中小企業向けに、事業承継支援・M&Aアドバイザリー事業を提供する株式会社 LifeHack。創業社長である冨田修平様は、地元茨城県を拠点にM&A支援業務に携わっており、これまで数多くのM&Aをサポートされています。
バトンズでも複数のご成約を実現されており、バトンズ認定アドバイザーとしてもご活躍中の冨田様が、どのようなポイントを意識してM&A業務に取り組まれているのか。M&Aアドバイザー業務を始めたきっかけや、今後の事業展望についてお話を伺いました。
【冨田様の略歴】
・大学卒業後、地元茨城県の大手会計事務所グループに就職
・会計事務所で12年間ほど財務・会計支援業務を経験
・2018年4月に株式会社 LifeHack設立
【株式会社 LifeHackの企業概要】
2018年に設立。茨城県つくば市を拠点に、M&Aアドバイザリー事業、M&A実施前の簡易デューデリジェンス業務などを展開。茨城県内の案件に特化し、県内士業専門家や金融機関、事業会社との連携網を数多く抱えていることが強み。
会計事務所で10年以上。元担当先から繋がったM&Aアドバイザーへの道
私は大学卒業後、地元茨城県の会計事務所に就職しました。私の所属していた部署では、顧問先の中心が医療機関や介護事業所で、税務や財務支援、試算表の作成や申告書作成などの業務に12年間ほど携わりました。
また、実家が自営業だったため、子どものころから両親が会社経営をする姿を見ていました。その影響もあってか、「自分も30歳になったら起業しよう」と、大学生くらいからおぼろげに考えていました。そのため、起業する想定でずっと準備をしていました。
事業自体は、特にこれをしようという具体的なものがあった訳ではなく、LifeHack社はもともとM&A支援をする会社として設立したわけではありませんでした。
そんな中で私がM&A支援業務を始めたきっかけは、会社を立ち上げるも事業を軌道に乗せられず途方に暮れていた頃に、会計事務所勤務時代に担当していた、とある社長さんが気にかけてくださったことです。
その会社は、M&Aで事業拡大をしている最中で、沢山のM&A会社と関わりがあったことから、M&A業務を委託していたM&A会社の社長さんを紹介していただきました。その方から、M&Aについてご指導いただくような形でご一緒したことが、M&Aに携わるようになった最初のきっかけです。
M&A会社の社長の元で学ばせ頂きながら、この仕事であればこれまで培ってきた財務・税務の知識や経験をかなり活かせると、かなり手応えを感じました。「場数を踏めばこれは天職になるのではないか」という感触がありました。その頃から、M&A業務を中心とした事業展開を考えるようになりましたね。
案件に対してあたりをつけるというか、数字面から会社の特徴や社長の性格、などを見抜けることが私の強みです。さまざまな資料を噛み砕いて、知りたい情報を推測する力が人より強いのですが、この力は会計事務所時代に培えたのではないかと思っています。
中小企業では、どれだけお願いしても必要な資料が出てこないオーナーさんも多くいらっしゃいます。今まで、そういった企業のオーナー様とたくさんかかわってきた事で、「あの資料がなくても、あの資料でこの部分が繋がる」という事が推測できるようになりました。たとえば、あの資料がなくても決算書のあの部分を見たらわかるよねとか、決算書がなくても元帳を見たら拾い出せるよねとか、そういう感覚ですね。
あとは何といっても人当たりの良さでしょうか。この仕事をしていると癖の強い方、プライドの高い方、発想がぶっ飛んでいる方など、常人であればコミュニケーションをとることが難しい方に会うことが多いです。どんな方が相手だとしても、相手に合わせた対応が出来る自信がありますね(笑)。
人との繋がりを大切にすることで、次の仕事に繋がっていく
会計事務所を中心とした士業の先生方との連携や、金融機関、保険会社様や不動産業者様からのご紹介が中心です。主に経営者や決定権者との接点が多い方からご紹介を頂ける仕組み作りを意識しています。
中でも特に、中小企業のオーナーさんは、困ったら会計事務所の担当者に相談される方が多いです。古巣である会計事務所を中心に「M&A業務を始めました」というお話をしているのですが、徐々に認識も広がり、今は潜在的なM&A需要があればご紹介して頂けるようになっています。
例えば、最近もラーメン屋案件のご紹介を頂いたのですが、それは厨房機器メーカーの支店長さんからのご紹介でした。
そんな繋がりが出来たのも、過去に飲食店の事業承継をお手伝いした時に、お店のリニューアルオープンのために厨房機器を買い替えたことがきっかけです。厨房機器メーカーの支店長さんは、そのときに「M&Aの場面では、自社にも好循環があるんだな」と思ってくれた様です。
そのおかげで、ラーメン屋を辞めようと思ったオーナーさんから、支店長さんが厨房機器の中古販売の相談を受けた時に「辞める以外にも、お店を売却するという選択もあるんですよ」とご紹介してくださいました。
茨城県の某飲食店の承継をお手伝いさせてもらった事があるのですが、売り手さんは昔からの知り合いでして。私がよく利用するお店だったため、店長さんやスタッフさんもよく知っている方々でした。
事業を引き継いだ方はバトンズでマッチングした方なのですが、都内在住で茨城には頻繁に来られないため、M&A実施後は私が現場とのパイプ役を担うようになりました。
今は店長会議などにも同席し、そのお店の管理面を任されている状況です。数字の管理から地元業者さんの選定などもしており、「看板を変えたいのだけど、知り合いの業者さんはいませんか?」などの様な、細かい運営支援をお願いされることも増えてきました。
地元で看板屋さんとの接点が出来ると、今度はその業者さんとの関係性も構築出来る様になります。業者さんも、地場でM&Aが成立すると自社の仕事が増えることが分かります。そうなってくると、お店を辞めようとしている方がいたらM&Aの話をしてくれますよね。
このように、生まれ故郷である茨城県で、様々な形で支援の輪を広げていくことができればと思っています。
M&Aだけでなく、経営課題のすべてに寄り添える事業者でありたい
使う言葉や温度感などを相手に合わせるようにしています。例えば、IT企業オーナーで専門用語をよく使う方なら、自分もその専門用語を使って話したり、農家の方で茨城弁しか話さない様な方であれば、なるべく横文字を使わずに話したりとか。
他には、ヒアリングのタイミングに気をつけています。例えば、何か絶対に聞いておくべき内容があったとしても、今このタイミングで聞くと逆鱗に触れてしまうみたいな内容の場合は時間を空ける様にしています。相手からそれに近しい話題や、機嫌が良さそうで今なら大丈夫、そんなタイミングがくるまで待つこともありますね。そのためには、できるだけ頻繁にコミュニケーションをとる必要があると思っています。
事業や会社の譲渡を希望する方とのご面談では、ビジネスライクにならないよう意識しています。ヒアリングする時は、まずは譲渡者の気持ちに寄り添えるよう、なぜこの事業を始めたのかのような、身の上話から聞き始めます。
後は、M&Aについてどのくらい本気なのかということも見るようにしていますね。「いつ売りますか?」「いつ会えますか?」の様に、こちらからガツガツ行く営業はあまりしておらず、相手からの自発的なご要望を引き出す様にしています。本気で譲渡を検討している方であれば、相手から沢山のご要望が出てくるだろうと思いますので。
譲受を検討する方とのコンタクトでも、M&Aの本気度は見ていますね。「どうしてこの会社を引き継ぎたいのか?」とか、「この事業を引き継いでどうしていきたいのか?」など、本気度を探る質問を入れるようにしています。これは、バトンズを利用して買い手候補者様と接するときも同じです。
とはいえ、真剣に交渉を進めていっても、ひょんな事から突然譲受が決まることもありますし、本当に些細なことで破談してしまうこともあります。プライドが高いが故に自分主導で交渉を進めていき、相手の交渉には応じない・譲渡価格の譲歩をしない、そんな方もいらっしゃいます。そこは、それぞれの方々の意図や性格を慎重に見極める必要がありますね。
M&A成約までの支援に限らず、M&Aを検討する前・M&A実施後の支援など、包括的に支援できる体制を構築したいなと考えています。会計事務所にいたころ、その質問は私ではなく、社労士さんや弁護士さんなどに聞くべきことまで尋ねられることがありました。中小企業のオーナー様からすると、会計事務所の担当者とは毎月のように会っているため、関係性が出来ているからこそ聞きやすかったからだと思います。
このように、なんでも聞いてもらえて、相談してもらえるような存在になりたいと思っています。そのためには、自社単独の力では役不足だと思っています。そこは、茨城県内の士業の先生方や、その他関連企業様などとも連携を深めながら、チーム茨城で支援できたらと考えています。
最近は、茨城県内の連携企業様から案件をご紹介して頂ける仕組みが構築出来ましたので、まずはその様な案件を責任持って成約まで導けるようにしたいですね。
茨城県内の事業者様からのご紹介がメインになりますので、ご紹介頂いた会社様も知り合いであることが多いです。もしかしたら、私がかつて接点を持っていたお客様を支援する機会も出てくるかもしれません。そのようなご支援は、是が非でもお力にならないと、と気持ちも高まります。
また、先ほども申し上げました通り、中小企業経営者のなんでも相談できるハブになりたいと思っています。わからないことがあればLifeHack社に相談すれば安心だ、そんな場所だったりシステムだったりを作りたいと考えています。
そのためにもまずは、M&A支援事業を継続することでしっかりとした土台を築きながら、中小企業支援のハブとなる様なシステム開発を進めていく必要があります。そのようなシステムを充実させていくことで、中小企業のオーナー様がより便利に、より効率的に利益を確保し、オーナー様だけでなく、従業員様やその家族の皆さんも含めて、「この地域で働いて良かった」そう思って頂ける手助けができればと考えています。
私は地元愛が強いため、M&A支援を通じて茨城県内の事業が発展し、雇用促進にも繋がることが生き甲斐です。地元が盛り上がっていく姿を片目に見つつ、「これ自分が支援したんだよな」と物思いにふけりながら、ひっそりとお酒を飲みたいですね(笑)。
こんなお悩みありませんか?
つなぐマッチングプラットフォームです。
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