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2018.12.24

自社のステークホルダーは誰か分かりますか?M&Aで最も注意するべき、ステークホルダーへの対応

▼中小企業の事業承継の方法として、M&Aを検討している経営者は少なくないのではないでしょうか。しかし、経営者とすれば、会社を畳むことなく引退をすることができても、会社に関係しているのは経営者だけではありません。従業員や取引先など、様々な利害関係者(ステークホルダー)が会社には存在します。M&Aを検討するにあたっては、このようなステークホルダーのことも考慮して話を進める必要があります。今回は、会社のステークホルダーと、M&Aを進めるにあたってステークホルダーへの注意点について解説していきます。

 

考え出すと、ステークホルダーは会社の内にも外にもたくさんいるのです

 

会社のステークホルダー

 

会社には様々なステークホルダーが存在します。ステークホルダーがM&Aによって影響を受けるのは、まずは心理的な影響です。M&Aはステークホルダーへどのような影響を及ぼすのでしょうか?

・従業員

従業員にとって経営者が誰になるのかは非常に重要です。中小企業の場合には、経営者と家族のような関係になっているケースもあるので、M&Aによって経営者が代わると知ると、会社を退職してしまうかもしれません。熟練した従業員が退職するのは会社にとって大きなマイナスですので、従業員の退職によってM&Aの話そのものが頓挫してしまう可能性もあります。
また、M&Aという言葉を耳慣れない従業員は、「会社が倒産する」「自分がクビになる」などと不安になる可能性も十分にあります。

・取引先

従業員と同じく重要なステークホルダーとしては取引先があります。取引先の中には、経営者との個人の付き合いでこれまで取引を継続してきたという会社もあるでしょう。そのような取引先は、M&Aによって経営者が変われば、取引の打ち切りを言い出すかもしれませんし、「取引が切られてしまうかもしれない」と懸念を持つ取引先もいるかもしれません。

・社長の親族

社長の親族などが役員や従業員になっている中小企業も少なくありません。彼らは「経営者が変わってしまったら、自分のポストが奪われてしまうかもしれない」などと危惧する可能性があります。

・銀行

融資取引がある銀行にとっては、取引先の経営者が誰になるのかは非常に重要ですし、代表者保証のある会社への融資について、保証人の免除や変更の手続きを行う必要があります。また、新しい経営者や親会社に不安があるのであれば、融資取引を継続することができないという事態になってしまう可能性も十分に考えられます。

 

M&Aを行う上でのステークホルダーとの注意点

 

他にも顧客や、顧問契約をしている会計事務所などもステークホルダーに挙げられますが、M&Aによって会社のステークホルダーは様々な心理的な影響を受けます。この心理状態を放置すると、従業員や取引先を失い、会社の存続が危うくなったり、M&Aの話が頓挫することにもなりかねません。M&Aを進めるにあたってはステークホルダーへ十分配慮する必要があるのです。

大前提として、M&Aを進めている時には、話が確定的になるまでは、信頼することができる数名の役員以外には話が漏れないようにしなければなりません。その上で、各ステークホルダーには以下のような説明をする必要があります。

・従業員

従業員であっても、当然話が確定的になるまではM&Aの話をするべきではありません。M&Aが成立した後に従業員発表会を開き、会社を存続させるためにM&Aという道を選んだという話をして、まずは従業員の雇用がなくなる訳ではないということを説明しましょう。その後、キーマンとなる従業員とは個別に面談をする必要があるでしょう。なお、M&Aを進めるにあたっては従業員に対して話が漏れないことが最も重要になります。中途半端に話が漏れると「会社が倒産する」という噂が社内で蔓延することになってしまいます。最悪の場合、M&Aを進める前に従業員がいなくなってしまい、本当に会社が倒産してしまう危険性もあるのです。

・取引先

取引先と話をするのは、やはりM&Aが確定した後です。経営者自信で説明に行きましょう。その後、新しい経営者と一緒に顔を出すのがベストです。取引先は、筋さえ通せばこれまでと同じように取引を行ってくれることでしょう。

・親族

親族についてはM&Aの話を進める過程で、信頼できるのであれば話をした方がよいでしょう。特に会社に出資している親族が後から話を聞くとトラブルになりかねません。株式がいくらで売却することができるのかも出資者の親族としては気になるところですので、事前に説明をした方が無難でしょう。

・銀行

返済能力と収益性が気になる銀行は、中小企業の廃業を危惧しています。このため、ある程度安定した企業とM&Aを進めているのであれば、話が確定する前に話してしまっても問題ありません。銀行としても歓迎することです。
また、銀行口座や融資名義の代表者変更手続きは非常に面倒ですので、ある程度前から話をしておかないと、M&A実行後もしばらくは口座の名義が変わらなかったりする事態も想定できます。「事業承継支援」は銀行業務の一環でもありますので、銀行はM&Aに対して積極的に支援してくれるでしょう。

 

M&Aによって影響を受けるのは経営者だけではない

 

M&Aによって影響を受けるのは経営者だけではありません。従業員や取引先もM&Aによって影響を受ける懸念があります。ただし、これらのステークホルダーに事前にM&Aの話が漏れるのは厳禁ですので、話がまとまった時点で、丁寧に説明しましょう。

いずれにせよ、M&Aは会社のステークホルダーのことを頭に入れて進めるよ
うに意識しましょう。

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