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2019.06.27

ROEの計算式を分かりやすく解説!M&Aを検討する際に数値から読み取れること、気をつけるべき注意点

M&Aで会社を引き継ぐ際に気になることといえば、株主たちからの資金の提供事情ではないでしょうか。たとえ自社のお金を使い会社を買い取っても、その後の株主からの資金が思うように集まらなければM&Aの価値が半減してしまいます。

では、投資家たちは数ある会社の中から、何をもって投資先を決めているのでしょうか?その答えは、いかに自分たちのお金が効率よく運用され、リターンとして戻ってくるかどうかです。彼らへのリターンが大きくなれば、M&A後の資金提供も増えることでしょう。

では、このリターンとして戻ってくるお金はどのように試算したら良いのでしょうか。そこで活用できるのがROEです。ROEは、資金の集まりやすさを表す指標として用います。

ROEが高いと、株主から集めた資金の運用に長けていると言えます。一般的にはROE10%~20%が優良企業と判断されます

今回は、株主たちから集めた資金をいかに効率よく運用し、利益を上げられているかを判断する際に活用するROEの計算方法について解説します。

ROEってどういう意味?

ROEは「Return on Equity」の略で、日本語では自己資本利益率と言います。

自己資本に対する利益の比率を表す指標です。

※自己資本とは、金融機関などからの借入金や社債以外の資金のこと

自己資本とは

では、そもそも自己資本とは何でしょうか?

会社を運営していくためには資金が必要です。資金がなくては会社の経営はできませんが、資金の集め方は様々です。不動産を売却するなどして自己資金を用意したり、金融機関から借り入れをしたりすることもできます。

その中でも自己資本とは、外部へ返済する必要のない資本(お金)を指します。

具体的には、「資本金」、「資本剰余金」、「利益剰余金」です。

対して、外部へ返済しなければならないお金は「他人資本」と呼ばれ、金融機関からの借入金や社債のことを言います。

大手自動車メーカーの日産は、借入金が多く、自己資本比率が低いことで知られていました。いずれ返済をしなければいけない資本は、後々の経営を圧迫する可能性もあります。誰もが知っている大手企業とはいえ、数年前の日産は利息を支払うだけでも大変な状況だったのです。

参考:東洋経済オンライン 今度は「借金が多い企業」200社ランキング https://toyokeizai.net/articles/-/56953

会社は資金を集め、運用し、利益を出して経営しています。株式会社においてその資金とは株主から集めたお金です。

つまりROEは、株主たちのお金を使い、効率よく利益を生み出しているかを判断するための指標として活用されています。企業のROEを算出することで、同じ総資産額でも効率よく利益を生み出している会社とそうでない会社がよく分かるようになります。

ROEはどちらかというと株式投資の数字として扱われていますが、M&Aにおいては、株式価格は市場価値でもあります。M&Aでもけっして無視できない数字なのです

ROE=自己資本利益率ということを理解いただけたでしょうか。

ROEについて詳しくご覧になりたい方は、こちらの記事も参考にどうぞ。

[ROE とはの記事]

ROEの計算式

株主からの出資金で効率よく稼いでいるかどうかを明らかにするROE。

数字が高ければ市場価値も高く、M&Aで高く売却できる可能性るということですさらに、投資家から資金提供を受けやすいというメリットもあります。

では、実際にどのように算出するのか、次に計算方法を解説します。

ROEの算出方法

計算式は、ROE(%)=(純利益÷自己資本)×100

実際に例を用いて計算してみましょう。A社、B社という総資産100、当期純利益10の会社が2つあるとします。

A社の自己資本は40です。

A社:当期純利益 10

総資産 100

負債(借入金など) 60

自己資本 40

(当期純利益10÷自己資本40)×100=ROE25%

将来的に返済をする負債は多いですが、B社と自己資本比べると、株主へ還元できるお金を生み出す力が強い会社だと評価されます。そのため、たとえ負債が多くても、株主からのお金を上手に運用し、利益を生み出せるので、返済能力もあるということが分かります。

対してのB社は当期純利益がA社と同じ10であるのに対し、自己資本は80あります。負債が少なく、自己資本がとても高い会社です。

B社:当期純利益 10

総資産 100

負債(借入金など) 20

自己資本 80

(当期純利益10÷自己資本80)×100=ROE12.5%

負債が少なく、一見すると経営は安定しているように見えます。従業員として働くには良い会社だと感じるでしょう。

しかし、A社と比べると自己資本が多いのに純利益が同じなのは、投資家のお金をうまく使えておらず、利益を生み出す力が乏しいともみることができます。これでは万が一、負債が増大したときに支払うことができない可能性があります。

ROEとは、お金から、さらなるお金を生み出す力を数値で表したものです。

M&Aで譲受した会社が、お金からお金を効率よく生む力。M&Aをする神髄を知ることができる数値の一つがROEなのです。

計算してわかること

ROEを計算することで、株主たちから集めた資金(自己資金)で、利益を生み出す力がわかります。いざM&Aしてみたら資金がまったく集まらないという事態は、避けなければなりません。

冒頭でもお伝えしたように、数値的にはROE10%~20%が優良企業と判断されます。

ROE

評 価

5%〜10%

10%〜15%

15%以上

ROEを高くする方法は、

純利益を増やす
コストを削減する
総資産回転率を上げる(資産額はそのままで売上を増やす)

などが考えられます。

数字を見るうえでの注意点

ROEが高ければ、一般的には、投資された資金から利益を生み出すのがうまい会社だと言えます。しかし、ROEのみを見て評価をすることは実は危険です。

なぜなら、会社の経営状態は複雑なものであり、たとえ一時的に減収になっていても、会社自体が設備投資などをしている可能性あるからです。

借り入れ状況を見る!

総資産のうち、他人資本である借り入れが増えれば自己資本比率が減ります。そのため、純利益は変わらなくてもROEは高くなります。

理由のある借り入れは必要ですが、将来的には返さなくてはいけないお金です。収益以上の他人資本がある会社は、返済が苦しくなる可能性もあります。

ROAとの違い

アルファベットが似たものに、ROAがあります。

こちらもROEと同じように、会社の経営状態を判断するための指標の一つです。

ROAは日本語で総資産利益率と言い、総資産に対してどのくらい利益を生み出す力があるのかを測る数値です。

ROEは自己資本、つまり株主たちの出資金から生み出す収益率を、

ROAは返済義務のある他人資本と自己資本を合わせた総資産から生み出す収益率を表しているという違いがあります。

M&Aではどちらの数字も重要なので、一方だけを評価するのではなく、2つを合わせて客観的に評価することをおすすめします。

ROAとROEの違いをより詳しくご覧になりたい方は、こちらの記事も参考にどうぞ。

[ROA とROEの 違いについての記事]

【まとめ】ROEを計算してみよう

ROEとは自己資本利益率であり、自己資本で効率よく利益を出している会社を判断する指標です。効率の良い経営をしている会社には、自然と資金が集まりやすくなります。

とはいえ、会社の経済状況を正しく把握するのは、難しいものです。ROEは重要な数値ではありますが、会社の一つの顔でしかないということを理解しておくことが重要です。この数値が高いから優良企業と安易に判断するのではなく、他の指標も合わせて計算し、適切な判断ができるようにしましょう。

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