新潟県新潟市で不動産管理業などを展開する「有限会社間瀬屋商店」は、バトンズを通じてハーブや大葉の栽培を行う「株式会社妙高ガーデン」を譲り受けされました。既存の事業とは全く別の領域である農業法人を譲り受けすることになった経緯や今後の展望について、これまで数々のM&Aに携わってこられた同社代表の鈴木謙太様にお話を伺いました。
譲渡企業 | |
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社名 | 株式会社妙高ガーデン |
業種 | 農業 |
拠点 | 新潟県 |
譲渡理由 | 事業の安定・存続のため |
譲受企業 | |
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社名 | 有限会社間瀬屋商店 |
業種 | 不動産管理業 |
拠点 | 新潟県 |
譲受理由 | 経営の多角化 |
300年以上続く商家の12代目、M&Aで事業の多角化を検討
1963年に鈴木様のご祖父様が創業された「株式会社新潟ビルサービス」に20年間在籍されていた鈴木様は、在籍時に複数社の買収に携わった経験があり、間瀬屋商店に転籍してからは今回が2回目のM&Aとなります。
江戸時代から続く間瀬屋商店は、鈴木様一族によって代々受け継がれており、現在代表を務める鈴木様で12代目。その歴史は長く、もともとは物資輸送を業とする「廻船問屋」から始まりました。米の生産が難しい北海道に新潟産の米を船で運び、代わりに塩漬けした昆布やニシンなどを大阪まで輸送をする。そこから、 時代の移り変わりとともに北洋漁業や船具塗料商、そして不動産管理業へと事業転換を行いながら、脈々と繋いで現在まで事業を続けています。
鈴木様一族が経営される事業の中で、新潟ビルサービスが創業されるきっかけとなったのは、第二次世界大戦直後のこと。戦後復興に向けて建設業の需要が高まる中で、塗装工も求められていました。そのとき船具塗料商を営んでいた間瀬屋商店は、取り扱っている船舶塗料のペンキやワックスを建物への塗料に活用することで、新潟ビルサービスの前身となる新潟ビル清掃社をスタートさせます。
江戸時代から続く商いを、現在に至るまで300年以上続けられている背景には、時代に合わせて事業を変遷させてきた柔軟性と長年培ってきた地域の繋がりが挙げられます。一方で、鈴木様一族が経営する会社が事業戦略としてM&Aを行うようになったのは、直近数年のこと。その背景や目的について、鈴木様は以下のように話しています。
「M&Aを行うようになったのは、ここ最近の話です。今回で累計4回目のM&Aとなりますが、新潟ビルサービスに在籍していたときは、同業種となる事業を主に買収しており、成約には至っていないですが、廃棄物処理や電気工事業といった領域も検討していました。
同業のM&Aで事業拡大を図りながらも、今回全く別業種の引継ぎを行った理由は、ビルメンテナンスという仕事が長期的な目線で見ると持続可能性が少なくなっていると予想しているからです。
メンテナンス作業に欠かせないのは『ヒト』ですが、日本の労働力が減り続けている現状を見ると、事業存続はなかなか難しいと考えています。そのため、新しい事業で多角化を行い、微力ながら新潟の発展に貢献することで、本業の商いにも良い影響を与えることができるのではと考えています。」
鈴木様は、間瀬屋商店の12代目を継いだタイミングで新潟ビルサービスを退職し、妙高ガーデンは間瀬屋商店が譲受しています。
新規参入となる農業をM&Aで譲受。その背景とは?
過去に複数回のM&A成約経験がある鈴木様は、バトンズで譲渡案件を探す際、どのような基準で選定をされていったのでしょうか。
「まず第一に、新潟という地域にこだわって探していました。江戸時代からずっと新潟という地に根付いて商売をやってきたので、この地域のネットワークを活用できる事業であれば、新たな領域でもやっていける自信がありました。
また、この先もずっとなくならない、持続性の高い事業であるという観点から、農業の領域に注目していました。農業法人に絞って案件探しを行い、農業の中でもお米以外で検討していました。新潟でお米に新規参入するとなると、市場がレッドオーシャンなのでうまくいくのは難しいと考えていたからです。新潟に競合が少ないブルーオーシャンな品種がベストだと思っていました。」
今回譲り受けた妙高ガーデンは、新潟県妙高市に位置し、スペアミントやルッコラセルバチカ、イタリアンパセリ、ローズマリーという4種類のハーブや大葉の栽培を行なっています。鈴木様が思い描いていた通り、新潟に競合が少ないブルーオーシャンな品種を取り扱っており、加えて前オーナーとのやり取りで、事業に込められた思いに魅了されたと話します。
「前オーナーとお話しさせていただく中で、夢が溢れている方だなと感じました。妙高ガーデンは、農業の中でも新しい手法であるミスト農法の先駆者として設立されました。ミスト農法とは、農薬を一切使わずに安心安全で栄養価の高い作物を生産するために考えられた野菜の生産システムです。
一般的に葉物やさいは農薬を多く使用しており、無農薬だと虫害にて収穫ができなくなってしまいます。しかし、そこをどうすれば化学農薬を使用せずに栽培できるかを考えて、栽培方法をこだわり抜いたのが前オーナーです。そして自分たちのハウスだけではなく、全国にミスト農法を広めたいという志を持っていました。」
前オーナーと面談を進める中で、より事業に魅力を感じたという鈴木様は、その熱意を引き継ぎ、今後も安心安全な野菜を届けていきたいと力強くお話しいただきました。
引継ぎ後、売り上げ20%増!今後の事業拡大戦略とは
M&Aを通して、農業という新たな事業領域に参入した鈴木様。順調に事業が拡大しているということで、会社全体の今後の展望やM&A戦略について伺いました。
「譲り受けてからは、営業に力を入れて販路を広げていきました。現在は需要が多くなり、販売するものが足りなくなってきている状況です。M&A当初は8棟あるハウスのうち6棟だけ稼働している状態でしたが、昨年に7棟、本年7月に8棟と増産をしてきました。
売上も徐々に上がってきており、昨年比で20%ほど増えています。化学農薬を使っていないミスト農法であるという点はかなり特殊ですので、今後は全国の皆様に手に取っていただくにはどうすれば良いか、マーケティング部分に力を入れていきたいですね。
会社としては今回の成約を成功事例として、今後もM&Aで事業を多角化していきたいと考えています。新潟県内の社長の平均年齢は、現在60歳を超えており、今後も後継者不足に悩む企業がより増えてくると思うので、独自性のある事業はどんどん引き継いでいきたいと思っています。」
不確実性の高い未来を生き抜くために、今後も積極的にM&Aを活用して事業の多角化を目指していきたいとお話しいただきました。
「新潟に根差した事業を末長く」地域の発展のため、新潟の特色を生かした事業展開
複数回のM&Aを経験されている鈴木様は、M&Aについて「新規事業に挑戦しやすい手段」であると話しています。また、M&Aやバトンズのようなプラットフォームを活用するメリットについて、以下のように話しています。
「M&Aは、新しくはじめる事業もすぐに軌道に乗せられるという点が魅力的だと感じます。ゼロから営業をすると大変ですが、M&Aで引き継ぐ場合は既に販路がある場合がほとんどなので、事業を引き継いでからすぐにスタートできます。
バトンズのようなプラットフォームを活用する1番のメリットは、出会える譲渡案件数が桁違いに多いことです。私は毎週のように新着案件がないかどうかを欠かさずチェックしています。」
M&Aはある程度基盤が整った状態から始めることができるため、円滑に新規参入をする手段として有効であるとお話しいただきました。また、これからM&Aに取り組む経営者に向けて、M&A後に事業成長を成功させている鈴木様より最後に注意点をいただきました。
「M&Aは、スムーズに話が進むことのほうが稀です。なぜなら、売り手にとっては人生をかけて育ててきた事業を手放すという大事な決断であるからです。そのため、長い時間をかけて話を進めていくものであるという前提で取り組んでいただけたらと思います。また、トラブルにつながるケースとして1番多いのは、やはりお金の部分です。数字の部分は、一点の疑いも持たないようにしてから引き渡してもらうのがいいと思います。」
有限会社間瀬屋商店の今後の更なる発展とご活躍をバトンズ一同、心より願っております!
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