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日本一高齢化が進む秋田で介護事業拡大のためM&A「若い介護従事者が希望を持って働ける会社にしたい」

2020年09月30日

Asian nurse taking care of mature male patient sitting on wheelchair in hospital. Young woman and old man wearing surgical face mask for protection of covid 19 pandemic. Girl smile to elderly man.

秋田県で介護事業を営む阿波野様は、事業拡大のため秋田市の介護事業所を買収されました。高齢化率が全国で最も高く、若い世代の県外流出も顕著なことで知られる秋田県ですが、阿波野様が運営する株式会社あきた創生マネジメントは20代の若手スタッフから海外出身のスタッフまで多様な人材が働いています。M&Aによって事業拡大することで、若い人材が介護業界で長く働き続けられる会社を作りたいと話されます。

 

人口が逆ピラミッド型を構成する秋田、事業拡大のためM&Aは最も効率的手段だった

 

――そもそもなぜM&Aを行おうと思われたのですか?

多拠点化し、生産性、効率性を上げ、限りある人材でも継続性を維持していくためです。元々、秋田県の能代市で介護事業を始め、3年前にM&Aで大館市のショートステイとデイサービスの事業を買収しました。そして今回の秋田市の住宅型介護施設の買収に至っています。

 

秋田県は若者が県外に流出する一方で、高齢者の人口は年々増えており、今では全国で最も高齢化が進んでいる県ともいわれています。お客様は増えているのですが、それを支える人が減り続けている状況なんです。今後も益々増えていく高齢者を支えられるだけの盤石なサービス体制を構築するためには、生産性、効率性を上げなければやっていけない。

人口ピラミッドが反対の構造になってしまったため、そんな環境で介護事業を経営していくにはどうしても事業規模の拡大が近々の課題だったんです。

秋田県は人材がかなり不足しているので拡大にあたっては1からすべて自分で始めるつもりはなく、当初からM&Aで既存事業を買収することしか検討していませんでした。

 

――人手不足は深刻ですね。売り手様の会社は何が魅力だったのですか?

買収にあたっては当然予算の条件もありましたが、サービス形態も気にしていました。マッチングした前社長は秋田市の中心で事業を展開されていて場所が良かった点と、住宅型の有料老人ホームだった点が私の買収ニーズに合致していました。また利益も出されていたし借金も少なかったのが魅力でした。

どうしても施設作りにはたくさんのお金を係るので、利用者様が一程数以上いらっしゃらないと経費がかかり、経営的には宿泊型と在宅型の混合型でないと難しいんです。それに介護報酬も制度が改定の度に下がり、人件費は上がってくる状況の為、単独のサービスだけでは経営が成り立ちません。こうした背景もあり、お客様に入所していただく形態のサービスを買収したいと考えていたところ、前社長の案件を見つけました。

 

――そうだったのですね。交渉中の論点はございましたか?

前社長は何年か前からスタッフさんにいずれ引退するつもりだと話をしてくれていたおかげで、経営母体が変わる時は、私も気楽に皆さんにお会いすることが出来ました。最初はM&A後に辞めてしまうのではないかと思って懸念していたんですけれど、前々から前社長が伝えてくれていたので助かりましたね。その他には特に問題はなかったです。

 

ベテラン従業員だからこそ、受け入れは慎重かつ明確なビジョンを持って接する

 

――M&A後に何か変化はありましたか?

プラスの面は、事前に従業員全員と個人面談をさせてもらった時、私に対して期待の言葉をかけてくれるスタッフが多かったことです。辞めることもなく柔軟に私を受け入れてくれましたのでありがたいなと思いました。

マイナスの面は、不平不満が出ることもある点です。昔から続けているやり方があるので、時に自分たちの仕事の仕方に固執してしまい、当社の雰囲気になかなか馴染めない場面も最初は見受けられました。

 

――新しい会社の一員になるということは、慣れない部分も当然出てきますよね。

そうですね。今回、従業員18名を引き継いだのですが、社風ってそんなに簡単には変わらないものだと思うのでちょっとずつ変えていこうとしています。まだM&Aを終えて9ヶ月くらいですので少しずつという感じです。

今回のM&Aを行う以前の当社は20〜30代のスタッフが半数を占めており、多様性を重視している職場なんですが、前社長から引き継いだスタッフさんは50代以上の方が多いため世代間ギャップを少し感じています。長年働いてきた分固定概念もあるため、中には変化を受け入れてもらう時に拒否反応が生じることもあります。

当社のスタッフと世代が離れている分、介護に対する価値観も異なりますし、お客様のケアの仕方から雰囲気までまったく異なります。昔ながらのやり方にこだわり続けてしまうとICT化などの効率化を進め難くなってしまいますし、若いスタッフの離職率が高まるなど職場全体への影響もあり得ます。なかなか難しい問題ですが、今は少しずつ変化を受け入れてもらっているところですね。

 

 中には私よりも年齢の高いスタッフさんもいますので時には気を使うこともありますが、自分の意見はきちんと話し会社が向かうべき方向を理解してもらえるようしっかりとビジョンを見せることを意識していますね。自分はこっちの方向を目指しているので、皆さんにもこっちの方向を向いてもらうための努力をしてほしいと促し、職場で拒否反応が生まれないようなコミュニケーションを重視しています。

 

夢は秋田の若者が希望を持って介護業界でのキャリアアップを目指せる環境を作ること

 

――買収後、コロナの事業への影響は大きかったですか?

影響は大きいですね。今は入居者さんが減ってもなかなか新規の方でベットがうまらない状況いますし、移動も難しいのでスタッフのコミュニケーション不足が課題です。感染対策のためマスクなどの備品調達と管理、またICT化の準備をし、これからの社会変化に備えている状況です。

例年は、寒くなってくると高齢での一人暮らしが不安になって入所者が増える傾向にあるのですが今年はどうなるかわかりません。コロナに関しては社会がどう動いていくかわからないという不安はありますね。

 

――高齢者は影響を受けやすいだけに、油断できないですよね。最後に、阿波野様が目指す理想の介護事業について教えてください。

そうですね。今の介護業界の人材は20代が徐々に増えてきていますが30代が極端に少なく、残りはすべて40代以上の高齢スタッフという構成になっています。これはなぜかというと、結婚や出産というライフイベントが多い30代は、特に男性の場合は介護業界でキャリアアップを望めないと判断し違う業界に転職してしまうからなんです。これまではそういう業界だったからこそ、これからは若い世代がキャリアアップでき家庭を養えるようきちんと昇級していくシステムを作りたいですし、新しい人材を育成していきたいと思っています。理想は若い子達が40代、50代になっても働き続けられるような環境を作ることですね。

 

――ありがとうございました。まだまだ予断を許さない状況が続きますが、阿波野様の新たな挑戦が秋田の若者と高齢者にとって大きな希望になることをバトンズ一同祈念しております!

 

担当したM&Aアドバイザー:税理士法人MIRAI 市川さん

今回のM&Aが成約した理由は、売手企業の加藤社長が買手企業の阿波野社長を信頼して、事業承継を決断したことに尽きると思います。阿波野社長は、自ら現場に入って仕事をするタイプの経営者だったため、同じタイプの加藤社長とすぐに意気投合しました。M&Aにおいては企業の譲渡価格以上に、売手企業・買手企業の社長の人柄が非常に重要であることを改めて実感しました。

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