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「地方で生き残るには、既存顧客に向けたサービス展開が鍵」和菓子事業を継承し、地域共創基盤が目指す未来

2023年10月20日

後継者不在により存続危機にある中小企業の事業承継を行い、事業の存続・発展を目指す「株式会社地域共創基盤」はこの度、愛知県で和菓子の製造卸を行う「株式会社きよせ」と「株式会社いちの」を譲り受けされました。少子高齢化とともに、若者世代の流出による人口減少が進む地方都市。そんな中で、地域共創基盤の代表を務める中嶋様は、事業承継を通じた地方中小企業の活性化を図っています。バトンズを通じて二度目のM&Aをご成約された中嶋様に、M&Aを決断された経緯や今後の事業構想などについて、お話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 株式会社きよせ(株式会社いちの)
業種 飲食店・食品
拠点 愛知県
譲渡理由 後継者不在

 

 

譲受企業
社名 株式会社地域共創基盤
業種 サービス業(法人向け)・事業承継支援
拠点 神奈川県
譲受理由 既存商品・サービスの強化

【会社概要】

会社名:株式会社地域共創基盤
設立:2021年10月
社員数:79名(グループ社員数)
売上高:約5.9億円(連結売上高:2022年1月期)
HP:https://www.rrpi.jp/

 

 

日本の中小企業を後世に残すため、事業承継で地方の活性化を目指す

神奈川県に本社を置く株式会社地域共創基盤は、後継者不足により事業の継続が難しいと考えているオーナーや経営者から、会社のオーナー権と経営を引き受け、事業を継承・発展させることを目的として、2021年に創業されました。

「私たちが事業を運営する目的の一つは、日本の中小企業を後世に残していきたいという思いです。地方では、一社一社が自力で生き残っていくことが難しい現状があります。弊社とシナジーのある中小企業の事業を引き継ぎ、我々のグループに入っていただくことで、グループや地域全体として足し算以上の力をつけていくことができたらと考えています。」

中嶋様が事業承継を行う上で大切にしているのが、自社と譲り受ける企業の間に生まれるシナジー効果。2021年11月には、地域共創基盤事業の第一号となる、長野県岡谷市で衣料品・着物・寝具用品の販売を手掛ける株式会社カネジョウを事業承継されました。

「一定の雇用を抱えながら、長い歴史があり、地域に愛されているカネジョウに魅力を感じ、地域共創基盤の第一号案件として経営を引き継がせていただきました。

カネジョウのお客様は、50歳以上のいわゆるグラン世代が主体です。日本全体の人口は減少していきますが、割合としてはグラン世代の方々は増えていっていますし、比較的に若い世代よりもお金的にも時間的にも余裕のある世代ですから、私たちは今後、グラン世代をメインのお客様とするようなグループを作っていきたいという方針で考えています。」

 

既存顧客にさらなるサービスを提供するため、和菓子の製造・卸売業を継承

カネジョウのメイン顧客層であるグラン世代にさらなるサービスを提供するため、中嶋様が今回新たに引き継がれたのが、生和菓子を中心とした菓子のOEM製造、販売を行うきよせといちの。グループ全体として、互いの相乗効果を図ることが狙いです。

「若い方はまだ経験がないかもしれませんが、若いときはケーキや洋菓子が好きでも、私のように50代を過ぎてくるとだんだん和菓子が好きになってくるんですよ(笑)。グラン世代向けの商品として、和菓子は非常にフィットするだろうと考えています。」

創業80年以上の歴史をもつきよせは、その歴史の中で、地元のスーパーを中心に細やかなニーズに応え、商品の製造を行ってきました。

「大量生産でたくさんのものを作るのではなく、幅広いニーズに応え、少量ずつ商品を作っていた点が魅力でした。長い歴史を持つ上に、様々なレシピの蓄積があることで、適応能力が高いんです。

もう一つの利点は、味を落とさずに冷凍保存ができる、非常に高い冷凍技術を持っていることです。冷凍した状態で納品をし、お客様が必要なときに解凍していただくことで、食品ロスが防げることも、プラスになると考えました。」

全国各地にある和菓子店は、家族経営など数名で製造販売をしているところが多く、できたてのものを少量ずつ、その都度販売しています。しかし、事業規模を大きくし、販売範囲を広げようとすると、なまものであるがゆえの保存期間の短さがネックになってしまいます。そこで、高度な冷凍技術を持っていることは強みになると中嶋様は語ります。

「和菓子業界は、大きく二極化しているんじゃないかと感じています。例えば、パン製造を全国展開する大きな会社が、冷凍技術を駆使して大量生産・大量消費を定常化しているタイプと、個人店のような地域で少量生産をされているタイプ。その中間層はぽっかり空いているのがこの業界の特徴と言えます。

そして、人口減少に伴い、小さいお店は経営が厳しくなってきているのが現状だと思います。ですから私たちは、大手企業と顧客を取り合うわけではなく、お客様の声を反映していく中で中間層として成長していく先に、事業存続の可能性を見出しています。」

「商品開発に専念するために経営を譲りたい」交渉をする中で見えてきた、M&Aのニーズ

Photo by iStock-1309115995

今回引き継がれたきよせといちのは、同社長が手掛ける和菓子の事業。ブランドの棲み分けを行うために分社化した2つの事業を、M&Aで同時に承継された形になります。そして今回のM&Aを仲介されたのは、インテグループ株式会社の高村様。当時の交渉を、中嶋様は以下のように振り返ります。

「交渉は非常にスムーズだったと思います。担当の方が若くてエネルギッシュで、欲しい情報の入手や、お願いしたいことをスピーディーにこなして下さいました。加えて、非常に専門性も高い方だったので助かりました。

仲介会社の方が間に入ると、どうしても交渉のスピードが遅くなったり、こちらの意図がうまく売り手さんに伝わらなかったりすることもあるのですが、今回はそういったもどかしさは全く感じなかったです。」

会社を譲渡されたきよせの前代表である玉越様は、まだ40代の経営者。年齢による後継者探しではなく、製造の現場に専念するために経営を他の方に任せたいという判断で、M&Aを検討されていました。

「事業承継の交渉を行う中で分かってきたことは、まだお若い方であっても『自分の得意分野に集中するために事業を手放したい』ですとか、どちらかいうと専門職肌で『経営はその道のプロに任せたい』と考えている方が多くいらっしゃるということです。

『経営委託型』という言い方が正しいのかはわかりませんが、そういうパターンのM&Aも大きなニーズとしてあるんだなという手応えを感じています。」

玉越様も、和菓子作りが自分の得意分野であり、経営よりもアイディアを形にする商品企画にもっと集中して取り組みたいという気持ちがあったと言います。一方で、従業員の働く環境を整え、事業を成長させたいという思いもあり、その葛藤の中でM&Aという選択肢を検討し始めたという経緯がありました。

新体制による組織作りがスタート。二倍の製造量を目指し、従業員と密なコミュニケーションを

CFOジャパン株式会社の代表も務める中嶋様は、これまで多くの経営課題に向き合い、経営コンサルや人材マネジメント、リーダー育成などに取り組んでこられました。

今回、きよせといちのを引き継ぐにあたり、パートも含めた50人に及ぶ従業員の経営者となられた中嶋様は、承継後に従業員の方々とどのようなコミュニケーションをなされたのでしょうか。

「まずは、現在の処遇より悪くさせることはないというのは、大前提として約束をさせていただきました。そして事業を引き継いだ初日は、従業員の皆さんにお集まりいただいて、自分がどういう人間なのか、対面で直接お話しさせていただきました。

50人規模の組織で事業を回していくためには、管理職の方をうまく機能させなければいけません。今度は、管理職をとなる方々を育成しながら、密なコミュニケーションをきちんと取っていこうとしています。」

現在、管理職の方々を集めた週一度の執行ミーティングを開始。その週の業務に関しての報告や相談事の情報共有、新しい仕組みの導入を議論するなど、新体制での組織作りはすでに始まっています。また、時給UPなど新しい変化がある際は、必ずその意図を説明し、必要があれば資料も提示しながら納得ある処遇体制を図ります。

「今後目指していくのは、新規の取引先を増やすこと、そして、さらなる製造力の向上です。今後3年間で、二倍の製造量を目指すため、ハード面・ソフト面の改善と工夫を従業員の方々と共に行っていきます。」

志を同じくする仲間を増やし、お客様の幸福度の向上と、地方での生き残りを目指す

少子高齢化に加えて、若年層の流出による人口減少が絶えない地方都市。小売業を中心とした地方企業が生き残っていく上で、出店攻勢をかけて売り上げを伸ばしていくのは難しいと中嶋様は考えています。地方企業が生き残っていくために目指すのは、既存のお客様との関係をより密にしていくことだと話します。

今いるお客様が幸せになるためのサポートをしていくことが、我々のやるべき第一だと考えています。お客様が幸せを感じるために必要なサービスを、グループとしてどんどん付加していき、お客様が我々グループと接点を持つ量を総合的に増やしていけたら、グループ全体が成長していくだろうと思います。今後も人口減少が予測される地方で、地域に根ざした事業を存続させるためには、この方向性が重要であると感じています。」

今後もグループの基盤を固めながら、事業承継により更なる地域活性化を目指す地域共創基盤。今後もバトンズのご利用を考えられている中嶋様から、最後に今後M&Aを検討している方に向けたメッセージをいただきました。

「1社目のカネジョウは、売り手様に我々の理念に賛同していただき、引継ぎ後も取締役として仲間に加わっていただきました。今回新たに買収させていただいたきよせも、元々の経営者の玉越様には役員として働いていただいています。

M&Aというのは、一緒に同じ志を持つ仲間を増やしていく手段にもなり得ます。今後も、世の中の中小企業がもっと力を発揮できるように一緒に事業をやっていきたいという気持ちに共感いただけるような仲間と、事業継承を通じて出会えたら嬉しく思います。」

地方中小企業の活性化のため、尽力されている中嶋様。

株式会社地域共生基盤の今後のご活躍とご発展を、バトンズ一同心より応援しています!

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