。この記事では、財務三表それぞれのおさえるべきポイントを紹介します。
「仕事で決算書を読む機会がないから自分には関係ない」そう思った方もいるかもしれません。しかし、決算書を読むと自分にあまり馴染みがない企業でもその企業の状態を知ることができるので、株価の予測の参考にもなります。つまり、決算書の読み方を知ると株式投資の判断材料としても役立ちます。
「決算書を読めるようになると役に立つのはわかるけれど、せっかくだから資格取得という目標を持ちながら決算書の読み方を学びたい」という方もいるかもしれません。そんな方には簿記の資格勉強がおすすめです。簿記学習をすると、読み方だけでなく書き方も知ることになるので、より実践で役に立つはずです。

貸借対照表は企業の財政状況を把握する書類であり、左右それぞれに勘定科目とその金額が記載されています。左にある部門が資産の部、右にあるのが負債の部と純資産の部です。左の資産の合計額と右の負債と純資産を足した合計額は必ず一致します。それでは、各部のポイントを確認していきましょう。
左側の資産の部を見ることで、企業が所有する資産を把握することができます。
資産の中で代表的なのが流動資産と固定資産です。
流動資産とは、営業のサイクルで保有する資産や1年以内に現金化される資産が含まれます。具体的には現金や銀行に預けている預金、販売やサービスを提供するも代金を未回収の売掛金です。それに対して、固定資産は1年以上の期間を経て現金化や費用化される資産が該当します。たとえば、土地や建物、備品が固定資産です。
右側の負債の部と純資産の部を見ることで、企業がいかに資金を調達しているかを確認できます。
負債の部に記載されるのが流動負債と固定負債です。
資産の部と同様に、「1年」という期間が流動と固定を分ける基本的な基準になります。つまり、基本的に1年以内に支払うべきものを流動負債、1年を超えて支払うものを固定負債です。
流動負債には短期借入金や買掛金、固定負債には長期借入金や社債があります。先ほど紹介した流動資産を流動負債で割ることで、手元にある資金での流動比率、つまり返済能力を知ることが可能です。
純資産は資産から負債を引いた残りなので、返済しなくても良い部分と考えることもできます。自己資本とも呼ばれ、会社の健全性判断に重要な指標です。純資産の部には、資本金を含む株主資本、繰越利益剰余金を含む利益剰余金などがあります。
貸借対照表を確認することで、各企業の収益性、安全性、効率性、成長性などを分析できます。財務分析の際に役に立つのが、さまざまな指標です。
収益性や効率性、成長性を分析するには、損益計算書に記載されている売上高や利益の情報も必要となるため、ここでは貸借対照表だけで確認できる安全性分析の方法を紹介します。安全性分析に役立つ指標(自己資本比率、流動比率、当座比率)の計算方法を確認していきましょう。
自己資本比率とは、総資本における自己資本の割合のことです。以下の式で計算できます。
総資本は貸借対照表で「負債の部」と「純資産の部」を合計した額、自己資本は純資産の部の金額から確認可能です。企業の自己資本比率が50%以上であれば優良といわれています。
自己資本比率が20%を切っていれば、注意しましょう。
流動比率とは、1年以内に現金化できる流動資産が1年以内に返済しなければならない流動負債をどれだけ上回っているかを表す指標です。この指標を確認すると、短期の負債を支払った後にどのくらい短期の資産が残るのかがわかります。
流動比率の計算方法は以下の通りです。
流動資産は貸借対照表の流動資産合計、流動負債は流動負債合計で確認できます。
流動比率が120%以上であれば短期的資金に困らない状態、100%を下回ると支払い能力に不安がある状態とされることが一般的です。流動負債の2倍、流動資産を所有することを意味するため、200%以上を安全な状態と解釈する場合もあります。
当座比率とは、流動負債に対してどれだけの当座資産を所有しているかを示した指標です。流動資産から棚卸資産を差し引いて計算するため、より厳密に支払い能力を分析することになります。計算方法は以下の通りです。
当座比率が100%以上であれば、比較的安全といえるでしょう。
なお、棚卸資産の額は、貸借対照表の商品・製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品の合計から算出できます。

損益計算書は収益・費用・利益が記載されており、企業の経営成績を示しています。ニュースなどで聞く、黒字や赤字という判断もこの書類で確認可能です。
損益計算書には、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」という5つの利益があります。まず、営業活動の対価として得る「売上高」から商品仕入れや製造にかかる「売上原価」を引くと算出されるのが売上総利益です。粗利という言葉で呼ばれることもあります。
次に、営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものです。販売費は広告費用など、一般管理費は賃料や人件費などが該当します。
経常利益は、営業利益に銀行からの受取利息など営業外利益を加え、銀行からの借入金に対する支払い利息など営業外費用を引いたものです。税引前当期純利益は経常利益に不動産売却益など特別利益を加え、不動産売却損など特別損失を引きます。
最後の当期純利益とは、税引前当期純利益から法人税などを引いたものです。当期純利益は貸借対照表の純資産の部で紹介した繰越利益剰余金と一致します。
上記の5つの利益を確認することで、企業の儲け方の特徴を把握できます。たとえば、当期純利益がプラス、つまり黒字であっても営業利益が赤字であればその会社は本業では儲けることができていないということです。自社の損益計算書をチェックしてみてください。

貸借対照表と損益計算書で企業の特徴をある程度把握できますが、お金の流れまで追うことができません。実は、利益で黒字を出していても、現金がないため会社が回らなくなるという事例はいくつもあります。そこでお金(キャッシュ)の流れ(フロー)を追うことができるキャッシュフロー計算書が大切なのです。
キャッシュフロー計算書には「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」と3種類記載されています。
簡単にいうと、営業活動によるキャッシュフローは本業でどれだけお金を手に入れた(出ていった)かを示したもので、プラスの場合は営業活動で資金を増やしているということです。
投資活動によるキャッシュフローは投資によるキャッシュの出入りを示します。不動産を多く購入すればキャッシュが減るのでマイナス、売却すればキャッシュが増えるのでプラスです。
財務活動によるキャッシュフローではお金の借入によるキャッシュの流れを示しており、金融機関からの借入が増えるとキャッシュも増えるのでプラス、返済だとマイナスになります。
すでに述べたように、売上高だけでは実際にどれだけ稼げているかは把握できません。そこで、営業活動によるキャッシュフローを売上高で割り算出したキャッシュ・フローマージンを使い、数値が8%より高ければその会社の本業での収益力が比較的高いことになります。
実は、決算書は財務三表に限りません。株主資本等変動計算書や個別注記表も、決算書の一部です。
株主資本等変動計算書は、すべての会社に作成義務が課されている書類です。株主資本等変動計算書に記載されている変動事由を確認すれば、賃借対照表にある「株主資本」の各項目がなぜ変動したのかがわかります。
個別注記表とは、各決算書から読み取れない部分を補足するための書類です。例えば、個別注記表の記載項目のひとつ、重要な会計方針に係る事項を確認すれば、資産の評価や減価償却方法などがわかります。
決算書を読めるようになれば、作り方も理解しやすくなります。決算書を自分で作ることで自社の数字に強くなるため、自社の資金繰りを把握できたり、税金との関係性がわかりやすくなったりする点がメリットです。
ただし、税務面で的確なアドバイスを受けるためには、顧問税理士に相談した方がよいでしょう。
ここでは、決算書作成で必要な書類や流れについて簡単に解説します。
決算書作成で必要な書類は以下の通りです。
続いて、決算書を作成する流れは以下の通りです。

決算書の読み方を身につけるためには、今回紹介した貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を把握することが大切です。貸借対照表は会社の財政状況、損益計算書は経営成績、キャッシュフロー計算書はお金の流れを示したもので、それぞれ目的が異なるため、どれかに偏ることなくそれぞれをしっかりと分析し、多角的に企業を見つめてみましょう。
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