小規模企業・個人事業などのスモールM&A専門として、2019年よりM&Aアドバイザー業務を手掛ける合同会社アジュール総合研究所。代表を務める伊藤圭一様は、2020年に「Batonzベストアドバイザー賞」を受賞され、M&Aに関するさまざまな相談に日々向き合っておられます。
小さなM&A会社が、どのようにして他社との差別化を図り、多くの相談を受けるようになられたのか、その背景や事業戦略について、伊藤様にお話を伺いました。
【伊藤様の略歴】
・地方銀行から一般事業会社へ転職し、経理責任者として勤務
・税務・財務システム会社へ転職
・M&A仲介会社へ転職し、M&Aアドバイザー業務を経験
・2019年7月に「合同会社アジュール総合研究所」を設立
【合同会社アジュール総合研究所の企業概要】
2019年7月設立。小規模企業・個人事業などの小規模事業を専門としたスモールM&A専門の仲介会社。M&A支援機関に認定・登録されており、「バトンズ認定アドバイザー・認定バトンズDD監査人」としても活動を行っている。
きっかけは、ひとつのM&A成約を手掛けた経験から
設立当初は、通常のM&Aアドバイザーとしてスタートしました。
ホームページからのお問い合わせや、応援してくださる税理士先生からのご紹介などでお客様を獲得していたのですが、ある時、懇意にしていただいている先生より「うちの事務所の顧問先なんだけど、大手のM&A仲介会社に依頼したが、案件のサイズが小さく断られてしまった。なので君の会社でM&Aのサポートをしてほしい。」というご依頼を頂きました。
大手のM&A仲介会社の成功報酬は、最低報酬が1,000~1,500万円程が相場。中堅のM&A仲介会社でも500万円~ということが多く、クライアントの売却価額は最低1億円以上じゃないと、最終的に手元に残るキャッシュは少なくなってしまいます。
その時ご依頼いただいた顧問先の事業価値を算定したところ、約1,000万円程と算定されました。確かにこれでは、M&A仲介会社に成功報酬を支払うと受取金額がマイナスになってしまう可能性が高く、売却する意味がありません。そこで、私のところに白羽の矢が立ち、M&Aアドバイザーとしてサポートさせていただくことになりました。
買い手探しはM&Aマッチングサイトを利用させていただいたのですが、多くのアプローチをいただく中で、個人の買い手様からもお問い合わせがありました。個人的にも興味がありご面談してみると、良好なお人柄もさることながら、起業とM&Aに対する熱意が強く、売主様もこの方を気に入っていただき、無事にM&Aを成約することができました。
スモールM&Aでさえ珍しい上に、個人(会社勤務のサラリーマン)の買い手がM&Aを行うということに当時は大きな衝撃を受け、この経験が自分の人生を変えたきっかけになりました。
実際のところ、小規模企業や個人事業の事業承継は、採算性の観点からM&Aアドバイザーが依頼を受けてくれることは少なく、後継者不在の場合は会社を清算するケースの方が圧倒的に多いです。
こういった現状とあの時の成約経験から、小規模事業そして、個人事業を経営されている方の事業承継・M&Aのお手伝いをする事が当社の使命なのではと感じ、「スモールM&Aアドバイザー」と事業コンセプトを変更して再スタートをした、という経緯になります。
ニッチ領域にターゲット絞り、強みを活かした戦い方を実践
小規模企業や個人事業にスポットを当てた、小規模M&A業務に絞って活動を行っているところだと思います。小規模事業の経営者様としては、第三者承継(M&A)を希望したとしても、一般のM&A仲介業者様へはM&A報酬のハードルがあり、なかなか依頼ができませんよね。
ただ、自分でバトンズさんなどのM&Aマッチングサイトを活用してM&Aを実施しようと思っても、なかなか簡単にできるものでもありません。そういった方々からのご相談が多いというのが、一番の強みではないでしょうか。
バトンズさんの活用方法としては、「専門家プロフィールページ」と「専門家コラムの投稿機能」を充実させています。専門家プロフィールページはなるべく全て埋めて、どんなお客様を対象としていて、どんなサービスが受けられるかを詳しく書いています。
専門家コラムは、いわゆるブログと一緒の機能ですよね。結構、売り手さんも買い手さんも見ていてくれているので、これを見た方からお問い合わせをいただくこともあります。
また、自社のホームページのドメインパワーを強化するには時間も手間もかかりますが、バトンズさんのサイトに自分の書いたブログを載せると、バトンズさんのドメインパワーも利用できるので、自社の広告としてはかなりコスパが良いと思います。
理想的な流れとしては、
↓
②「専門家プロフィールページで自社の詳細やサービス内容をみていただく」
↓
③「お問い合わせをいただく」
この一連ができてくると、案件の受注数も増えてきます。実際、バトンズさんのパートナーシップに登録する前は案件受注に苦戦しましたが、登録してからは、お問い合わせが倍くらいにはなりました。
その他で言えば、セミナー機能も活用すると非常に効果的かと思います。上記のようなバトンズさんからご提供頂ける機能をフルに活用することが、案件受託の一番の近道ではないでしょうか。
大事なことは、自社の分析。自身の得意分野を突き詰めること
ホームページでもブログを投稿していたり、note(ブログサイト)でのメンバーシップの運営、SNSでの拡散など、まずは自分にできることをフルにやっています。そういった活動が功を奏して、バトンズさんのサイトにて【M&A記事・コラム】を、何度か執筆させていただいています。(例:【完全攻略】事業承継とは?)
私は記事を書くのが得意なので「記事投稿」と言う方法を取っていますが、独自の強みを生かした方法で案件の受託をするのが一番ではないかと思います。
例えば、税理士事務所さんであれば、顧問先さんからの受託だけでは数も限りがあるので、顧問先さんのお知り合い・ご友人を紹介いただくような仕組み作りをするというのも有効な手段のひとつです。
顧問先さんとは、つまり社長さんですよね。社長さんのご友人には社長さんが多いですよね。事業承継ネタは、飲み会の席などで経営者同士で話題になるはずです。そこで、「ウチの顧問税理士、事業承継の相談に乗ってくれるよ。紹介しようか?」というふうになってくれれば、一番効果があると思います。
私も実際、過去にM&Aのご協力をさせていただいた社長さんから別の社長さんをご紹介いただいたこともあります。関与先を多く持っている士業事務所の先生は、このやり方が一番効果的ではないでしょうか。
とにかく、今の自分に何ができるかをつぶさに見つめ直すことだと思いますよ。
「自社の強みは何なのか?」「自分にできることは?」「お客様に喜ばれることは?」あげればきりがありませんが、分析していくうちにどう集客するのが一番いいのか(自社に合っているか)が分かってくると思います。
私は記事を書けるのが強みなので、それを元に受託できる仕組みを取っているに過ぎません。記事を書くのが不得手な(または時間がない)人は、それ以外の方法でエンドユーザーに認知される方法は何かを探すことが、最も重要だと思うんですよね。
それが分かれば、M&Aの案件受託に限らずビジネス全体の底上げにもつながると思うので、一度、自社の分析をやってみて下さい。必ず道は開けますから!
こんなお悩みありませんか?
つなぐマッチングプラットフォームです。
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