▼地方出身の学生やサラリーマンの方は「地元に戻りたいが就職先がない」と悩んでいる人が数多く存在します。
一般的に、地方で大卒が就職できる企業は「役所」「地方銀行」「メディア」の3つだけなどと言われます。しかし、「働く」ということは何もサラリーマンをするということだけではないのです。
地方は今、後継者不在によって廃業に陥る会社が続出しています。中にはビジネスモデルがしっかりと構築されており、収益が確保されているのに後継者が見つからずに廃業になる会社が半数以上とも言われます。
IターンやUターンを希望する人は、このような企業を買って経営者として地方で働くという新しい選択肢もあるのです。
この記事では、会社を買ってIターンやUターンを実現するメリットやデメリット、また、実際にどのように企業を買うのかなどについて解説していきます。
Iターン、Uターンは農業をしに帰るだけではないんです
地方の企業は廃業ラッシュ
2025年までに約127万の企業が廃業すると言われています。
後継者不足は地方が深刻だと言われていますが、その実態どのようになっているのでしょうか?
2016年の帝国データバンクなどの調査をもとに詳しく解説していきたいと思います。
・地方ほど後継者不足は深刻
後継者不足は地方の方が都市部よりもやはり深刻のようです。
2016年の帝国データバンクの調査によると。後継者不足が最も深刻なのは、北海道で実に74%が後継者不在となっています。
最も後継者不在率が低い四国でさえも52.2%となっており、実に日本企業の3分の2が後継者不在となっていることになります。
・後継者が決まっている企業は3分の1
同じく2016年の帝国データバンクの調査によると、調査を行った334,117社のうち、後継者が決まっていると回答した企業は111,860社しかありません。調査に回答していない会社でも、多くの企業は後継者が決まっていません。
・小さい企業ほど後継者が不在
売上規模別に見ると、売上1億円未満の企業の後継者不在率は78%にものぼります。
反対に売上1,000億円以上になると、後継者不在率は24.3%ですので、いかに規模が小さな企業ほど後継者がいないことがお分かりいただけると思います。昔よりも多くの情報が入ってくる現代ですから、後継者になり得るご子息等にとってみても家業を継ぐ以外の選択肢の方に進みたい、と考えるのも決して不思議な話ではありません。
・半分近くが黒字で廃業
2013年の経済産業省の調査によると、廃業した企業のうち、実に44.1%が経常黒字で廃業しています。
つまり、多くの小規模事業者が、儲かっているのに廃業しているのが実態なのです。
さらに、廃業した企業の70%以上が、金融借入が特別多いというわけではなく、会社そのものには事業を続ける体力があるにもかかわらず、廃業してしまっているのです。
・年間3万社が後継者不足で廃業
東京商工リサーチによると年間3万社が後継者不足によって廃業となっているとしています。
さらに、経済産業省によると、経営者の年齢が60歳以上で後継者が決まっていない企業は日本企業の3分の1に相当する127万社にのぼると言われています。
2025年までに実に127万社が後継者不足によって廃業する危機に日本は瀕しているのです。
IターンやUターンを検討する際には就職先を見つけるよりも、すでにビジネスモデルが確立され、収益が確保され資産も十分にある、これらの企業を承継し、経営者として地方で働くという方法が今後フォーカスされる働き方であるように思います。
企業を買うメリット
企業を買ってIターンやUターンすることには多くのメリットがあります。
大きな特徴としては、すでに収益が出ている事業に乗ることができるという点でしょう。
主なメリットについて解説していきます。
・すでにビジネスモデルが確立されている
企業を買う際には「売上がいくら」「収益がいくら」「資産と負債がいくら」などというように、企業の収益や資産の状況が明示されています。
この情報から、ではこの費用をもっと削ればよい、この売上はもっと増やせるなど、出来上がったものにエッセンスを加えるのはゼロから考えるよりも数段簡単で、かつリスクが低いです。
・転職で経営者になれる
転職といえば、サラリーマンからサラリーマンになるというのが一般的です。
しかし、企業を買って転職するということは、転職によって経営者になれるということです。自由を求めて経営者に転職する、そんな世界がもうそこまで来ています。
・ライフスタイルから選択でき家族がハッピーに
「山が好き」「海が好き」など本当はその人の嗜好に合った地域で生活を送りたいが、仕事の関係でやむなく都会に住んでいるという人は数多くいます。
しかし、後継ぎを募集するマッチングサイトなどではあらゆる地域から案件を選択することができます。
山が好きな人は、例えば長野などの会社を引き継げば、仕事と好みのライフスタイルが一致することになり、ワーク・ライフ・バランスが調和したハッピーな生活を送ることができるでしょう。
・退職金で購入できる
実は、企業の引き継ぎは1,000万円以下でできるものもあります。
1,000万円以下であれば勤続10年程度の退職金で購入できるケースもあるでしょう。
このため退職金を用いて、借金をすることなく事業を始めることも可能なのです
・副業としても検討できる
ビジネスモデルが確立されていて、既にいる従業員さんで回っている事業であれば、必ずしも自分が毎日出社する必要はありません。
今は、政府が主導するパラレルキャリアという考えが普及しており、企業の中には従業員の副業や、本業でサラリーマンをしながら会社経営をする人なども増えてきています。
後継者不在企業を引き継いで経営に乗り出すということは、副業の1つの手段として活用することもできるかもしれません。
・新規開拓の営業に苦労しない
事業を始めるにあたって、最も大変なのは会社が軌道に乗るまでに新規開拓の営業を行うことです。
しかし、すでにビジネスモデルが確立されたこの方法であれば、新規開拓を行わなくてもすでに顧客がついているため、最も重要なのは既存の顧客を守ることになります。
新規で事業を始めるよりも非常に効率的に事業を始めることができる点も大きなメリットです。
次回はデメリットについてお話します。
②は10月29日(月)更新予定です。
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