TOPM&A記事・コラム成功事例金型製造業の二代目が地元同業者と円満M&A。「コロナ禍のうちに働きかた改革に負けない工場を作りたい」

金型製造業の二代目が地元同業者と円満M&A。「コロナ禍のうちに働きかた改革に負けない工場を作りたい」

2020.09.04

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金型製造業を営む森田様(仮称)。元々会社員として働かれていましたが現在は家業を継がれ、今年6月、事業拡大のため地元の同業である会社をM&Aにより買収されました。業績が上がっていた去年よりも、コロナで低迷している今だからこそ投資する決心がついたとおっしゃいます。

コロナで工場の生産量が落ちている今が、M&Aを行うには最適な時期だと思った

 

そもそもM&Aを検討され始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

当社は金型の設計・製作、そしてプレス加工をやっていて、主に自動車、産業機器、精密機器、医療器、電子機器関連と品種が多岐にわたるのですが、事業を今後拡大していくためには“変種変量・大量生産”に対応できる工場が必須だと考えたからです。

当初は工場を拡張しようと思っていましたが、新たに工場を建設するのはあまりにもお金がかかるため、どうしようかなと迷っていたときにバトンズで募集案件として前オーナーの会社を見つけました。

 

工場の生産力を底上げするための手段としてM&Aを選んだのですね。

はい。それともうひとつ大きな理由がありまして、働きかた改革への対応です。いま従業員数20人程で運営しているのですが、うちのような中小企業が働きかた改革のルールをすべて守るのは現実的にとても難しいのです・・。

 

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イメージ写真 photos for you, Pixabay

一人しかできないポジションを担っている人が有給をとってしまうとそれだけで工場が回らなくなります。また仕事が沢山あっても残業規制でやりたくてもできない。

それ故にお客様に迷惑をかけてしまう。これを解消するためには、将来的に50人以上にして生産体制をしっかり作っておかないと、今後成長を見込めないという根本的な課題がありました。

 

世の中の中小企業が働き方改革に苦労するなか、業務の細分化・分担は必須事項になっていますよね。

働きかた改革が推進され始めてから環境的に昔のような熟練の職人さんをもう作れなくなってきているんです。金型の職人は叩き上げが多く、若い頃に徹夜しながら技術を磨いてきました。そうやって会社を支えてきたのですが、今は働いてもらえる時間が明確に決まっているので従業員に経験値を積ませてあげられないのが現実です。

そうなると元々センスがいい人だとか、前向きに勉強してくれる人じゃないと職人として昇り詰めていけないのですが、そんな人はそうそういません。となると会社としてはある程度分業化してやっていかなければいけないんですね。

いままで一人でやっていた工程を3つに分けて三人で行うようにしていかないと、なかなか人を集められないご時世です。しかし、それを成り立たせるためには今の3倍以上の受注量をこなさなければ事業としては成立しません。それで、自ずと会社を大きくするしかないという方向性に至りました。

 

幸運にも地元で募集案件を発見!社長同士ウマも合い円満事業承継のおかげでM&Aは成功

 

バトンズではどのように案件を見つけられたのですか?

2~3年前から新規事業拡大のためバトンズで案件の検索はしていたのですが今年3月にバトンズで案件を発見しました。今回は既存事業の拡大が目的のM&Aだったのですが、タイミングとご縁があり上手くマッチングすることができたと思います。

 

売り手さんの魅力は何だったのですか?

うちと同じような金型の製造販売をされていたので、特別新たな機械を導入する必要なくそのまま工場を引き継げるというのが一番のメリットでした。

 

5月にトップ面談を行い前オーナーとお会いしたのですが、誠実そうな方で直感的にこのままM&Aを進められるかなと思いました。

仕事への考え方や姿勢が自分と似ている部分もあり、利益が先に立っていないというか、自分がやったことに対して利益が返ってくるという考え方をお持ちで、よくある会社を私物化しているような考え方がない方でした。幸い同じ町内で場所が非常に近かったことで、交渉も進めやすかったです。

 

交渉中の論点についてはどのような点がありましたか?

どういう譲渡の仕方にするのかについてはM&Aアドバイザーを介してよく話し合いました。当初、前オーナーは不動産のみ譲渡したいという意向があったのですが、結果的に株式譲渡が一番お互いにとってベストなスキームだということで落ち着きました。

 

会社は循環していくもの。半強制的に実家を継がざるを得なかった経験から客観的な経営視点を大切にしてきた

 

コロナでM&Aを辞めようとは思わなかったですか?

逆にこのタイミングで投資しようと思いました。実は、去年は業績好調だったのですが、調子が良いために判断を迷っていたのです。一転して今年はコロナで生産量は落ち、現在、工場をストップしている状況ですが、逆に資金を集めやすく今がチャンスだと思いました。

工場は完全の状態を作るのに半年〜1年はかかるので、今のうちに改装して来年以降の準備をしておこうと考えています。また景気が良くなってきた時に、どれだけ仕事を多く受注できるかが勝負になると思います。その為のスタートを早く切りたかったというのが正直なところですね。

うちは小さな中小企業でキャパはそんなに大きくありませんから、いくら仕事があっても請け負えないこともあります。すると、会社ってそんなに伸びないんです。

 

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イメージ写真 by Kevin Ma on Unsplash

特に働きかた改革もあって、昔みたいに無茶な働きかたをして生産量を増やすことはもうできませんし、人もすぐに増やせない。となると、景気が落ち着いて仕事が増え始めてから色々と始めても間に合わないです。だからこういう沈んでいるときに投資しておいた方がいいなと思いました。

 

景気が戻ってきた頃にM&Aを行っても遅いんですね。今回従業員は引き受けられましたか?

いえ。皆さん年配の方だったので取り敢えず今は辞めたいということで退職されました。長年お仕事を続けられてきたので休みたかったらしいです。M&Aのいいところは、技術技能を持っている人ごと確保できるのがいいところなんですけれどね。もしまた仕事をしたいと希望してくだされば受け入れたいと思っています。

 

お相手が同じ町内の同業でしたが懸念はなかったですか?

懸念はありませんでした。中小企業は親族だけで経営を続けていくのは今後益々難しくなってくるので、お互いに納得できるのであれば会社は地域で循環していくものなのかなという考えを持っています。自分の会社も事業承継の時期がきたら他の人が引き継ぐのは当たり前のことになるでしょうし。

私自身、元々は会社を継ぐ気がなく、会社員として勤務していた頃リーマンショックが起こり、半ば強制的に後継者として実家に呼び戻され事業を継ぎました笑。継いだ当時は借金が大きく、倒産するか生き残るか50/50だろうと思っていましたね。

 

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そういったご自身の経験があったからこそ、逆に客観的な視点で経営できたのですね。

親族内だけで家業を続けていくという考え方はあまり好きではなかったんです。私はたまたま運が良くいい人たちとの出会いもあり、仕事もそれなりに集まってきて、今回M&Aできるくらいに会社の体力も復活しました。ここまできたらもう止められないので、会社をもう1段階大きくしていかないといけないなと思っています。

M&Aで分業体制に着手、今後は売上目標を2倍にするため生産ラインのロボット導入を目指す

 

最後に、今後の展望を教えていただけますか?

もともと小ロット多品種なのですが、今回のM&Aで工場がひとつ増えたため、今後は変種変量に今以上に対応できるようになりたいと思います。

あとは、基本的には今やっていることの拡大ですが、もう少ししたら、次は工場を極力自動化していくことも考えています。新たな工場は今まで通り金型も作りますが、プレス加工を大量生産するためにロボットを導入し少ない人数で物づくりの生産ラインを作りたいですね。

金型技術のほうは分業体制を整えゆっくり人を育てていくしかないですが、主にプレス加工のほうは今の売上の1.5 ~ 2倍を目指していくようなイメージです。そちらは自動化を進めて強化していきたいですね。

 

案件を担当したM&Aアドバイザーのページ(https://batonz.jp/experts/191

 

Photo by Vadim Sherbakov on Unsplash

 

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