TOPM&A記事・コラム成功事例北海道子ども中心の教育を続け40数年。M&Aで幼稚園を新たな後継者に引き継ぐ

子ども中心の教育を続け40数年。M&Aで幼稚園を新たな後継者に引き継ぐ

2020.10.30

札幌で長年幼稚園を経営してきた高島様は、後継者不在のため第三者に事業を承継されました。最近人気の日本語や英語学習などを取り入れた方針とは一線を画し、幼児期に育むべき教育を大切にされてきたそうです。M&Aを行うにあたっては、M&Aアドバイザーにお相手探しから交渉まで全面的に任せたことで、最適な後継者を見つけることができたといいます。

 

社会で力強く生きていけるよう、人格の土台を育む場所であることを重視

――まず、幼稚園経営を始められた経緯を教えていただけますか?

幼稚園はもともと教員だった父親が開園しました。父親は終戦後に学校教材の制作会社を興し、小学校に教材を販売していたのですが、次第に学校の教育方針に違和感を覚えるようになったそうです。そこで自分で子ども達に教育を行いたいと決心し、1979年に札幌市清田区で幼稚園を始めたんです。父親が引退するタイミングで私はサラリーマンを辞め、跡を継ぎました。

 

――お父様と高島様が大事にされてきた幼稚園の教育方針とはどんなものですか?

私たちは一般の幼稚園経営とは違い、子供中心の教育をやってきました。最近の流行である日本語や英語の教育などを充実させれば親御さんを満足させることができ、幼稚園も繁盛すると思うのですが、それは違うと考えたのが私の父でした。私が継いでからも、子供中心の運営方針を一貫してきました。

 

――どういった違いがあるのですか?

子供が成長するセオリーに従って教育をするということです。大人の期待とは反することなので親御さんからの人気はあまりありませんでした。最近は、読み書きや漢字など学習スキルを教えることを期待されることが多いです。しかし、幼児期の子供には負担が大き過ぎます。もちろん、そういったことを幼児期からできる子もいますが、本来はもっと重要なことを学ばずして学習能力を上げることはできません。

そこで我々は、幼稚園でやるべきこと、例えば、意欲・好奇心・集中力・自己肯定感・協力・共感という目に見えない部分を育むことを大切にしてきました。こうした分野を学ぶ機会を逃してしまうことのほうが、将来大きなリスクだと考えています。母数は少なくてもそういうことを重視される親御さんがいたことで、可能な範囲(二つの園)で実践し続けてきました。

 

――なぜそこまで子ども中心の教育にこだわり続けたのですか?

小学校で基礎学力を学び始める前にやるべきことを、子ども達に教えたいという思いからです。立って歩く前にハイハイを十分にできていないと、歩き始めても上手くいかないでしょう。そんな感じで、いわゆる詰め込み学習とは正反対の適期教育を重視していました。小学校にあがった時に伸びる子になるためには、幼稚園で学ぶべきことがあります。

また、北海道は気候がとても厳しいところです。それを乗り越えていくためには相当な力をつけていかなければ生きていけないんですが、学力テストは全国最下位。だからといって勉強を先取りしていくのが正解ではないと考えています。

我々が目指す幼児教育は理解してもらいにくいんですが、倒産さえしなければ良いという考えで、幼稚園経営としてはギリギリでしたが園児100名程度を維持してきました。

 

後継者不在のため第三者への引継ぎを検討。一年後、教育方針に共感してくれるお相手とマッチング

――いつ頃から事業承継について考え始めたのですか? 

いまから5年くらい前です。経営は順調だったんですが、後継者がいませんでした。

 

――どのように買い手探しを始められたのですか?

まずはバトンズに掲載し、1年後くらいにマッチングしました。僕も自ら候補先をさがしていた時期もあったんですが、結果的にはバトンズに掲載して最初にマッチングしたお相手に譲渡することになりました。

僕も園の運営が忙しかったもので、餅は餅屋に頼むのが一番ということで、M&Aアドバイザーの宮竹さんに頼んでいました。掲載から2年ほどでの成約だったと思います。

 

――条件はどのように設定していたのですか?

遠いところからお相手を募集していて、第一条件が北海道の外、第二条件が札幌の外、第三条件が清田区の外にいる買い手でした。条件をたくさん出しすぎて話がまとまらないというのを避けたかったので、それ以外は金銭的なことも含めてM&Aアドバイザーの宮竹さんにお任せしていました。結果的に第3条件の買い手さんが見つかりました。

新オーナーはもともと札幌の人でしたので、ある程度お顔は知っている方でした。また、清田区以外の関東や東海エリアにも幼稚園を多数持っている法人でした。

実はマッチングした方がもう2名いたのですが、一名はちょっとエリアが近すぎたのでお断りし、もう一名は和歌山の方でトップ面談を申し込まれたのですが、幼稚園ではなく塾を経営している方だったので上手くいくかなと不安がありお断りしました。結果、同じ幼稚園経営をしていた新オーナーに譲渡することを決めました。

 

――買い手さんは高島様の園をそのまま引き継いでくださるという話だったのですか?

はい。二つの園があって先生は約25名いましたが、みなさんの雇用を継続してもらいました。また法人を残し、教育方針もそのまま引き継いでくれるということでした。人が変わると、解釈が違えば同じ経営方針だったとしてもどうなるか分からない部分はありますが、新オーナーは大きくは変えず、うちの方針を守っていきたいと言って下さいました。

 

コロナが来る前に無事に後継者を見つけることができて良かった 

――引き継がれて一年。その後変化はありますか?また保護者からの反応はいかがでしたか?

今年3月までは引き継ぎを行なっていました。しかし、私が引継ぎ期間として園にいるときに新オーナーがなかなか園にいなかったので、いまもちょくちょく園に行って引き継ぎを行なっています。これまではあまり口出しはしてきませんでしたが、交代後も相談を受けることがあるため、最近は気になることは伝えていますね。やっぱりうまくやってほしいので、それは新オーナーにもお話しています。親御さんからは特になにも言われませんでした。

 

――譲渡を終えた後のご感想はいかがですか?

後継者に継ぐというのが目的だったので、達成できてよかったです。管理システム等、組織としては新オーナーがきちんとしています。M&A後は幼稚園を新組織に早く取り込んでいこうという意識は少し感じられましたが、それは当たり前のことだと考えています。

もし今から譲渡をしようとしていたら、てんやわんやになっていたでしょう。これからコロナで会社を売りたい人がもっと増えると思いますから、早めにM&Aをすることができて良かったです。

 

――ありがとうございました。

 

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