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M&Aはドラマの連続。女性アドバイザーが語る、M&Aに必要なスキルと仕事の魅力

2023年11月07日

大手OA機器メーカーで法人営業を経験したのち、M&A業界に転身された柿本様。2017年に独立開業の後、M&A会社の在籍経験を経て、2020年から本格的にM&Aアドバイザーとして活動を開始しました。これまで10件ほどのM&A成約を支援されており、バトンズ上でも4件の成約を実現されています。

メーカー系販売会社企業のトップセールスとして活躍されていた柿本様が、なぜM&Aの業界へと足を踏み入れたのか。「M&Aの交渉には日々ドラマがある」と語る柿本様に、現在のキャリアを築くまでの道のりや、営業スキルを生かしたM&A術についてお話を伺いました。

【柿本様の略歴】

・新卒で大手OA機器メーカーに就職し、法人営業に従事

・外資系向け人材広告会社へ転職と同時に中小企業診断士の勉強を開始

・2017年に中小企業診断士登録し、独立開業

・2019年にUC Berkeley Extensionにて短期留学

・上場企業グループ傘下のM&A専門企業に1年間在籍

・2020年にM&A専門会社『株式会社カレンシア』として本格始動

【株式会社カレンシアの会社概要】

2017年設立。数少ない女性M&Aアドバイザーとして、経営者の心に寄り添うM&Aを掲げ、これまで多数のM&Aを成約まで導く。

HP:https://querencia.co.jp/

 

最適なソリューション提案を追求する中で、営業としての限界に直面する

── 柿本様のこれまでのご経歴や実績について教えてください。

新卒で大手OA機器メーカー系販売会社に就職し、法人営業を5年ほど従事していました。診断士として独立開業の後、M&A専門企業に転職をしたのは、商談や交渉が好きだったことから「自分の資格や強みを生かせるのはM&Aなのではないか?」と考えたからです。そこで1年ほど経験を積み、改めてM&A専門会社として「株式会社カレンシア」を始動しました。

案件の規模は大小さまざまで、数百万円規模から数億円規模の案件もあります。業種も多種多様です。成約件数は、今年中で10数件になります。

 

── 中小企業診断士の資格取得と、M&A業務に取り組もうと思った経緯について教えてください。

ITソリューションの法人営業を経験する中で、IT領域の提案で解決できる範囲の狭さを感じ始めていました。大きい案件になればなるほど、経営層と関わることが多くなるのですが、経営層の抱える課題は、営業としてのスキルやIT関連の知識だけでは解決できないことが多くて。

私の中で「営業としての成長は、経営層の悩みを解決するソリューションを提供すること」だという意識があったので、より自分を成長させるためには、IT営業のスキルだけではなく、経営に関わるビジネス全般の知識を身につける必要があると感じ、勉強をしようと思いました。

色んな手法や資格を考えたのですが、中小企業診断士の資格は、財務、法務、会計、人事組織など、経営に必要な知識を広く学ぶことができる資格であると知り、勉強を始めました。総合的に勉強したことで、やっと経営者と対等に会話するためのスタートラインに立てたと感じますね。

そこからM&Aアドバイザーの業務に興味を持ったのは、経営者が抱える最も大きな課題に向き合いながら解決策を一緒に考えられる立場だと感じたことと、最も知的好奇心をくすぐられる難易度の高い世界がM&Aだと思ったからです。

 

── 営業からM&Aアドバイザーに転身してみての体感はいかがでしたか?

営業で培ったスキルを生かせているなと感じます。M&Aの交渉の面白さは、知識だけあればできるわけではないところだと思います。日々ドラマがありますね。

M&Aの仲介業務は、何か特別な専門知識を有したスペシャリストの職業のように思われる方もいるかもしれませんが、実際はそうではなく、ソフト面の方が大きいように思います。

「売り手と買い手、双方の心理状態を正確に掴むスキル」、「双方の相性が良いかどうかを見極めるスキル」など、M&Aの現場は、ハードスキルを得ただけでは上手くいかず、ソフトスキルが必要な場面が多分に含まれています

それがM&Aの特徴だと思っていますし、交渉一つひとつに違ったドラマがあるので、飽きることがないですね。もちろん楽しいことばかりではありませんが、日々新しい刺激があります。

売り手・買い手の交渉サポートだけでなく、家族を支えた成約事例

── 過去に携わったM&Aで、大変だった案件はありますか?

今となっては笑い話なのですが、今よりもまだまだ未熟だった頃に訴えられそうになったことがあります。買い手の方がデューデリジェンスを行った後に買収不可という判断になり、時間もお金もかけた上だったので逆上してしまいまして。

買収断念自体はM&Aの性質上仕方がないことなのですが、売主にDD費用やアドバイザーへの中間金など「交渉にかかったお金を全額支払え」「払わないなら訴える」と脅しをかけたんです。

初めて内容証明文書というものを受け取り、怒りやら絶望やらでどうしたらいいか悩んでいたのですが、先輩アドバイザーや弁護士の方に相談したら「ただの脅し。毅然とした態度で対応していい」と言っていただきました。

アドバイザー契約書には、中間金の返還義務なしと書いてあるのに、怯えて返還してしまっては業界的にもよくないし、「常習犯になるよ」ともアドバイスをもらい、毅然とした態度で立ち向かいました。こうした経験があったおかげで、強くなれたと思います。

 

── 逆に、やり甲斐を感じたエピソードなどあれば教えてください。

M&A成立後も、ご縁が続いている案件があります。ある建設会社の社長様が、将来の経営不安を抱きM&Aを決意されたのですが、会社を継がせる予定だった息子さんに打ち明けられずに悩まれていました。

その会社は、大手企業のお墨付きの優良企業だったのですが、業界再編などにより縮小が見え始めていたんです。いずれ先行きが厳しくなるだろうから、早いうちに基盤のある会社の力を借りたほうがいいと、M&Aを決断されました。

社長はとても実直で誠実な方で、「得意先を大事にしてきたけれど、得意先依存から脱却ができずにいた。自分にできなかったことを息子に継がせるのは申し訳ない」と。でも、M&Aを検討していることを息子さんになかなか言えずにいました。

 

── 売り手・買い手間の交渉だけでなく、親子関係の相談もされたのですね。

自分の立場に置き換えて考え、「私だったら、早く話して欲しいですよ。」とお伝えしたところ、その後すぐに話をしてくださったようで。そうしたら、息子さんの反応も社長が思っていたよりも前向きで、そのことがきっかけで社長の表情も明るくなったように思います。

社長とも社長の奥様とも、M&A成約まで何度もお会いしていたのですが、成約後もずっと感謝の言葉をくださって、本当にうまく進んで良かったと思える案件でした

社長交代は、M&Aの成立から約半年後だったのですが、社長交代パーティーに私まで呼んでくださって、売主社長の長年の献身を労いながら、新社長の就任をお祝いできたことは大切な思い出です。

その後も、買い手社長夫婦、売り手社長夫婦、私で何度か食事をすることもあり、成約後に会社が前向きな方向に変化していることを報告してくれて、いつもお話を聞くと嬉しい気持ちになります。そして先日、会社を継ぐ予定だった売主社長の息子さんが、買手企業に就職することになったという、驚くような嬉しいニュースまで。M&A約後も多方面で順調に関係を構築されているようで、とてもうれしく思っています。

営業で培ったスピード感とコミュニケーションスキルが強み

── 柿本様が考えるご自身の強みを教えてください。

ひとつは「スピード感」だと思います。なにかボールを投げられたら、すぐに返すことを意識しています。また、自分は売主と買主の間に立っているので、コミュニケーションにおいて「これは伝えた方がいいな」「補足した方がいいな」といったような工夫が必要になる場面があれば、全てやるようにしています。

 

── 具体的にどういった工夫をされていますか?

「複雑に感じそうなことは資料化・図解化する」、「大事なプロセスの前に事前打ち合わせをセッティングする」、「先に少し口頭で話した方が良いなと少しでも思ったら、電話を一本入れる」、など、ちょっとしたサポートです。「やらなくてもいいかもしれないけれど、プラスアルファでやったほうが良いかも。」と感じたことは、すべて実践するようにしています

スピード感だったり、必要そうなことに気がつけるのは、営業で培った感覚だと思います。「ここがキーになるな」とか「先方の懸念事項はここかな」とか、クリアにすれば全体進行がスムーズにいくポイントを早めに掴むのが得意だと思っています。

 

── バトンズをはじめとしたM&Aプラットフォームに対する考えをお聞かせください。

M&Aプラットフォームを介して交渉を進めることはとても効率的ですし、自分の強みであるスピード感を活かす上でも最適だと思っています。

M&Aプラットフォームが市場に出てきたばかりの頃は、「オンラインで案件を掲載するなんて考えられない」という声もあったと思います。ですが、実際に自分が使い始めて最近感じるのは、プラットフォームで案件を探している買手候補の質が向上してきていることですかね。

例えば、旧来のように自分でアプローチリストを作って電話やメールで打診を行う方法ですと、相手の熱が高くなければスルーされてしまったり、適当にあしらわれてしまったりします。また、匿名とはいえ大事な売却案件情報自体をきちんと管理されない可能性だってあります。

その点、プラットフォームで手を挙げてくる相手というのは、その時点で確度の高い買い手である可能性が高いですし、仮に情報の取り扱いに粗相があれば二度とプラットフォームを活用できなくなる懸念があると思うので、何度かやりとりを通してきちんとした対応ができそうな相手であれば、ある程度の信用もできると思っています。

売主様にもそういったことを説明して、できるだけプラットフォームへ掲載させていただき、スピーディに買手候補と出会えるようにしたいと思っています。

 

── 今後のバトンズに期待することがあれば、教えてください。

案件によっては、掲載後すぐに交渉に進めるものもあれば、なかなか成約に至らないものもあります。現状、こちらから買い手様に提案する機能があると思いますが、もう少し買いニーズ情報の詳細化をしていただくと、アドバイザー主導で提案しやすくなるかなと思います。

また、最近私が海外の案件を扱うようになっていて、私自身、海外移住も考えているので、日本とアメリカを繋ぐスモールM&Aに対する需要にも今後さらにリーチしてもらえると嬉しいなと思います。

もちろん海外案件は今すぐは難しいとは思いますが、取り扱う領域をより拡大していただけることを期待しています。今後もうまく活用させていただきたいと思っています。

 

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