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中小企業の経営を新型コロナから守る!経産省の支援策【資金繰り編】

2020.03.16

新型コロナウイルスの感染拡大は予断を許さない状況が続いていますが、ビジネスへの影響も深刻さを増していると言えます。非常に幅広い業種で感染拡大や消費者の自粛による影響が出ておりとくに中小企業では資金繰りに困る事態が多々発生しています。

こうした事態に対応するため国は段階的に支援策を打ち出しており、経済産業省が支援の取りまとめ役して働いているところです。この記事では経済産業省が公表している資金繰り支援策を取り上げ、それぞれの支援策がどんな業種の企業に適しているかといった点も含め、高校生でも分かるくらいに噛み砕いて解説していきます。

信用保証制度による資金繰り支援

新型コロナウイルス対策では、通常利用できる信用保証に加えて2種のセーフティネット保証が申請できます。信用保証制度についてよくご存じない方のために制度のあらましを紹介してから、具体的な支援策の内容を紹介します

信用保証制度とは?

金融機関から融資を受ける(お金を借りる)ためには、「利子を付けてちゃんと期限までに返せる」ことを信用してもらう必要がありますところが中小規模の会社や個人事業主は大企業に比べて経営に安定感がないと見なされてしまい、思うように融資を受けられない場合が多々あるのです。

これを解消するために設けられているのが信用保証制度で、全国各地にある信用保証協会によって運営されています。

信用保証協会の審査に合格した企業は、信用保証料を納めさえすれば万一の場合に借金返済を協会に肩代わりしてもらえるため、融資が受けやすくなります協会が「必ず返済する」という「信用保証」をするので、金融機関としても融資に積極的になれるというわけです通常の信用保証では実際に保証されるのは借金残高の80%にとどまりますがそれだけでも十分に大きい安心材料と言えます。

セーフティネット保証4号・5号による支援|一般保証と別枠で2.8億円

通常運営されている信用保証(一般保証)のほかに、経営がとくに困難になった場合に利用できる「セーフティネット保証(全8種)」があり、両者を併用することも可能です(融資可能な金額はいずれも上限2.8億円

今回の新型コロナウイルス対策ではセーフティネット保証の4号と5号が適用されます。それぞれの内容は次の通りです。

セーフティネット保証4号

対象

自然災害などにより広範囲に影響が出ている地域の企業→今回は全都道府県の企業

【適用条件】

最近1か月の売上高が前年同月と比べて20%以上減少

保証額

5号と合わせて最大2.8億円100%保証※一般保証と併用可

セーフティネット保証5号

対象

全国的に業績が悪化している業種の企業→3月11日時点で508業種(下記URL参照)

(1月1日から継続)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-3.pdf

感染拡大を受け3月6日に追加)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-2.pdf

さらに3月11日に追加)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007-3.pdf

【適用条件】

最近3か月の売上高(または直近の月の売上高と今後2か月の売上見込を合わせたもの)が前年同時期と比べて5%以上減少

補償額

4号と合わせて最大2.8億円80保証)※一般保証と併用可

すでに急激な売上悪化が生じている企業は業種を問わずセーフティネット保証4号が利用できます。4号は借入金の100%が保証されるのが特徴です。

新型コロナウイルス感染症拡大でセーフティネット保証5号の対象に追加されたのは次のような業種です。

■セーフティーネット保証5号対象業種の例

イベント中止・教室閉鎖・消費自粛・中国人観光客の途絶により打撃を受けている業種

フィットネスクラブ、娯楽施設、冠婚葬祭式場・集会場、飲食業、学習塾・各種教室理容・美容店、宿泊施設、旅行会社、乳製品製造業など

中国にある工場の閉鎖で部品・資材調達が困難になっている業種

各種製造業、卸売業、建設業など

5号は適用条件が緩やかで、今回に限って売上「見込」の減少を勘定に入れられるのがポイントです。今後も自粛の影響や調達困難が続くと見込まれる企業では力強い味方となるでしょう。

https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/keiei-shisho.html

https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200228001/20200228001.html

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007.html

危機関連保証|上記保証と別枠で2.8億円

危機関連保証の内容は次の通りです。例えば、セーフティネット保証5号の対象業種でとくに売上・売上見込の減少が大きい企業などが利用できます

危機関連保証

対象

非常に大規模な災害・経済危機により売上高が減少している企業→今回は全国・全業種の企業(ただし信用保証制度の対象業種に限る)

【適用条件】

最近1か月の売上が前年同月に比べて15%減少し、今後2か月の売上見込を合わせた3か月の売上が前年同時期間に比べて15%減少

保証額

最大2.8億円 ※一般保証・セーフティネット保証と併用可

政策金融機関による融資

政策金融機関は政策実現の目的で設置されている金融機関です。新型コロナウイルス感染症対策では日本政策金融公庫(沖縄県では沖縄振興開発金融公庫)と商工組合中央金庫により特例措置が講じられます

以下ではそれぞれの措置の内容を解説します。融資に使われる用語を最初にまとめておきましたのでご参照ください。

 

融資で使われる用語

設備資金:土地、建物、機械装置など、長期間使用するものを購入するためのお金。

運転資金:売り物や部品・材料の購入費、人件費、広告費など。

据置期間:融資額(借金)の利子だけを払う期間。例えば据置期間が2年なら、最初の2年間は利子だけを払い、3年目から借金本体の返済が始まります。当初の負担が軽いため、経営の安定化に集中しやすくなるのが利点です(ただし据置期間なしの場合よりも返済額は大きくなります)。

貸付:融資のこと。

金利:利子のこと。

セーフティネット貸付|日本政策金融公庫

新型コロナウイルス対策では日本政策金融公庫のセーフティネット貸付の適用条件が緩和されています。貸付の概要は次の通りです。

セーフティネット貸付(条件緩和)

【対象】

社会・経済・環境の変化など、外から来る原因により一時的に売上が減少しているが、長い目で見れば業績が回復すると見込まれる企業

→通例は「売上高5%減少している」などの基準を満たす必要があるが、今後の影響が懸念されさえすれば融資対象となるように条件を緩和

【用途

運転資金、設備資金

【融資限度額】

中小企業 7.2億円、個人・小規模法人4,800万円

【貸付期間】

設備資金15年以内、運転資金8年以内(いずれも措置期間3年以内

【金利】

中小企業1.11%、個人・小規模企業1.91% ※令和2年3月2日時点(貸付期間・担保の有無などにより変動

今後の影響が懸念されるというだけで申請可能ですので、これからの歓送迎会・花見シーズン・ゴールデンウィークなどが書き入れ時となっている企業などは早めに政策金融公庫の相談窓口に問い合わせるとよいでしょう。

新型コロナウイルス感染症特別貸付・特別利子補給制度

新型コロナウイルス感染症対策のために創設された貸付制度です。最近1か月の売上悪化をもとに審査されるため、今まさに影響を受けている企業がタイムリーに融資を受けることができます。とくにフリーランスを含む小規模事業者は短期間で決定的な打撃を受けかねないため、柔軟に対応してくれることになっています。

また、令和2年1月29日以降「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口(政策金融公庫・信用協会など)」を介してすでに融資を受けている方は遡ってこの制度の適用を受けることも可能ですので、ぜひ政策金融公庫にご相談ください。

■新型コロナウイルス感染症特別貸付

【対象】

新型コロナウイルス感染症で影響を受けている企業

【適用条件】

①最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同時期と比較して5%以上減少

②(業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合)最近1ヶ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少

a 最近1か月を含む過去3か月の平均売上高

b 令和元年12月の売上高

c 令和元年10月~12月の平均売上高

※フリーランスを含む小規模個人事業主の場合、影響を(数値でなく)言葉で説明するだけでも検討対象とする

【用途

運転資金、設備資金

【担保】

無担保

【貸付期間】

設備20年以内、運転15年以内(いずれも据置期間5年以内)

【融資限度額】

中小企業3億円、個人・小規模法人6000万円 ※他の貸付と併用可

【金利】

中小企業:3年間0.21% 4年目以降1.11%

個人・小規模事業者:3年間0.46% 4年目以降1.36%

フリーランスを含む小規模個人事業主と、とくに大きな売上減があった企業に対しては、次の通り無利子融資の措置も用意されています。

■特別利子補給制度

【対象】

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」で融資を受けた企業

【適用条件】

フリーランスを含む小規模個人事業主(無条件)

②小規模法人:売上高15%減少

③中小企業:売上高20%減少

①②の「小規模」に該当する条件:卸売業・小売業・サービス業は従業員5名以下、製造業建設業運輸業その他業種は従業員20名以下

【利子補給】

期間:借入後3年間

補給対象上限:中小企業1億円、個人・小規模法人3000万円

マル経融資の金利引き下げ

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は商工会議所や商工会から経営指導を受けている小規模事業者が担保・保証人なしで利用できる融資制度です。新型コロナウイルス感染症で売上が減少した場合は次の通り利子を引き下げた融資が提供されます。

マル系融資(金利引き下げ)

【対象】

個人・小規模法人

【適用条件】

最近1か月の売上高が前年または前々年の同時期と比較して5%以上減少

【用途】

運転資金、設備資金

【融資限度額】

1,000万円 ※通例のマル系融資(限度額2,000万円)と併用可

貸付期間】

設備資金 10 年以内(据置期間4年以内)

運転資金 7年以内(据置期間3年以内)【金利】

3年間0.31% 4年目以降1.21%

 

衛生環境激変対策特別貸付

感染症・食中毒による衛生環境激変で一時的に業績が悪化してい企業に対し、厚生労働省を初めとする関係省庁の指示のもとに実施される貸付です。今回は飲食店・喫茶店・旅館業が対象となっています。最近1か月の売上悪化をもとに審査されるため、消費者の自粛や団体予約キャンセルなどで今まさに打撃を受けたばかりの企業が申請できます。

衛生環境激変対策特別貸付新型コロナウイルス感染症向け

【対象】

新型コロナウイルス感染で影響を受けた飲食店・喫茶店・旅館業営業者

【適用条件】

次の①または②に該当し、今後も売上減少が見込まれるがいずれは業績が回復されると予想される

最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同時期に比較して10%以上減少

②(業歴3ヵ月以上1年未満の場合最近1ヵ月の売上高が過去3ヵ月の売上高の平均額に比較して10%以上減少

【用途】

運転資金

【貸付限度額】

飲食店・喫茶店営業1,000万円、旅館業3,000万円 ※他の原因による衛生環境激変対策特別貸付と併用可

貸付期間】

7年以内(据置期間 2年以内)

【金利】

1.91% ※振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員は1.01%

 

経済産業省が発表している新型コロナウイルス対策について「資金繰り編」を紹介してきました。一刻を争いかねない状況については短いスパンでの申請が可能なものが多くなっていますので、ぜひ迅速な対処に活用してください。

 

 

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