オンライン講座のアガルートアカデミーを始めとする教育サービスを中心に事業を展開する「株式会社アガルート」はこの度、Webマーケティング企業の「株式会社メディアグロース」の全株式を取得し、完全子会社化されました。積極的なM&Aにより、急拡大中のアガルート。同社の代表取締役である岩崎北斗様に、M&Aを進める際の「定性評価」と「定量評価」の基本的な考え方やM&A戦略、メディアグロースをどのように評価されたのかについて、お話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社メディアグロース |
業種 | IT |
事業内容 | SEOコンサルティング、宅配買取 M&A相談窓口 ※関連会社で運営 |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | 経営基盤の強化 |
譲受企業 | |
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社名 | 株式会社アガルート |
業種 | 教育サービス |
事業内容 | 難関資格の通信講座事業 など |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 集客力の強化 |
【企業概要】
会社名:株式会社アガルート
設立:2013年12月
従業員数:100名(2024年7月現在)
HP:https://agaroot.co.jp/
オンライン資格試験講座「アガルートアカデミー」を主軸に、医学部受験オンライン予備校「アガルートメディカル」など様々な事業を展開。これまで10社以上のM&Aを実施し、人材事業やシステムエンジニアリング事業等をグループ会社にもつ。
事業の柱である教育事業に加えて、人材やIT領域へM&Aで進出
2013年12月設立のアガルートは、2015年より「アガルートアカデミー」の名称でオンライン講義を中心とした資格試験予備校をスタートし、会員登録者数は現在13万人を突破しています。
司法試験合格経験を有する岩崎様の解説のもと(講師名:工藤北斗)、司法試験対策から始まったオンライン講座は、行政書士や宅建士などの国家資格へと広がり、現在では語学試験やデータサイエンス、ビジネススキルといった多種多様な講座へと幅を広げています。
講座の拡張だけにとどまらず、近年では事業利益を新規事業やM&Aにも積極的に投資しているアガルート。グループ企業を含めた事業領域を拡大しているアガルートの経営戦略について、岩崎様は以下のように解説します。
「アガルートが目指す姿は、『教育とテクノロジー』が中心にあり、その周辺領域を拡張していくことです。この概念に基づき、教育事業とIT事業を柱としながら、人材事業、メディア事業などの周辺領域にも進出しています。そして、これらの事業が活発に行われることで、我々のビジョンである『教育を中核とする社会的インフラの構築』の実現を目指しています。」
同社が2024年7月時点で実行したM&A件数は10件以上に及び、グループ化した企業同士でもシナジーが生まれてきています。その一例である、人材事業について岩崎様は以下のように話します。
「我々は、M&Aによって人材紹介会社をグループに迎え入れる(子会社化する)ことで、2020年に士業や管理部門に特化した転職エージェント『アガルートキャリア』というサービスを開始しました。これにより、アガルートアカデミーの合格者をキャリア支援までサポートすることが可能となりました。他社のオンライン講座では、合格後に受講者との関係が途切れてしまいますが、我々の場合、合格後も継続的に支援を続けられることが強みとなっています。」
オンライン講座を受けて資格を取得した受講者が、その資格を活用してキャリアチェンジを果たす。教育事業からキャリア支援にまでスピーディに事業領域を拡大できたのは、人材紹介会社をM&Aで譲受できたからだと岩崎様は話します。
定性評価では、「社風」の一致度合いを重視
写真)左:舟崎様、左から二番目:岩崎様
2024年3月、アガルートにグループインしたメディアグロースは、 WebメディアとSEOコンサルティング事業を中心としたWebマーケティング企業です。とくに強みを持つSEO領域では、自社メディアの運営で培ったSEOの知見を基に、クライアント企業のメディア構築・運営を支援しています。SEO領域に強みを持つメディアグロースを譲り受けた背景について、岩崎様は以下のように述べています。
「メディアグロースのSEOに関する高度な知見が、グループ全体の集客力強化に繋がると考えています。我々の事業の大半はオンラインで行われており、集客にSEOは欠かせません。SEOを強化したいと常々思っていたところ、バトンズを通じてメディアグロースとの出会いがありました。」
SEOでの集客改善・強化の観点で興味を惹かれ、交渉へと進んだ岩崎様。また、アガルートではM&Aを行う際の定性評価として「社風」を重視しており、その点でもメディアグロースとアガルートが根本的な考え方に共通する点があると強く感じたといいます。
「契約前に対象企業の社風をしっかり把握することで、M&A実行後に『同じ方向で成長していけるか』や『困難に直面したときに一緒に乗り越えていけるか』などを判断しやすくなると考えています。
メディアグロースの代表である舟崎さんと面談をした際、従業員を大切にして経営をされている印象を受けました。我々の基本的な考え方も、従業員を尊重する文化です。この点が共通しているのは大きかったですね。
また、アガルートの行動指針の一つに『論理性』があります。我々は物事を感情で判断することはせず、常に理屈で考えることを徹底しています。そうすることで、生産性高く仕事ができますし、コミュニケーションも円滑になるというのが私の考えです。
舟崎さんご自身が論理的な思考をお持ちの方ですので、このようなタイプの経営者が率いてきた会社であれば、従業員の方々が感情よりも論理性を重んじて行動してくれるだろうと感じました。」
一方、定量評価は明確な線引きをしているわけではなく、取引状況や社長の継続有無などによって柔軟に検討しているとのこと。その中でも、大まかな基準としてマルチプル法を用いたEV/EBITDA倍率の3〜7倍を挙げます。
「我々のM&Aは、基本的にマルチプルで3〜7倍という倍率の範囲内で行っています。しかし、この倍率はケースバイケースであり、例えば他社との競争が激しいディール(合併や買収)では、倍率を高めに設定することもあり得ます。
また、M&A後に代表者が会社に残るかどうかも評価に影響します。代表者が残る場合、M&Aによるシナジーや成長の確度が見込みやすいため、評価を高くする可能性が大いにあります。」
メディアグロースとのM&Aでは、代表の舟崎様がM&A後も引き続き業務に携わっています。なお、アガルートのM&Aでは、引継ぎ期間として設けたロックアップ(キーマン条項)後も、譲渡企業の代表者が業務に携わり続けるケースもあると話します。
「例えば、アガルートにグループインした前述の人材紹介会社の代表者は、これまでの職責に加えて、アガルート本体の役員にも就任していただきました。もちろん、ロックアップ後は法的な拘束力はありませんので、先方が望んでいなければ退任はやむを得ませんが、望んでいただけるなら一緒に仕事をし続けたいですし、力を借りたいという考えです。今後、このような事例が増えるとありがたいなと思っています。」
「譲渡企業から選ばれる会社にならなければ」という強い使命感
アガルートは、M&A仲介会社やバトンズ以外のM&Aプラットフォームも活用し、多方面からM&Aを検討・実施してきました。その経験を基に、岩崎様のバトンズに対する評価を伺いました。
「バトンズは、私にとって重要なプラットフォームであり、毎日必ずチェックしています。更新される案件が多いため、毎日見る価値があるプラットフォームだと感じています。案件数のボリュームや更新頻度で考えると、バトンズは日本で最も優れたプラットフォームではないでしょうか。将来的には、案件数が多すぎて私一人ではチェック仕切れないくらいの存在感になっていただけるとありがたいですね。」
社長自らバトンズを毎日チェックしているというほど、アガルートではM&Aを成長戦略の要として位置づけていると話す岩崎様。そのため、アガルートが「譲渡企業から選ばれる会社」として魅力や存在感を示していくことが、岩崎様の重要な役割であるといいます。
「今、私は経営者として使える時間の半分以上をM&Aに割いています。今後は、M&A案件の情報収集に加えて、アガルートグループの魅力を高めていく努力も必要でしょう。『譲渡企業様に選ばれる会社にならなければ』という強い想いがあります。」
想定していたよりも早く、グループシナジーが生まれている
取材時点でアガルートがメディアグロースをグループに迎え入れてから、約4カ月が経過しています。M&A実施後の現状について、岩崎様はどのように感じられているのでしょうか。
「当初想定していたよりも早く、グループとのシナジーが生まれていると感じます。例えば、アガルート本体のSEOを舟崎さんに具体的にコンサルティングしていただく、グループ企業とメディアグロースでメディアを共同運営するなどの取り組みが挙げられます。また、最近グループに加わったWeb制作会社のあそびラボとメディアグロースとのシナジーも生まれています。
メディアグロースがSEOに関するコンサルティングを行う際、 Webまわりの業務が発生することがありますが、あそびラボと協同で提案を行ったり、業務の一部をあそびラボが担当したりといった連携があります。」
岩崎様は今後の施策について、引き続きグループとのシナジーを生むM&Aを行っていくとのこと。加えて、今後のビジョンとして、これまでの経験を基にM&A業界を最適化するためのサービスを展開できないかと思案しているとも話しています。
「我々がM&Aを行うようになって、約5年が経過します。この経験から基づいて考えると、本当の意味でM&Aを成功させるためのポイントは、譲渡企業のオーナー様の『人生の最適化』だと感じています。ここでいう人生の最適化とは、M&Aをする際に、売却価格だけでなく、譲渡後の会社の成長、オーナー様のキャリア、生きがい等様々な観点を考慮に入れた上で、『オーナー様がベストな選択をできること』という意味です。
ベストな選択をオーナー様が実現するためには、適切なアドバイスやサポートができる、質の高いM&Aアドバイザーの存在が必要ではないでしょうか。このアドバイザーの教育や輩出を、これまで我々が蓄積したM&Aと教育の知見を基に行えないかと考えています。」
株式会社アガルート、株式会社メディアグロースの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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2024年10月23日
M&Aで独立して2年。近隣の調剤薬局を譲受!仙台で地域密着の調剤薬局チェーンを目指す
宮城県仙台市で調剤薬局を運営する「合同会社KYS」は、同じく仙台市で調剤薬局を営む「有限会社ケーエスアイ」を譲り受けました。KYSの代表である...