TOPM&A記事・コラム成功事例セカンドキャリア充実のためM&Aで老舗旅館を買収。再オープン後も口コミ好評「綺麗になってよかったね」

セカンドキャリア充実のためM&Aで老舗旅館を買収。再オープン後も口コミ好評「綺麗になってよかったね」

2020.08.26

「45歳になったら自分の好きなことを始めようと決めていた」と語る菅又様。昨夏、福島県二本松にある老舗旅館、「あだたらの宿 扇や」をM&Aで引き継がれました。買収後に設備をリニューアルし一年前に再オープン。口コミは高評価を維持し、リピーターのお客様からの評判もよいそうです。買収した旅館の魅力と今後の展望を伺いました。

 

引退後の目標から逆算し45歳で新たなキャリアのスタートを決意

 

なぜ旅館を経営しようと思われたのですか?

もともとクリニック経営をメイン事業として行っているのですが、45歳になったら自分の好きなことを始めようと考えていました。その計画のひとつが旅館経営。旅館経営をするにあたっては、『自宅から車で3時間でいけること、歴史があること、部屋数が20室前後であること』を条件に探そうと決めていました。

 

いま46歳なのですが、52歳になったら引退するつもりです。そのために旅館の他にも飲食事業の経営など色々と計画を始めているところです。

 

当初から経営を始めるにあたってM&Aを検討していたのですか?

そうですね。旅館は自分で作るのは大変ですし、歴史・物語があり、後世に残すべき旅館を経営したいと考えていたので、買収し引き継ぐことを考えていました。お付き合いのある金融機関等にM&Aを行いたい旨を相談していたのですが、もっと情報量を増やそうと思ってバトンズの利用をはじめ、2018年末に当旅館が掲載されているのを見つけました。

実は当時、こっそりお客さんとして宿泊させていただいたんです。

 

こっそり宿泊されていたんですね!旅館の魅力はどういったところですか?

人と料理。それと岳温泉(福島の二本松にある)は泉質がいいんです。「扇や」は天正二年(1574年)創業の長い歴史があり、私が宿泊した際もそ歴史に裏打ちされたおもてなしが魅力だなと感じ買収を決めた大きなポイントでした。岳温泉は安達太良山の中腹にあるので宿泊客の中には山に登られる方も多いです。著名人も訪れるそうで、近くには酒蔵さんも沢山あります。最近トレンドの高級路線の旅館でも、安さを売りにしたチェーンホテルでもない、昔ながらのほっとできる日本旅館がいいなあと思いました。M&A以前からのリピーターも含めて、家族連れもいらっしゃいますがどちらかというと年齢層は高めです。

今時の旅館はオペレーションを考えてルームさんとお客様が接触することがないようになっており部屋食も段々なくなってきていますが、当旅館は接客の質が高く、口コミでも高評価なんです。私が宿泊した時も、スタッフのレベルはいわゆる高級旅館のサービスや業務と比べてもあまり変わらないと感じました。あとは料理が美味しいことですね。

 

 

まさに理想の旅館を見つけられたんですね。売主オーナーとの交渉〜契約まではどのように進んだのですか?

私がバトンズで見つけた時はすでに交渉を進めているお相手がいたので一旦お待ちし、年が明けてから先に交渉されていた方が断念されたため、私がマッチング交渉を開始させていただきました。

 

トップ面談はあまり形式ばってやったわけではなく、今回依頼したM&Aアドバイザー、笠間税務会計事務所の笠間さんと堂阪さんを通じ、旅館の設備やオペレーションなど様々なコンディションをお聞きするためにヒアリングさせていただいたという感じです。前オーナーの女将さんとお話しさせていただいたのですが、ご苦労されながらも旅館を続けてこられたんだなと感じましたね。それから4月に基本合意を交わし2019年8月に成約。

 

当旅館のM&Aを行うにあたっては再生案件に近い形で手続きを進めましたので、途中からは弁護士の方ともやりとりをして前オーナーとの合意に至りました。

 

従業員へはオーナーが変わることをどのように伝えたのですか?

前オーナーの弁護士さんが、まず旧会社としては終わりですので皆さまは解雇になる旨をお話しました。その後すぐに、新しい受け皿として私が引き受けさせていただきますとお話をしました。皆とても驚かれていましたが、もともと退職を予定されていた方以外、従業員の皆さんは残ってくれて信頼関係は築けていると思います。

 

口コミ評価を生かすために大きな部分は変えず、まずは小さなところから着手

 

M&A後に変更したことはありますか? 

はい。一番工数がかかるのがお食事なんですが、複数ある会食する広間のなかでも一番大きな広間がこれまで使われてこなかったのです。いままで使用してこなかった理由もあったのですが、せっかく厨房に一番近い大広間なので使わない手はないよねということで、限られたリソースの中でうまくやっていくため使用することにしました。

 

勿論、お部屋でゆっくりご飯を食べたいという方も当然いらっしゃいますので部屋食をなくす選択肢はありません。しかし、いままでは二人以下の宿泊は必ず部屋食にしていて、それはそれで厨房とルームさんをつなぐオペレーション負担が大きかった。そこで、引き継ぎ後は部屋食を希望される場合のみオプションで提供するようにしました。

 

元々ネットの口コミ評価も高く、それを生かしたままサービスを提供したいと思っていたので、大きく変えることはせずに裏側のオペレーションを効率的にやるようにしています。スタッフも豊富にいるわけではありませので。

 

他に変更されたことはありますか?

そうですね。M&Aを行ったタイミングでサプライヤーの見直しを行いました。衛生費といって、部屋をきれいにするために委託しているサプライヤーさんが様々いるのですが、オーナーが変わるタイミングでサプライヤーとの価格交渉を実施、或いはサプライヤーそのものを変えたりしています。何かが起きないとそういう見直しってできないので、運営母体が変わるタイミングで一斉に見直しをしました。

 

経営を始められて一年。お客様の評価はいかがですか?

一度リニューアルするために休業しているのですが、お客さんがその時期に大きく減ったんです。それがいまは徐々に戻ってきています。ファシリティーの面では老朽化が進んでいてリニューアルは結構大変だったんですが、きれいにして再開したところ昔からのリピーターのお客様が宿泊しに来てくださって「きれいになってよかったですね」と言ってくださったときは本当に嬉しかったです。また口コミの評価も変わらないので、引き続き高評価を維持したいと思います。

 

少しずつ理想に近づいている。新しいことへの挑戦は前年度の集客数まで復活してから

 

コロナの影響はありましたか?

ありましたね。コロナで一番酷かったのが4月。接触をなるべく避けなければいけないので、土日の日帰り入浴を中止したり、本当はご飯を食べてゆっくりしていただきたいのですが、2食付きのサービス数を制限せざるを得なかったり、朝晩のお食事をお部屋で取っていただくなどといった対応をしていました。

 

前年に比べるとまだ業績は戻ってきていないですが、だいぶ回復してきてはいます。5月以降は徐々に戻る傾向にあって、6月以降はGo Toキャンペーンや各自治体さんが県民割などを始めたのでだいぶお客様が戻ってきていて、平日はまだちょっと厳しいですが、週末や連休は予約でいっぱいです。

 

イメージ図

とはいえ状況的には厳しいので、まずは安定的に運営できるようにしてから従業員を増やしていきたいですね。いまは必要最低限の体制で運営しておりお客様をフルに受け入れられない状況で、平日は2食付きのお客様の数を制限しています。

まずは宿のキャパシティーを最大限に活用しお客様の受け入れを前年度と同じくらいまでに戻さないと、新しいことをやるにも工夫の余地がないかなと思っています。

 

何をやるにもまずは人手が必要なのですね。

そうですね。ちょうど人員を増強しようと思っていたところにコロナだったので、先が見えないと人を採用するリスクは大きいと思っています。コロナもそうですけれど、災害などは我々の力ではどうにもならないうえに、いつどうなるか分からないという怖さはありますね。また旅館といっても地方の小さな会社なので、地方ならではの経営の難しさはある程度想定しています。

 

この一年でご自身の理想に近づいていますか?

色々と整備しつつ、着実に近づいていると思います。当旅館の運営が軌道にのれば、旅館のバリエーションを増やし、平行して開始した飲食事業の拡大も考えていきたいですね。そして引退後は、自分が経営する施設を巡りながら暮らせるといいなと思います。

 

従業員と共に再スタートを切ってから少しずつ以前の活気を取り戻しつつある「あだたらの宿 扇や」。都会の喧騒を忘れて優雅な自然の中で癒されたい時は是非、温泉の名所、二本松は岳温泉まで足を運び、リニューアルした「扇や」で疲れを癒してみてはいかがでしょうか。

 

 

「あだたらの宿 扇や」
http://www.oogi-ya.co.jp/
〒964-0074 福島県二本松市岳温泉1-3

この案件を担当したM&Aアドバイザー、笠間税務会計事務所の紹介ページhttps://batonz.jp/experts/577

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