大阪府で幼児教室を運営する「株式会社K&Dみらい教育研究社」はこの度、同じく大阪で教育事業を運営する「ピグマリオン株式会社」に事業譲渡を実現されました。譲渡された事業は、大阪・上本町にある幼児教室「ぽぷら幼児童学園」1教室。長年事業を運営された東條和代様は、M&A後も引き続き講師として残り、幼児童教育を続けられます。
売却前は「買い手は現れないだろう」と話していた東條様が、業界で有名な経営者と出会い、約1ヶ月のご成約を実現するまでにどのような背景があったのか。事業設立の経緯や今後のキャリアとともに、お話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社K&Dみらい教育研究社 |
業種 | 教育サービス |
拠点 | 大阪府 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受企業 | |
---|---|
社名 | ピグマリオン株式会社 |
業種 | 教育サービス |
拠点 | 大阪府 |
譲受理由 | 事業拡大、新規エリアへの進出 |
約20年続く幼児教室が、コロナ禍等の逆風を受け存続の危機に
幼児教室を20年近く運営されてきた東條様は、もともと音楽教育、国立・私立幼稚園・小学校受験指導、早期知能開発教育など、教育分野に20年以上携わってこられました。
ご自身で教室を持つ転機となったのは、2004年のこと。当時勤めていた幼児教室が閉鎖され、子どもを預けていた保護者の方から『引き続き東條さんに子どもを見てほしい』とお願いされたことをきっかけに、教室開講を決意。ぽぷら幼児童学園を設立し、私立の幼稚園や小学校の受験対策をメインとした幼児教室として、これまで2教室を運営されてきました。
「小学校を受験するのは幼稚園の年長の子どもたちなので、子どもの学習指導だけではなく、親御さんに対する面接指導や願書の書き方なども教えていました。親子で受験に挑むという形式は、中学校や高校受験とも違う特殊なスタイルですので、受験対策を行う幼児教室は大手から個人運営の小さな教室までたくさんあります。
私が教室を構えていた大阪市天王寺区は激戦区と言われているくらい多くの教室があり、かつ今は少子化の時代ですので、運営するのはだんだんと厳しくなってきたなと実感していました。」
20年近く事業を運営されてきた中で、さまざまな苦労も乗り越えてきた東條様。とくに、立ち上げ当初のカリキュラム・教材作成は非常に大変だったと当時を振り返ります。
「立ち上げ時は、カリキュラムや教材作りがとても大変でしたね。休まずに朝から晩まで、ずっと机とパソコンに向かって資料を作っていました。2年ほどかけて、2歳から年長の子ども達のカリキュラムを作り上げたのですが、教室を運営しながら作るのが想像以上に大変でした。」
毎年変わる受験内容に対応するため、作成したカリキュラムも常にアップデートを重ねてきた東條様。『お子様一人ひとりの個性や能力を生かし、先に伸びゆく子どもを育て教育していく』という考えのもと、さまざまな体験と広く正しい知識を身につけながら高い目標と夢に向かって共に歩んでいける教室として、20年近く運営を続けてきました。
「なんでも売れる時代…」友人からの助言で人生初のM&Aに挑戦
愛情を込めて運営されてきた幼児教室ですが、家庭の事情やコロナ禍の影響などが重なり、これまで通り続けるのは難しいと感じるようになったと言います。
「ぽぷら幼児童学園は、夫の仕事である歯科材料の会社の教育部門という位置付けで運営をしていました。そんな中、2年ほど前に夫が年齢を理由に事業を辞めるということになり、教育部門だけで会社を運営していくことになったのですが、コロナの影響もあり売上が落ち込んでいたので、事業を存続することが難しいと感じていました。息子も静岡県で別の仕事をしているので、親族内での事業承継も考えられない状況でした。」
今後の方向性に悩んでいた東條様でしたが、相談したご友人から『教室を閉めるにも費用がかかるんだったら、今はなんでも売れる時代だから売却できないか検討してみたらどうか』とアドバイスを受け、事業譲渡の検討をスタート。
半信半疑で日本政策金融公庫や大阪府事業承継・引継ぎ支援センターに相談をしたところからバトンズの紹介に繋がり、今回のM&Aが実現しました。東條様は買い手候補を募るにあたり、どのような点を重視されていたのでしょうか。
「引き継いだ後も同じように教室を運営してくれる方がいいなと思っていたので、同じ教育業界の方に引き継いでもらいたいと考えていました。しかし実際に交渉をしてみると、異業種の方や起業希望の候補者が多かったので、その中で良いと思った個人の方と最終契約前までお話を進めました。
しかし、先方の都合で契約前に破談となってしまいまして。『やっぱりだめなのかもしれない』とすごく落ち込み、諦めかけていた時にバトンズさんを通じて出会ったのが、ピグマリオン様でした。
創始者であり現会長の伊藤先生は、著書なども多く出版されている教育業界ではとても有名な方で、私ももちろん存じ上げていました。まさか、そんな有名な会社からお声がけいただけるとは思いもよりませんでした。」
一度は諦めかけたM&A、バトンズで果たした運命の出会い
ベストなタイミングでピグマリオンとの出会いが実現し、東條様は迷うことなく譲渡をご決断されました。教育事業に精通しているという点以外の決め手について、東條様は以下のように話しています。
「最初の面談で伊藤先生が直接出てきてくださったのは、譲渡を決断する上で大きな後押しでした。伊藤先生のお人柄や幼児教育に対する思いを直接聞くことができ、『この方にお任せしたい』と強く感じました。
私たちは小さな教室ではありますが、『お子様一人ひとりの個性や能力を生かした教育をする』という方針を掲げて、先生たちと協力し合ってこれまで頑張ってきました。その教育方針を伊藤先生にご賛同いただけて、一緒に協力していきたいという姿勢を見せてくださったので、本当に安心しました。」
初めての後継者探しとなった東條様にとって、M&Aのプロセスはわからないことだらけで、「本当に買ってくれる人が現れるのか』という心配事を含め、精神的な不安も大きかったと言います。
それでも、日本政策金融公庫や事業承継・引継ぎ支援センターに相談してから、2023年11月末にバトンズで募集を開始し、譲渡契約を締結したのは同年12月上旬。登録後は、バトンズ担当である戸田がサポートを務めました。
「戸田さんとは電話でやり取りさせていただきましたが、私の言いたい事を的確に組み取って下さり、スピーディに進めて下さいました。そのおかげで今回のように早く契約がまとまったと感謝しております。また、私どもが言いにくいこと、聞きにくいことも買い手さん側に聞いてくださったりしたことも大変助かりました。バトンズさんの対応は、やはりプロの仕事だなあと感じました。」
一歩を踏み出す勇気を持てば、M&Aで世界が広がる
人生初めてのM&Aを終えられた東條様。サポートも受けながら交渉を進め、約1ヶ月という期間でご成約を実現されました。譲渡後は、もともと教育事業から身を引こうと考えていた東條様ですが、ピグマリオンの伊藤様からご提案をいただき、今後も講師として教室に関わっていかれるとのこと。そんな東條様に、M&Aを終えてのご感想を最後に伺いました。
「M&Aは、最初の心理的ハードルがすごく高いと思うんです。特に、利益が出ておらず赤字が続いている会社は売れないだろうという固定概念を持っている人も多いと思います。私も走り出す前まではすごく不安が大きかったですし、迷いもありました。
ですが、M&Aを終えた今、やってよかったなという気持ちでいっぱいです。私のように、後継者がいなかったり、経営面での不安を抱えている中小企業の経営者は多いのではないでしょうか。一歩踏み出す勇気さえあれば、世界が広がると思います。まずは身近にある相談先を調べて、頼ってみることから始めてみてほしいです。
また、私の今後についてですが、ピグマリオンの社員として教室の運営に携わらせていただけることになりました。譲渡したら退く選択しか考えていなかったので、引き続き子ども達の教育に関わることができて心から嬉しく思います。」
事業を続けていきたいという想いはありながらも、家庭のご事情や経営面での難しさにより存続の危機にあったぽぷら幼児童学園。バトンズを通じて新たな経営者へとバトンが繋がれ、東條様自身は今後は子ども達の未来のために教育に注力されます。
ぽぷら幼児童学園の今後のさらなるご活躍を、バトンズ一同、心より応援しております!
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