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放送事業を展開する企業。映像制作会社を引き継ぎ、思い描く事業戦略とは?

2023年05月15日

関東・関西の2箇所に事業所を構え、放送事業を中心に事業を展開する株式会社アトス・インターナショナル。そこで取締役を務めるS氏は、これまでも積極的に事業買収を重ねており、今回で6件目となるM&Aを実現されました。

コロナ禍で一度はストップしてしまったという事業拡大のシナリオを描き直し、新しい分野へと再び挑戦されるS氏に、この度のM&Aに至った経緯や決断を下す際に大切にされていたことなどを詳しくお伺いさせていただきました。


 

譲渡企業
スキーム 会社譲渡
業種 映像制作
拠点 東京都
譲渡理由 選択と集中

 

 

譲受企業
社名 株式会社アトス・インターナショナル
業種 放送事業など
拠点 東京都
譲受理由 既存商品・サービスの強化

 


 ●放送業界の潮流をつかみ、事業エリアを拡大!M&Aも戦略的に活用

日本放送局(NHK)が衛星第1・第2テレビの本放送を始めたのが、1980年代末。人工衛星から直接家庭に電波を送る衛星放送は、山など障害物が多い地域にも電波を送ることができることから、地上波放送に比べて効率的かつ大容量の広域情報伝達力がり、かつデジタル化により一気に世界的に注目を集めました。

そして、そんな放送業界の潮流を素早く掴んだS氏は、デジタル衛星放送の広まりとともに事業エリアを広げ、順調に拡大させていかれたのでした。

設立から30年以上が経過した現在では、放送チャンネル運営、映像コンテンツの企画・制作・販売や、広告・宣伝および販売促進に関する企画・制作の実施など、多岐にわたるサービスを提供されており、直近でもM&Aによって戦略的に事業ドメインを広げています。

既に実行された事業買収は5件にものぼるというアトス・インターナショナルですが、M&Aのプラットフォームサービスを利用してのご成約は今回が初となります。

●過去に複数回のM&Aを経験!バトンズ利用に踏み出した理由とは

Photo by iStock-1264346344

これまで、M&A仲介会社等を通じてM&Aを実施されてきたアトス・インターナショナル。M&Aのプラットフォームサービスであるバトンズを利用するきっかけは何だったのでしょうか?

「もともと、日本M&Aセンターとは接点がありまして。その中に大変優秀な方がいて、かれこれ3〜4年の付き合いになります。その方から紹介いただいたのが、バトンズのサービスでした。

過去には最終合意まで至った案件もあったのですが、その事業内容の特性からコロナでストップしてしまい、結果的に白紙に戻すことになりまして。

それから2年以上が経過して、状況も落ち着いたタイミングで再び案件を探し始めたのですが、その際に出会ったのが今回引き継いだ会社になります。」

案件サイズとしては日本M&Aセンターが扱う案件より小さい会社・事業が中心であり、それはネットサービスだからこそできるメリットだとお話しくださったS氏。一方で、案件の大きさに拘らず、会社譲渡・事業譲渡というテーマは非常に責任が重いものであるため、M&Aを行うサービスとしては、まだまだ改善すべき点も多くあるともご指摘いただきました。

●取り扱いジャンルを核として、周辺領域への染み出しによる事業成長を志向

Photo by iStock-1306218631

M&Aにおいて、これまで豊富なご経験を積まれてこられたS氏。数ある譲渡案件の候補から、どのように事業選定をしていったのでしょうか。

「私たちは放送事業がメインになるので、『放送』というものの横にある領域へと広げていくことで、事業拡大を図ろうと考えています。よって、買収対象となる取り扱い領域は比較的広めに設定しています。

例えば、放送の『コンテンツ』に染み出すのであれば『制作』を担う事業を取り込んだり、放送の『メディア』に注目して『Webメディア』を取り扱う事業を取り込んだりするといった形です。

一方で、取り扱いジャンルについては限定しており、自分たちの特性を生かせるものなのかどうかを見ています。具体的に例をあげると『アニメ』や『ゲーム』はやらない方針です。

今回の引き継いだ会社は番組制作がメイン事業となっていますが、某局で多くの実績があり、いずれも文化教養レベルが高いものばかりでした。つまり、うちと取り扱っているジャンルが一緒だったので、うちのテイストと合うだろうと感じました。」

また、どれだけ成果を出していたとしても、誠実な人がつくりあげた事業を買いたい、同じ思想を持った人から事業を受け継ぎたいともS氏は話します。

「先方の社長は本当に真面目な方で、非常に好感が持てました。私は既に何度かM&Aをやってきましたが、M&Aというのは相手が持っている資産を取って食うというものではありません。相手が作り上げてきたサービスを心からリスペクトした上で、やり方だけを変えてより良くしていこうという取り組みです。

よって、相手の思想に共感・共鳴できなければ、サービスそのものをリスペクトするのは難しいと思っています。その意味で、経営者の仕事に向き合う姿勢は、案件を選定する上で私に大きな影響を及ぼすのです。」

これまで多くのM&Aを手がけてこられ、その重みを実感しているS氏ならではの、経験からくる深みある持論をお話しくださいました。

●交渉成功のポイントは、相手を心からリスペクトし、誠実に向き合うこと

Photo by iStock-1309115995

選定条件を明確に持っておられるS氏は、交渉時にはどのような点に重きを置いて進めているのでしょうか。

「興味のある案件を見つけたら、すぐにコンタクトを取るようにしています。まずは、とにかくスピード重視ということで、ZOOMなり電話なり、可能な方法で案件の概観を掴むことから始めています。

その後、さらに財務情報を詳しくお伺いしたいというフェーズになった場合には、慎重に距離感を詰めていくように心がけています。この時には、スピードよりも質を重視しています。

その際、どれだけ自分たちが真剣に検討しているかを伝えることが重要だと思っており、決して中途半端な気持ちで財務情報の開示をお願いしてはいないことを説明します。

事実、私たちは同時並行で複数の案件を検討することはありません。1件1件、丁寧に向き合いながら判断を下すようにしています。逆にM&A案件を検討させていただく場合は、複数社を天秤にかけるコンペティションのような場合には参加しません。

繰り返しになりますが、会社や事業の譲渡というものは重くて大切な意思決定なので、相互のやり取りにおいては最大限のリスペクトを払うべきだと考えています。

そのことは、これからネットでのM&Aが増えていき、気軽に誰でも問い合わせができる世界になっていったとしても、変わらない、変えてはいけないものだと感じています。」

かねてより、取締役として事業を推進してこられたS氏。節目の期にあたる今年度を迎えるにあたって、体制を一新して次世代に既存事業を一任していくとのこと。一方、ご自身としては、これまでの固定概念を払拭することで、次に何が見えてくるかを志向し見極めていきたいと考えられていると言います。

現在、M&Aのプラットフォームビジネスは急拡大をしており、数十のサービスが混在しています。ネットはこれまでのM&Aをより身近なものにしつつある一方で、機密情報を取り扱う責任あるビジネスモデルであることに変わりはありません。

バトンズは、多くの事業者様が安心して扱えるサービスとして確立すべく、お客様からのご意見も真摯に受け止めながら、より良いサービスに向けて改善に努めてまいります。

株式会社アトス・インターナショナルの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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