大阪府北河内で個別指導塾が開講されてから約20年、小中学生を対象に、先生と生徒が1:2という個人指導のスタイルで長年続けてこられた学習塾は、この度事業譲渡で新たなオーナーへとバトンタッチを実現されました。
同校で塾長を務める山中様(仮称)は、地元密着型の塾として数多くの生徒たちを志望校へ輩出。生徒一人一人に向き合う個別指導塾として実績を培ってこられました。そんな実績ある塾を譲渡された背景や、この学習塾に対する想いについて、塾長であり、M&Aを自ら進められた山中様にお話を伺いしました。
譲渡側 | |
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スキーム | 塾1教室の事業譲渡 |
業種 | 教育サービス |
拠点 | 大阪府 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受側 | |
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区分 | 個人 |
業種 | 教育サービス業 |
拠点 | 大阪府 |
譲受理由 | 起業 |
知り合いから譲り受けた学習塾。譲渡の背景は講師として体力の限界
大学卒業後、大手学習塾の講師を務めていた山中様に転機が訪れたのは、今から20年前のこと。これまで「独立など考えたこともなかった」という山中様でしたが、知り合いから「自分のやっている学習塾を譲り受けてくれないか」という話を持ちかけられ、ものは試しにと承諾したのが現在の学習塾が生まれた背景です。
真面目で丁寧な人柄は、そのまま塾運営にも映し出されており、生徒の学力に応じた指導を叶えるべく1:2の個別指導スタイルを貫き、「週1回・1教科から始められる」、「曜日や時間帯が自由に選べる」など、生徒一人ひとりのペースで勉強が進められるシステムで運営を続けてきました。
20年近く運営を続けてきた学習塾でしたが、突然のパンデミックにより授業は一時閉鎖。再開できる目処が立たない状況は、山中様を強く苦しめました。
「突然コロナ禍になり、小中学校が全て休校になったばかりでなく、それがいつ再開するのかも分からない中で、ただ待つだけの数ヶ月を過ごすのは精神的に厳しかったです。その間、収入もどんどん減っていってしまっていたので、もう少し緊急事態宣言が長引いていたら、もっと早く廃業してしまっていたかもしれません。
ただ、事業譲渡はコロナによって考え始めたのではなく、コロナ禍になる前から実は考え始めていました。きっかけは年金受領のタイミングが決まったことでしたが、一番の決め手は文字を読むのが辛くなってきたことです。
塾講師という仕事は読み書きがメインですから、それが不自由になるというのは結構大変なことでした。そこで、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターに相談に行ったのが事業譲渡の始まりとなります。」
「事業を継続させてほしい」選んだのは意志を持って運営してくれる人
大阪府事業承継・引継ぎ支援センターへ相談に行き、そこからバトンズを紹介された山中様は、案件登録をしてバトンズで後継者探しをスタートします。
「気持ち的には、例えば『1年後に塾がなくなってしまう』ようなことは避けたいと思っていました。もちろん、譲渡するからには、その後について何かモノを申す資格などないことは理解しているのですが、それでも、できたら事業を継続させていてほしい、少しでも発展させていてほしいと願わずにはいられませんでした。
実際に面談したのは全部で10名くらいだったでしょうか。彼らとのやりとりを通じて、どうやら候補者には2つのタイプが存在するということがわかってきました。ひとつは、自分で塾を運営したいと考えているタイプ。もうひとつは、自分は財務を担うだけで、実際の塾運営は誰か他の人を雇って行いたいと考えているタイプ。
そして、後者は学習塾という業態に特段こだわりがあるのではなく、儲かる事業なら何でもいいという考えの人が多いと感じたので、そういう人に譲るのはいまいちかな・・と思いました。」
10名ほどの買い手候補者と面談をする中で、最終的に山中様が選ばれたのは、大手学習塾で塾講師の経歴を持つ井沢様(仮称)。M&Aを通じて自分の塾を持ちたいと、この個別指導塾に興味を持たれた買い手様でした。
「結果的には、彼が一番初めに問い合わせをくれた候補者だったのですが、井沢さんは講師としての経験もお持ちでしたし、強い意志も感じられたので、それが安心材料となって決めました。
お互いのことを知るまでは、少し様子を見ていた部分もありましたが、最後は、一生懸命にやっていきたい、と言ってもらえたので、お任せしようと思うことができました。」
事業承継・引継ぎ支援センターの事前サポートが、スムーズな面談実現の後押しに
10人ほどの面談をこなしながら、わずか2ヶ月という短い期間で最終調印まで至った山中様。やると決めた以上、ずるずると長引いてしまわないようスピーディに進めることを意識したといいます。
「後継者を探して事業を譲ると決めたからには、できるだけ早く契約を済ませたいと思っていました。実際には、候補者を絞り込んだ後もいろんな人から問い合わせがき続けていたようですが、選び出したらキリがないですし、迷っても仕方がないと思ったので、結局は一番初めの人とのご縁をもって調印に至りました。
また、事業承継・引継ぎ支援センターの人が間に入ってくれたことも、交渉が短縮できた理由のひとつだと思います。特に、初回面談を行う一番はじめは、いったい何を話せばいいのか、そして何を聞けばいいのか、どこまで聞くことが許されるのか、まったく分からない状態だったので、支援センターの人が見せてくれた手本は非常に勉強になりました。おかげさまで、面談のノウハウを少し掴むことができ、その後のやり取りに活かすことができました。」
譲渡後は経営の現場から離れる山中様。引継ぎを終えた後は、趣味を楽しむ時間にしたいと話します。
「今後は趣味の世界に没頭するつもりです。私は釣りが大好きなので、のんびり釣り糸を垂らしながら余生を楽しみたいと考えています。また、天体観測にも傾倒しており、星空を眺め、ビール片手に好きなJAZZを聞きながらすごしたいと思います。」
山中様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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