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介護業界の人材不足問題 今後の対策と未来は?

2020年01月29日

深刻な人手不足に悩まされている介護業界。高齢化に加え、労働環境や家族の在り方が変わってきたことで、独居、高齢世帯だけでの生活などお年寄りを取り巻く環境が変化し、手助けを必要とする人は増えています。一方で若手の介護の担い手は少なくなっており、現場の人手不足をどのように解消するかが大きな課題です。

今回は、介護業界の現状と課題、そして課題への対策について解説します。

需要と供給が一致しない介護業界

介護業界では、需要と供給のバランスが崩れてきています。ここでの需要とは、介護サービスを必要とするお年寄りのこと、供給とは、その要望に応えて介護サービスを提供する働き手のことを意味します。

2つのバランスが崩れているというのは、何らかの手助けを求めるお年寄りが増えているにもかかわらず、その需要に十分に対応できるだけの介護の人材がいないということです。これが、介護業界の抱えるもっとも大きな問題となっています。

 

加速する高齢化

日本では、出生率が年々低下し、少子高齢化が進んでいます。これが介護業界の人手不足の大きな要因の1つです。高齢者、すなわち65歳以上の人は、日本の人口の28.1%を占めています。高齢化は今後もどんどん進んでいき、2065年にはおよそ2.6人に1人が65歳以上、およそ3.9人に1人が75歳以上になるといわれています。

一般的に、何かしらの介護サービスが必要になってくると考えられる年齢が75歳です。このままこの状況が続くと、いかに深刻な問題になっていくかがわかると思います。

 

若手人材が不足

高齢者の増加としばしばセットで語られる問題が、若手人材の不足です。この問題は、介護業界以外でも多くの業界で発生していますが、働いてほしいと思う会社と実際に働く人の数のバランスが崩れ、より良い環境や条件の職場に人が集中する一方で、そうでない職場では深刻な人手不足が発生しているのが現況です。

つまり、介護業界は他の業界と比較して「良い環境や条件が整っていない」というのが今の若い世代の方々の認識なのです。

 

なぜ人が不足するのか

介護業界が人材不足に陥っている原因は、単純に若い働き手の人口が減少していることだけではありません。業界が抱える特有の問題や、先述した介護に対する漠然としたイメージなどが人材不足に拍車をかけています。具体的にどのようなものがあるのか、詳しく解説していきます。

 

いわゆる3Kのイメージが浸透

多くの人は、介護業界に対して「3K」のイメージを持っているようです。3Kとは「きつい、きたない、きけん」を意味する言葉で、労働環境が良くない職場を指します。

体力的、精神的に厳しい仕事は特に敬遠されるため、3Kのイメージが強い業界は人材を確保するのに苦戦を強いられます。

 

介護業界は給料が低い

もうひとつの人材不足の重要な原因として、介護業界の給料の安さがあげられます。介護業界の給料の平均は平成29年度は211,464円で、労働者全体の給料の平均である227,275円と比較すると15,811円下回っています。前述の3Kのイメージとともに、体力的、精神的にきつい仕事なのにもかかわらず他の業界と比べて給料が低いわけですから、働く世代がより良い環境、条件の揃った業界に流れてしまうのも頷けます。

介護業界の給料の低さは、介護保険報酬が決まっていることが原因です。要介護度に応じたサービス内容と介護報酬があらかじめ公的に決められており、事業を行う者が自由に値段を決めることはできません。このため、給料を上げにくいという事情があります。

 

人材不足への対策

介護業界では「2025年問題」というものが以前から指摘されています。2025年は、人口に占める割合が非常に高い団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる年です。すでに述べたように、75歳を超える頃から介護認定を受けて介護サービスを利用し始める人が急増するため、介護業界の人手不足が一層深刻化することが懸念されています。
ここからは、介護業界の今後のため具体的に考えられる対策を紹介します。

 

労働環境改善

人材不足を解消するための対策として1番に必要なのは、労働環境の改善です。実は介護業界では、新しい人材を確保するのが難しいのと同じくらい離職率が高いことが問題になっています。

退職の理由としては、以下の通りです。

・「職場の人間関係に問題があったため」…20%
・「結婚、出産、妊娠、育児など環境の変化」…18.3%
・「法人や施設、事業所の理念や運営の在り方に不満があった」…17.8%

 

このように職場環境や経営理念や運営体制への不満といった労働環境に対する理由が離職の上位を占めているのが現状です。労働環境の改善によって人材の定着を図ることができれば働き手不足の解消につながります。

また、労働環境の改善は、先に記述したような介護業界の「3K」のイメージの払拭にもなるため、新たな人材を取り込むためにも急務といえるでしょう。

 

効率化推進

介護業界の問題点してもう1つあげられる特徴が、長時間勤務の常態化です。介護業界では、介護報酬を得るために必要な、行政から指定された書類への記入作業が多くあります。実際に要介護者と向き合うケア以外でのそうした雑務に時間をとられ、長時間の勤務や残業が当たり前になってしまっています。システム化、ペーパレス化を通して、雑務の効率化進めることが必要です。

このようなルーチン業務を効率化し、長時間勤務を減らすことは職員の不満解消につながるでしょう。

 

国によるさまざまな対策

人材不足解消のためには、国もさまざまな施策を行っています。

その1つが、外国人材の受け入れの実施です。日本の介護施設で外国人労働者の受け入れをしているのは、全体のわずか5.4%です。この5.4%の施設での外国人労働者の受け入れを行った経緯は、「日系人」が17.5%、次が「留学生・就学生」で14.1%です。次いで「EPA(経済連携)を使っての受け入れ」で11.2%となります。

ちなみに、国籍の割合はフィリピンが40.1%と一番多く415人が介護施設で仕事をしています。次いで多いのが中国で15.3%。158人が働いています。ベトナムの人も多く、12.2%で126人います。この3国で7割近くに達しています。

このような外国人労働者の受け入れ事業は主に「技能実習制度」「EPA(経済連携)」といった制度に基づいて行われています。技能実習制度は国際協力のための制度であり、来日する技能実習生は原則として、母国に帰ることになっていますが、公的機関のチェックを通過した一定水準の外国人介護士に一定期間、日本の介護現場で働いてもらうことができます。

一方のEPAは、日本で介護福祉士の資格を取得することが来日の前提となっており、資格取得後は長期の雇用が可能です。高等教育を受けた優秀な人材が集まっているため、今後の人手不足を解消するために重要な制度と考えられています。

 

介護業界のこれから

超高齢社会といわれる日本において、介護業界への需要は高まる一方です。今や介護業界は、日本で唯一の成長市場であるとも言われています。そうしたなかで、介護サービスを扱う事業者にも変化が起きています。

 

別事業とのシナジー(サービス拡充)

介護業界では、提供するサービスが介護保険の適用範囲内である限り、事業の収入は、国によって決められた介護報酬に左右されることになります。つまり、景気による影響を受けにくいというメリットはあるものの、事業者は、大幅な増収を見込むことはできません。

そこで、介護保険サービスで得られた顧客基盤をもとに、保険外サービスや、シニア層に向けた別事業を展開し、介護事業と別事業との相乗効果(シナジー)を利用しようという動きが拡大しています。

 

介護は高齢化社会でこれから伸びていく業界

介護保険制度が施行されたのは2000年のことです。そこから20年近くが経過し、当時介護業界に参入した会社の中には、創業者自身が高齢になり、後を継ぐ人材の不足が問題となっている事業者もあります。

介護保険制度が作られたときから蓄積されてきたノウハウを活かすために、そうした企業が行う方法の1つがM&Aによる事業継承です。介護業界に関わることでシナジー効果を得られる事業も多数あるため、そういった企業同士のM&Aが今後も増えると予想されています。

 

人材不足を解消し成長産業へ

ここまで解説したとおり、介護業界は成長市場であるにもかかわらず、深刻な人材不足という問題を抱えています。問題を解決するためには、労働環境の改善が欠かせません。環境が整えば、質の良い人材を集めることが可能となり、質の良い人材が集まれば、産業の成長の加速が見込めるでしょう。

事業者の立場から見ても、介護保険制度の枠外の事業とのシナジー効果も積極的に模索できるため、幅広く事業を展開し、成長できる可能性のある業界といえます。

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