ノウハウ

2019.01.16

あなたは「秘密保持契約(NDA)」の中身を説明できますか?中小企業M&Aでも必須の知識を学ぶ

▼非上場企業の、つまり中小企業におけるM&Aでも、秘密保持契約(NDA)は徹底されています。秘密保持契約とは、M&Aの手続きの過程において、譲受(買う側)企業が譲渡(売る側)企業から知り得た重要情報を外部に漏らさないことを約束する契約です。M&Aは上場企業に限らず、廃業の回避や事業承継を目的として中小企業が行うケースも増えています。当然ながら、秘密情報保持は中小企業のM&Aでも最重要項目であることは変わりありません。ここでは、M&Aにおける情報漏えいのリスクや、秘密保持契約のポイントについて解説していきます。

 

 

 

M&Aにおける情報漏えいのリスク

 

譲渡企業はM&Aに際し、会社の財務状況や顧客リストなど、きわめて機密性の高い情報を開示することになります。これら秘密情報が漏えいしてしまうと、企業にどのようなリスクがあるのでしょうか?具体的には次のようなリスクが考えられます。

・経営者がM&Aを検討していることを知った従業員が動揺する

・取引先や顧客、金融機関が「資金繰りが悪化しているのでは」など不安を感じる

機密性の高い情報がみだりにまわってしまうと、情報が錯綜して従業員が辞めてしまったり、取引先や金融機関が取引をやめてしまったりして、譲受側・譲渡側ともに損害を被る可能性があります。特に、企業体力の少ない中小企業であれば、情報漏えいによって被る損害は計り知れません。

さらに、譲渡企業は誰に・どのような秘密情報を出したか把握しているため、譲受企業が漏えいしてしまった方は訴えを起こされるリスクもあります。

秘密情報の取り扱いについて明確なルールを決め、情報漏えいの抑止力および万が一漏えいした場合の責任の所在を明らかにするため、秘密保持契約は非常に重要な意味を持つものです。

 

秘密保持契約のポイント

 

M&Aにおいて、譲受企業は秘密情報により買収する企業の価値やリスクなどを事前に調査(デューデリジェンス)する必要があり、譲渡企業は秘密情報が第三者に流出・漏えいすることを防ぐ必要があります。そこで、M&Aでは秘密情報の定義や取り扱いを規定する秘密保持契約書を締結します。以下に秘密保持契約のポイントを解説していきます。

 

秘密情報の定義

 

秘密情報に含まれるもの、含まれないもの(除外するもの)を規定します。譲受側にとっては、秘密情報の範囲が大きければ大きいほど取引の負担も大きくなるため、例外についても明確に規定しておくことが重要です。秘密情報の例外には、次のようなものが挙げられます。

・情報開示の時点で、すでに譲受側が正当に保持していた情報

・情報開示の時点で、公表されていた情報

・情報開示後、譲受側の責任の範囲外で公表された情報

・情報開示後、譲受側が第三者から適法で取得した情報

上記のような内容は、秘密保持契約の除外規定となることが一般的です。

 

情報開示の範囲

 

秘密保持契約では、秘密情報をだれに、どこまでの範囲で共有できるのかを規定します。M&Aでは譲受・譲渡企業双方の役員、社員、グループ会社、顧問契約を結んでいる弁護士、会計士、税理士、あるいはM&Aの専門家など、当事者以外にも多くの人たちが関わるため、秘密情報を共有できる旨を明確に定めておく必要があるのです。

さらに、情報開示先から第三者に情報が漏えいした場合は、その責任の所在も規定に含まれるケースが多くあります。そのため譲受企業と開示先の間でも、同じように秘密保持契約を締結することが求められます。

 

秘密情報の複製

 

M&Aを進めていくうえで秘密情報の複製が必要な場合などにおいては、複製の範囲を規定する旨を秘密保持契約書に含めておくと良いでしょう。具体的には「一定の目的の範囲内での複製を認める」「書面による承諾を得たものに限り複製を認める」といった制限を規定します。

 

秘密保持義務の有効期限

 

秘密保持契約を締結する際は、秘密保持義務の有効期限を規定しておくことが必要です。これが定められていないと、譲受企業はいつまでも秘密保持義務を守り続けなければならなくなります。契約終了後も秘密情報の価値は変わらず高い(譲渡企業にとっては同等のリスクがある)ものであるため、情報の性質や重要度を考慮して、1~5年で設定されることが一般的です。

 

M&Aを検討している方へ

 

M&Aでは譲受企業・譲渡企業の当事者間のみならず、仲介会社や各分野の専門家などの間で秘密情報が行き交うため、秘密保持契約書の締結が必要不可欠です。大企業・中小企業の隔てなく、秘密保持契約をしっかりと締結しておくことで、万が一の秘密情報漏えいのリスクを抑止することができます。

譲受側・譲渡側共に秘密保持契約の意義や適正な情報の扱い方を理解し、両者にとって有益なM&Aを進めていきましょう。

関連する記事