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「同じ温度で同じ方向を向ける組織づくりを」経営の多角化を目指し、異業種のM&Aに挑戦

2023年06月14日

山口県光市を拠点に置き、産業廃棄物の収集・運搬や清掃作業、クリーニング作業などを中心に事業を展開する「光徳産業株式会社」はこの度、バトンズを通じてプラスチック製品の製造を行うK社を譲り受けされました。

1960年に創業して以降、本業を主軸としてFC事業の展開など多岐にわたる事業に取り組んできた光徳産業ですが、M&Aに踏み切ったのは今回が初となります。60年以上に渡り事業を続けていた歴史ある会社が、M&Aを駆使してどのような事業戦略を描いているのか。ご成約の背景や今後の事業戦略などについて、社長の谷口様とM&A担当者の渡邉様に、お話を伺いました。


 

譲渡企業
区分 法人
業種 製造業
拠点 中・四国地方
譲渡理由 後継者不在

 

 

譲受企業
社名 光徳産業株式会社
業種 産廃・リサイクル
拠点 山口県
譲受理由 新規事業への参入

 


事業の幅を増やすことで、外的要因によるリスクに備える

Photo by iStock-1315757284

1960年に「有限会社 谷口商店」として創業した会社は、1999年に「光徳産業株式会社」へと商号を変更。武田薬品工業、三井化学などの大手企業を取引先にもち、工場内の産業廃棄物処理や清掃作業、クリーニング作業といった業務委託作業をメインに事業を展開しています。

「山口県にある大元の工場が、戦後に立ち上がった大きな工場でして。その立ち上げに合わせて、工場内で業務請負を行ったのが事業の始まりでした。会社として組織されたのは、昭和35年。清掃関係、物品の運搬、ゴミの処理などは全て当時から続いている事業です。」

戦後まもなくから取り組み始めた事業を、現在も主軸として取り組み続けている光徳産業。近年は、メイン事業に加えてコンビニの店舗運営、まごころサポートというシニア向けの生活サポート事業、シニア向けの宅食サービスや訪問介護など、多岐にわたるフランチャイズ事業にも取り組んでおり、事業の幅を広げています。そんな中、今回初となるM&Aに取り組んだ経緯として、さらなるリスクヘッジを考えての事業戦略であると話す谷口様。

「一つの事業だけ、一つのジャンルだけで運営していると、外的な要因で会社が立ち行かなくなる可能性があります。コロナ禍が訪れたように、社会情勢の影響を受けることも考えると、業種の幅を増やしていかないとなと。

新規事業の設立も考えましたが、M&Aで良い会社が引き継げるのなら、うまく活用できればと考えていました。とはいえ、自分たちだけで売却情報を収拾するには限界があります。そんなことを感じていたところ、M&Aのプラットフォームであるバトンズにたどり着きました。」

「条件を絞ってしまうと、限られた情報しか入ってこない」ひらめきを大事に、幅広く業種を検討

Photo by iStock-1132894073

会社としてのリスク分散を目的に、M&Aの検討を始めた光徳産業。M&A担当を務める渡邉様は、他業種・他地域で幅広く事業を探していました。

「主目的は『リスクの分散』でしたので、他業種・他地域というのが一つの軸でしたが、既存の事業との相乗効果を狙った同業種・同地域というのも最初は考えて探していました。

しかし、それではなかなかマッチングしないんですよね。我々は地方の会社ですから、近隣の会社の情報は地元の銀行さんが密に連携をとっているからか、バトンズさんではあまり情報が出てこなかったんです。地域的に、まずは銀行に相談に行くのかなと。」

バトンズでは、地方銀行や信用金庫、地方自治体等とも連携をとりながら、M&Aの活性化に努めています。それでも、まだまだ全てのエリアで密な連携がとれているわけではないため、渡邉様は近隣エリアの同業を探すことは難航したと言います。一方、バトンズで売却案件を見ている中で、M&Aを検討している人や企業の多さに驚いたとも。

「買い手の方が圧倒的に多い市場だと思っていたんですが、売り手の数が思ったよりも多く、驚きました。売却の理由も、『経営者の高齢化』や『事業の継続が困難であること』が殆どかと思っていましたが、選択の集中のため売却を検討しているというのも多くて。幅広く事業を展開していく中で、一部を切り離すという企業が多いことも意外でした。」

多業種・多地域と幅広く検討するとなると、紹介される案件も非常に多くなります。そんな多くの案件の中から、渡邉様は「自身のひらめき」を大事にして交渉へと進まれていたとのこと。

「弊社は中小企業ですから、『投資できる範囲かどうか』が、検討対象となる第1条件になります。希望価格でまずは絞りました。業種は色んなジャンルを見てみたいという希望がありましたので、パッと見て「面白そうだな」と感じたらチェックするという形で、特に絞らずに見ていました。絞りすぎてしまうと、限られた情報しか入ってこないじゃないですか。色々見て、ひらめきを大事にしていました。」

ニッチな分野で生き残ってきた魅力ある会社。初めてのM&Aながらも、スムーズに進んだトップ面談

渡邉様が多くの案件の中から交渉へと進まれたのが、後継者不足により買い手を探していた、中・四国エリアでプラスチック製品の製造業を営むK社でした。渡邉様は、K社が製造業の中でも回転成形というニッチな分野に取り組んでいることに魅力を感じたと言います。

「かなりニッチな分野で長く続いていた会社でしたので、これからも需要が絶えない事業なんじゃないかなと。業務内容を見ていて、ニッチさに面白みを感じました。

もちろん、ニッチとはいえ価格競争はあるとは思いますが、大量生産がしづらいニッチな技術でここまで長く続けてこれているのは、大きな強みだなと。そして、その技術をもった会社が後継者不足によってなくなってしまうというのは非常にもったいないとも思いました。」

売り手社長とトップ面談を行なった渡邉様。たまたま社長と谷口様のお父様が同い年だったこともあり、スムーズに会話が進み、お互い良い印象をもつことができたと振り返ります。

「社長さんはすごく話しやすい方で、色々な話ができました。社長からすれば、従業員や会社を任せることになるかもしれない相手なので、かなり不安だったと思います。こちらとしても初めてのトップ面談だったので緊張もありましたが、スムーズに進めることができました。」

従業員の不安を察知し、全社員と面談。密なコミュニケーションをとって引継ぎを進めていく

Photo by iStock-1309115995

ご自身の年齢を理由にM&Aを検討し始めたK社社長。社内で後継者に名乗りをあげる者はおらず、お子様は他県で就職していたため、第三者承継へと踏み切りました。

そんな事業を引き継ぐにあたり、『社長への依存度合い』に焦点を当てて企業調査をしていたと話す渡邉様。異業種への参入ということもあり、社長がいなくなっても事業の再現性はあるのかどうかを懸念し、事前にチェックを行いました。

「事業が社長に依存していると、異業種からきた我々ではカバーできなくなる可能性があります。そういった観点から、社長がどれだけ現場に関わっているかをチェックしました。K社では、社長は管理業務がメインで現場に出ていたわけではなかったため、社長が変わっても現場自体は回るだろうということがわかりましたので、その点は安心できました。

また、M&Aを行う上で、最終的には人の相性というのも大事であるという気がします。お互いに『この人だ!』という感覚がないと、なかなか進まない部分があるんじゃないかなと。最初に会話をした時点で、ちゃんと相性が良い方であれば、成約に繋がりやすいんじゃないかなと今回の交渉を通じて感じました。」

相性の良い社長と巡り合い、事業面での懸念点もクリアになったことで、初となるM&Aの成約へと進まれた光徳産業。一方で、突然の社長交代に不安の顔色を浮かべていたのは、譲渡企業の一部の従業員でした。そのことを感じ取った谷口様は、引継ぎにあたり全従業員と個別面談を実施。従業員の不安解消に努めました。

「最初に挨拶をした際に、明らかに不安そうな顔をしていた方が何人かいらっしゃいました。これはちょっと1回全員と話す必要があるということで、時間をとって一人ずつと面談を行いました。

根本的な話として、『給料を下げることはしないですよ』『待遇を悪くすることはありません』と名言して、むしろ良い方向に社内改善をしていくつもりですというお話をしたら、みなさん安心されたようでした。」

「同じ温度で同じ方向を向けるか」が大事。まずは内側からM&Aができる組織づくりを

初のM&Aが終わり、引継ぎもスムーズに進んでいると話す谷口様に、光徳産業としての今後の展望についてお伺いしました。

「弊社としては、今後もM&Aを積極的に進めていきたいと思っています。これは長期的な目標であって、すぐに成果が出るものではないので、常にアンテナを張って検討していきます。

今回の成約が実現したことを皮切りに、社内でもM&Aの部隊を組織していきたいと思っています。この経験が、今後のM&Aに向けて本当にいい勉強になったので、次につなげていきたいですね。」

引き継いだK社に関しては、社員面談で集めた声をもとに、設備投資や安全面の管理などを積極的に進め、会社全体を若返らせていきたいと谷口様は意気込みます。そんな谷口様から、最後にこれからM&Aを検討している方へ向けたメッセージをいただきました。

「会社として社長以外がM&Aを実施するのであれば、一番重要だと感じるのは『誰が責任を持って進めるのか』ですね。現場に行って交渉できる人。M&Aを検討している社長と、実際に動く人間の意思疎通が大事だと思います。

その熱量が違うと、『行かされている、やらされている』と感じてしまう。そうなると、譲り渡す側にも迷惑がかかります。同じ温度で、同じ方向を向ける人同士で進めることが重要だと思うので、まずは内側から、M&Aができる組織づくりをしていくことが大事ではないかと思います。」

M&Aの部隊を作り、組織として積極的にM&Aに取り組んでいきたいと話す谷口様。ブレない経営基盤を作るべく、光徳産業のM&Aは加速していきます。

光徳産業株式会社のますますのご活躍とご発展を、バトンズ一同、心より応援しています!

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