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事業承継の計画の立て方 計画書作成前に知っておくべきこと

2020.06.09

中小企業を中心に事業承継の件数は増加しています。

しかし、中小企業経営者が実際に事業承継を行おうとしたとき、いつから準備を始めるべきか、何をするべきか分からない方が多いのではないでしょうか。

今回は、事業承継を行う際のプロセスや事業承継計画書の作成方法について紹介します。

 

事業承継計画書とは

事業承継計画書とは、企業の経営者が後継者に事業承継を行うときに作成する計画書のことです。事業承継計画書には事業承継におけるプロセスだけでなく、現在の企業の内部環境や外部環境について整理する必要があります。予想される内部環境や外部環境に基づいて事業承継プロセスや事業承継時期を決めます。

事業承継計画書の作成方法にルールはありません。しかし、中小企業庁はホームページで事業計画書の例を紹介しています。その例では以下の項目について考える必要があると記述されています。

1.事業承継の概要
2.経営理念、事業の中長期目標
3.事業承継を円滑に行うための対策・実施期間

(1)関係者の理解、(2)後継者教育、(3)株式・財産の分配

事業承継を考えている経営者の方は一度、中小企業庁のホームページの例を参考に作成してみましょう。

 

準備はいつからすべき?

事業承継を行うためには、まず事業承継計画書を作成する必要があることを紹介しました。では、事業承継をいつから準備するべきなのでしょうか?ここからは事業承継にかかる期間や適切な開始時期について紹介します。

5~10年前から始める

事業承継の準備開始は、後継者に事業を譲り渡そうと考えている年の5~10年前に開始するべきです。

これほど準備期間がかかる理由は後継者教育です。後継者には次期経営者として勉強させたり、経験を積ませたりする必要があります。また、次期経営者としてのビジョンや経営理念も引き継ぐ必要があるため、ある程度の期間が必要になります。

このようなことから、後継者教育の期間は経営者の考え方により短長はありますが、平均して5~10年かかります。また、事業承継計画書を作成するときには後継者が決まっていなければなりません。つまり、事業承継の準備は後継者探しの段階から始まっていると言えます。

決算終了後(株価算定の後)

事業承継の準備を開始する時期としては、決算終了後が好まれます。

理由としては、承継する資産や株式の価格が決算のために算出されているからです。事業承継計画書には株式や財産の分配についても記載します。決算後であれば、株式や財産の時価総額が分かるため、計算の手間を省いて事業承継計画書を作成することができます。

 

事業承継計画書の準備方法

次は事業承継計画書の準備方法について紹介します。

現状把握

事業承継計画書は、事業承継をどのように進めていくのかを記載した計画書です。会社の現在の内部環境や外部環境をしっかり把握したうえで、方策や対策を立てましょう。

内部環境を把握する場合、まずは自社の経営資源を確認することになります。ヒト・モノ・カネ・情報資源などすべてを洗い出します。その中で、自社の強みと弱みを抽出し、強みをどのようにして生かすのか、逆に弱みをどのようにして克服するのかを事業承継計画書に落とし込みます。

外部環境については、現在から数年後に起こりうる自社への機会と脅威を洗い出します。そして機会をどのようにして獲得するのか、逆に脅威をどのようにして回避するのかを記載します。

このようにして自社の現状を把握し、これをもとに事業承継計画書を作成します。

承継方法・後継者を決める

次に承継方法や後継者を決めます。承継方法には株式譲渡や会社譲渡などの方法があります。これについてはM&A専門家との相談の下、どのような承継方法が適しているか決めましょう。

後継者については事業承継計画書作成段階では決めておかなければなりません。事業承継計画書には後継者育成の欄があり、何年後にどのような教育を行う予定なのか記載します。後継者教育はその後継者に応じて決める必要があるため、できるだけ早い段階で後継者を決めておきましょう。

磨き上げ

最後に事業承継計画書の磨き上げを行います。特に重要なことは、後継者との認識のすり合わせ・負債の処理・新戦略の確認の3点です。

事業承継では事業だけでなく、経営者のビジョンや経営理念も引き継ぐ必要があります。これが引き継げないと経営方針が大きく転換してしまい、従業員など利害関係者から反感を買う恐れがあります。これに関連する形で新戦略についてもすり合わせておきましょう。

負債の処理について、事業承継では原則的に負債を含めたすべての資産を引き継ぐことになります。そのため、経営者は借入金圧縮などを行い、自身や後継者の負債の負担が小さくなるように対策を講じておきましょう。

承継によって経営者が変わることで、戦略にも変化が起こります。新しい戦略について事前にステークホルダー*に理解してもらうことは円満な承継に必要です。あらかじめ新旧経営者で戦略に関する考え方をすり合わせ、株主や従業員の理解を得られるようにしましょう。
*事業などで利害関係が生じる取引先株主・顧客・経営者・従業員

 

計画を立てる際のポイント

次は計画を立てる際のポイントについて紹介します。

節税を意識する

後継者に株式や資産を贈与すると贈与税などの税金がかかります。そのため、経営者は後継者のことを考えて節税を意識した事業承継を行う必要があります。具体的には、親族内承継の場合、贈与税の配偶者控除を、親族外承継でも基礎控除や事業承継税制などの控除や制度を使って節税することができます。

早くから準備を行う

後継者育成には時間がかかるため、早くからの準備が必要です。また、ステークホルダーからの信用を失わないためには適切な段階で事業承継について周知しておくべきです。

さらに株式移転について、時間をかけることで贈与税の基礎控除を毎年使うことができるため、節税することができます。

以上のことからできるだけ早いうちに事業承継の準備をしましょう。

 

M&Aで後継者を見つける

事業承継のスキームには親族内承継、従業員への承継、M&Aによる事業承継の3種類あります。前者の2つには後継者が必要になるのですが、事業承継計画の中で最も難しい部分は後継者の確保であると言われています。現に、後継者の確保ができずに廃業する例も見られます。

後継者問題による廃業を回避する方法として、M&Aによる事業承継があります。これはM&A仲介会社に売却先を選定してもらい、事業承継を行う方法です。「後継者問題はあるが、事業承継を行いたい」と考えている経営者の方は、M&Aによる事業承継を行うことをおすすめします。

 

計画的にスムーズな事業承継をしよう

今回は、事業承継計画書の作成方法や準備方法について解説しました。スムーズな事業承継を行うためには、綿密な事業承継計画が必要です。

また、綿密な計画書を作成し、それを確実に実行するためには時間がかかります。経営者はできるだけ早い段階で事業承継を意識し、準備を始めましょう。

 

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