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手法ごとに異なるM&Aの税金 税制上最も有利な方法をご紹介

2020年05月12日

会社を経営するオーナーであれば、税金との付き合いは避けては通れません。もしM&Aを行なった場合は、従来とは手法が異なる税制にも対応せねばならず、事前にしっかりと節税の知識を学んでおくことが懸命です。賢く節税するための基本を理解するため、今回はM&A時の税金について解説します。

 

M&Aの手法

M&Aにはいくつかの手法があります。その中でも中小企業のM&Aの大多数を占めるのが「株式譲渡」ですが、これは売り手側の企業の株主が買い手側の企業に株式を売却し、買い手側の企業はその対価として現金を支払う方法です。

中小企業では全株式を売却するケースも多いですが、理論上は発行済株式の3分の2以上を保有すると会社の支配権を手に入れることができます。

株式譲渡

株式譲渡はほかの手法と比べると手続きが比較的シンプルです。株主が変わるだけなので、基本的に会社の事業や従業員はそのまま残すことができるというメリットがあります。一方で、買い手側の企業は負債もまとめて引き継ぐことになるため、売り手側の企業の財務状態などをよく確認しておく必要があります。

事業譲渡

事業の全部または一部を売却する「事業譲渡」という手法もあります。これは中小企業だけでなく、大企業のM&Aでもよく用いられています。事業譲渡の多くは、複数の事業を持つ企業が事業整理の一環として既存事業の一部を譲渡するというパターンです。

買い手側の企業にとっても、必要な事業だけを譲り受けることができるため合理的です。ただし、項目ごとに譲渡対象かそうでないかを決める必要があり、株式譲渡よりも手続きは煩雑です。

組織再編

複数の会社をひとつにする「合併」やひとつの会社を複数に分ける「分割」という手法もあり、このようなM&Aはまとめて「組織再編」と呼ばれます。発行した株式を対価とすることができるため、多額の現金を用意しなくてもよいのがメリットのひとつです。ただし、対象となる事業分野では社内の雰囲気が大きく変わる可能性もあり、従業員の士気が下がるなどのデメリットも考えられます。

これらのどの手法を選ぶかによって、M&Aにかかる税金は変わります。ここからは手法ごとにどのような税金がかかるのか説明します。

 

株式譲渡にかかる税金

株式譲渡を行う場合、どのような税金がかかるのでしょうか。株式譲渡では、元の株主が個人か法人かによって税金の種類が異なります。それぞれ見ていきましょう。

売り手の株主が個人

まず、売り手の株主が個人のケースです。この場合、「譲渡所得税」が発生します。譲渡所得税には、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3種類が含まれています。株式の譲渡益に対して、所得税は15%、住民税は5%、そして2037年までの期間限定の税金である復興特別所得税は0.315%(所得税の2.1%)となっています。つまり、個人が株式を譲渡したときは、以下のように譲渡益の20.315%を譲渡所得税として支払わなければいけません。

譲渡所得税 = 所得税 (15%) + 住民税 (5%) + 復興特別所得税 (0.315%)

なお、所得税と住民税は納税時期が異なります。所得税と復興特別所得税は、確定申告の期限である翌年の3月15日までに納税する必要があります。住民税は確定申告をした年の6月頃に届く納付書に従って納税します。

ちなみに譲渡益とは、株式の譲渡価格から株式の取得費用と譲渡にかかった費用を差し引いたものです。株式の取得費用がわからない場合は、譲渡価格の5%を取得費として計算することも可能です。

譲渡益 = 譲渡価格 – (取得費用 + 譲渡経費)

売り手の株主が法人

次に、売り手の株主が法人のケースです。個人とは異なり、法人の場合は譲渡益に対して法人税等が発生します。会社によっても異なりますが、実効税率はおよそ30%程度となることが多いでしょう。

譲渡益は、個人が株主の場合と同じ考え方で計算できます。ただし、譲渡価格の5%を取得費用とみなす概算は認められません。より正確な譲渡益の算出が必要なので注意しましょう。

 

事業譲渡にかかる税金

事業譲渡を行う場合はどのような税金が発生するのでしょうか。株式譲渡とは異なり、企業間の取引である事業譲渡では株主が税金を払う必要はなく、企業に税金の支払い義務が発生します。

売り手側の企業は、事業譲渡の売却益に対して法人税等を支払います。売却益とは売却額から売却した資産の簿価を差し引いたものです。法人税等とは法人税や法人住民税、事業税などを合わせたもので、実効税率はおおよそ30%程度となります。

売却益 = 売却額 – 譲渡資産の帳簿価額

また、事業譲渡の場合は買い手に消費税も発生します。売却額に消費税率を上乗せして、売り手が買い手に請求するのが一般的です。ただし、消費税のかかる資産とかからない資産とがあることに気を付けなければいけません。課税資産と非課税資産は以下の通りです。

課税資産:土地以外の有形固定資産、無形固定資産、棚卸資産、営業権など

非課税資産:土地、有価証券、債券(貸付金など)など

不動産が譲渡の対象となっている場合、買い手は不動産取得税や登録免許税も負担する必要があります。不動産取得税は原則4%です。登録免許税は内容によっても異なりますが、法人の合併などによる所有権の移転であれば0.4%となっています。

事業譲渡の場合をまとめると、売り手側の企業には法人税等が、買い手側の企業には消費税と不動産関連の税金が発生することになります。

 

組織再編にかかる税金

合併や分割などの場合、その組織再編が税制適格要件に当てはまるかどうかが重要なポイントです。適格条件に当てはまれば税金は発生しませんが、当てはまらなければ譲渡損益が発生し、法人税等の対象になります。法人税の税率は企業により異なりますが、一般に30%程度で概算されます。

基本的な考え方としては、資産の引継ぎが帳簿価格で行われて譲渡損益が発生しなければ適格、時価で行われ譲渡損益が発生すれば非適格となります。ただし、実際に税制適格要件に当てはまるかどうかには細かい条件があります。専門家に相談するのがベターですが、とりあえずは「移転した資産に対して実質的な支配関係が継続するかどうかで異なる」と理解しておくとよいでしょう。

 

会社/事業の売却益を退職金として受け取って節税!

税金はもちろん支払わなければいけないものですが、節税の知識を学び賢く納税したいものです。節税方法を簡単にいくつか見ておきましょう。

個人で所有している株式を譲渡する場合、売却益の一部を会社の退職金として受け取ることで税金を抑えることができます。退職金にかかる税金は、一定額までであれば株式の譲渡益にかかる税金よりも少ないからです。

 

売却対象でない資産は別会社に移動させてむやみに資産へ課税されるのを減らす

不要な資産を別会社に移動しておき、必要な部分だけを売却するのもひとつの方法です。売却する必要のない資産への課税を防ぐことができるからです。なお、事業譲渡であれば項目ごとに譲渡の可否を決めることができるので、株式譲渡よりも税金対策を検討しやすいかもしれません。

 

第三者割当増資を用いて、資産にかかている税金をなかったことに

また、株式譲渡をする代わりに「第三者割当増資」を用いる方法もあります。新たに株式を発行して譲渡すれば会社の経営権を移転することができますが、これは株式譲渡ではなく増資と判断されるため、基本的に税金がかかりません。ただし家族同士であるケースでは贈与税が発生する可能性もあります。

 

有利にM&Aを達成するために

M&Aでは手法によって税金の納税率が異なるうえ、それぞれの税制には複雑な点が多くあります。できるだけ有利にM&Aを達成できるように、基本的なルールを押さえておく必要があります。

もしも納税額を間違えたり、節税のつもりで気が付かないうちに法令に違反したりしてしまうと、追徴課税されてしまう可能性があります。節税しつつ正しく納税するためには第三者の意見を聞くのが大切です。M&Aを検討するときは、税金のことも合わせて専門家に相談しましょう。

 

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