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海外の大学と日本の中小企業を結ぶインターンシップ業の譲渡。譲渡理由は、ビジョンへの理解度

2023年04月03日

インターンシップ業、軽貨物事業、海外食品の小売業、特定技能をサポートする登録支援機関など、複数の柱で事業展開を行っている「SKC株式会社」。SKC代表である安達様は、今回「海外の大学と日本の中小企業を結ぶインターンシップ事業」を、バトンズを通じて譲渡されました。現在伸びつつある事業に集中をするために、インターンシップ業を手放す決断をされた安達様。想い入れのある事業を手放すにあたって、重視したポイントや想いについてお話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 SKC株式会社
業種 サービス業(法人向け)
拠点 宮城県
譲渡理由 選択と集中

 

 

譲受企業
社名 有限会社おーがすと
業種 介護事業
拠点 秋田県
譲受理由 新規事業への参入

 


宮城県を拠点に、海外インターンシップ生の受け入れ事業で起業

安達様が宮城県でSKC株式会社を設立したのは、2018年。当時勤めていた会社の宮城県撤退をきっかけに起業を決意され、20代前半の頃に人材派遣事業に関わっていたことから、「人」に携わる仕事で起業をしたいと考えます。

「インターンシップ自体は、人手不足を補うものではなくあくまで勉強の一環として大学生を呼ぶ仕組みではありますが、日本はこれからもっと海外の人材に頼らないといけなくなっていきます。

インターンシップ事業を立ち上げた背景には、国内を相手にしていくよりも海外に目をむけた方が、事業は成長していくんじゃないかなと思ったからです。また、実際に現地に赴いて大学を見学させていただく中で、『日本が好きで日本語を勉強している』という学生の子たちとも交流し、彼らの力になりたい気持ちも湧き上がってきました。」

安達様が立ち上げた事業の中身は、海外の大学からインターンシップ生を呼びこみ、中小企業とつなぐというサービス。現状、日本の中小企業側が海外からのインターン生を受け入れたいと思っても、現地の大学はなかなか受け入れてくれません。交渉には膨大な時間がかかり、現地に赴く必要性も出てきます。安達様は、そういった現状課題を的確に捉え、大学と企業の間に入り、双方の要望を汲んでインターンシップにつなげていくというサービスに勝算を見出しました。

コロナによる大きな打撃。一方で、新たにスタートした事業のが軌道に乗ってくる

Photo by iStock-1051777582

手探りながらも徐々に大学や企業とのつながりを得て、順調に契約を取れるようになった頃。安達様に、コロナという大きな試練が立ち塞がりました。

「外国人の入国が一切できなくなってしまい、それから約3年間は何もできずにいる状況でした。そんな中、2020年にたまたま知り合いの方が飲食店を起業するということで、その繋がりでお弁当の配送事業を始めさせていただいて。そこから、海外食品を扱うスーパーの経営を始めたんです。」

もともと安達様が一人で経営していたSKCに、その頃バングラディシュ人の社員を採用。新たに始めた海外食品のスーパーは1年目は苦労しつつも、徐々に売り上げが上がっていきました。そんな中で、安達様は伸びている小売業に事業の選択と集中をはかり、コロナで打撃を受けたインターンシップ業の譲渡を検討し始めます

「インターンシップ業は需要が高く、まだまだ伸び代があります。しかし、うちは社員が二人の小さい会社です。アルバイトが数名いるとはいえ、インターンシップ業をし、軽貨物も小売も留学生のサポートも特定技能も、となるとどうしても無理が生じてしまう。今後を考えると、事業整理として今好調である小売店の経営に時間と資金、労力をかけていくのがベストなんじゃないかなと思い、事業譲渡を検討し始めました。」

インターンシップ生を第一に考えてくれる方に事業を譲りたい

こうして譲渡先を探し始めた安達様。譲渡先に求める一番の条件は、海外からくる大学生をサポートする気持ちがあるかどうかでした。

「我々のサービスでは、コンサルティング料として企業からお金をいただく形なので、企業側のサポートももちろん大事なのですが、私たちが大事にしたいのはそれ以上に海外からきてくれる大学生のサポートです。社会人ならともかく、まだ学生のうちに、親元を離れて馴染みのない国に来る彼らのことを考えて、親身になって接してくれる先がいいと思っていました。」

客先となる企業側はもちろんのこと、海外からくるインターンシップ生たちのことを考えられる人や会社に事業を譲りたい、という想いが強くあった安達様にとって、譲渡先となった「有限会社おーがすと」の阿波野様はまさに理想的なお相手でした。

「阿波野様ご自身も技能実習生の受け入れを行なっており、すでに海外の方を自分の会社で研修させているとおっしゃられていました。話も合いましたし、考え方も近いものがありましたが、なにより外国人に対して偏見や隔たりがある印象が全く感じられなかったんです。この方なら、現地の大学生やインターンシップ生のことを第一に考えて動いてもらえるんじゃないかという感触がありました。」

阿波野様の他にも、数社と並行して交渉を進めていたという安達様。その中で最終的に阿波野様を選ばれた決定打は、阿波野様からは良い意味で「ビジネス第一」の意識が感じられなかったからだと言います。

事業の本質を見誤ることなく、事業を引き継いでいってほしいという願い

Photo by iStock-1350558248

「正直に言うと、他の企業の方々と阿波野様は、話の入りからして全く違いました。もちろん、事業譲渡ですからビジネスの話になるのは当たり前なんですが、うちのインターンシップ業は人材派遣業ではないんです。人を派遣してお金をいくらもらうとか、そういうスキームでは行なっていません。ビジネス色が強すぎる方だと、本質を見誤ってしまうのではないかという懸念がありました。」

安達様のインターンシップ業のミッションは、あくまでも海外の大学生に勉強の機会を与えることであり、外国人材の雇用ではない、というところが大きなポイントでした。大学の授業の一環として、学んでいることと関連性のある企業に研修にくるインターンシップ生たちを単なる「労働力」として捉えてもらっては困る、という想いが安達様にはありました。

「ビジネス色が強い社長さんや企業の場合、最初は私どもの説明を頭で理解したとしても、事業を進めていくうちにだんだんブレてきてしまうと思うんですよね。ですから、最初からビジネス色の強い方々は事業の売却先としてふさわしくないなという想いがありました。」

その点、今回の売却先となったおーがすとの阿波野様とは、事業譲渡の話は最初の5分ほどしかしなかったのだそう。残りの時間は、行ったことのある国や、海外での生活の話、お互いの事業内容についてなどの話がメインの話題に挙がりました。商談としては、ビジネス色が弱かった分、逆にそれが安達様にとっては好印象となり、「この人になら任せても大丈夫かもしれない」という安心感につながりました。

「ビジネスなので、利益がでなければ話にならないことはわかっています。それでも、想いがあって起業をして、様々な苦労を乗り越えて今があるんです。譲渡先の阿波野様にはどんどん利益を出して売り上げをのばしていただきたいですが、それ以前に、どうか事業の本質を見誤らないようにしていただきたい。それが、私の一番の願いです。」

今回が初めてのM&A交渉となった安達様。売り手アドバイザーとして、ブルーバード合同会社の鈴木様が交渉のサポートを行いました。サポートの面で一番助かったポイントはどこか伺ったところ、「全てですね」とすぐにお返事が返ってきました。

「これまで、事業を売り買いするという考えすらなかったので、事業譲渡における工程が1から10まであるとしたら、私は1がかろうじてわかる程度でした。基本的に、鈴木さんには1から10まで全てサポートしていただけたので、非常に助かりました。」

事業譲渡を経験し、M&Aが今後の事業戦略の選択肢に

事業の売却なんて考えたことすらなかったという安達様ですが、実際に一通りの交渉を終えてみて、今後の事業拡大においてM&Aが選択肢の一つに加わるという変化が起こりました。

「選択と集中を理由にM&Aをしたので、まずは既存事業を伸ばしていこうという方針です。しかし、資金面や経営面での余裕が出てきたら、また新しい事業を立ち上げるかもしれません。そうなった時、一から事業を立ち上げるよりは、既にある事業を譲り受けた方がいいんじゃないかと、今回のM&Aを経験して思いました。次は買い手としてM&A市場に参加していくというのは、今後の事業展開としてありだなと思っています。」

安達様のように、事業譲渡を検討しつつ、これまでの想いや既存の取引先のことを考えてなかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか。初めてのM&Aを終えた安達様に、最後に事業売却を悩んでいる方向けにメッセージをいただきました。

「事業を売却したとしても、その事業は続きます。そこまで考慮した上で、譲渡先を選ぶのがいいんじゃないかと思います。事業譲渡にあたって私が一番懸念に感じていた点は、自分が作り上げてきたものを手放すという不安ももちろんですが、起業当初からずっとお世話になっている取引先との関係性でした。

今まで、コロナ禍の苦しい中でもずっと取引を続けていただいた企業さんたちと、やっと信頼関係を築けてきたというところでの売却だったので。実際、企業さん側から『引き継ぐ方がどんな人かわからないから不安』だという声もいただきました。ですから、事業に対して同じ想いを持った、同じ方向に進んでいただけるような方に事業を譲渡した方が、売った後の後悔は少なくなるんじゃないでしょうか。」

事業に対する強い想いを持っていたからこそ、譲渡することに戸惑いがあった安達様でしたが、より良いお相手と出会えたことで新たな道が開けていきました。

安達様とSKC株式会社のますますのご発展を、バトンズ一同心より応援しております!

 

【担当アドバイザー:「ブルーバード合同会社」鈴木洵市様からのコメント】

安達様、阿波野様のおかげで成功に至ったことを嬉しく思います。

今回のM&Aは、「インターンシップ事業の事業譲渡」ということで、教育の側面が強く、また非常に多く関連する取引先があり、センシティブな案件でした。弊社は事業コンサルティング企業の側面もあり、当初、売手の安達様からは事業相談というところからお声がけをいただきました。

この際に、安達様が取り組まれて来られたインターンシップ事業における社会的な重要性や、思いやご苦労についてご説明いただき、安達様の、「この事業を残したい」という思いに感銘を受けました。その中で、たくさんある経営の選択肢の中に、「事業譲渡」という手法があるというアドバイスをさせていただいたことを覚えております。

思いのある事業譲渡であった為、思いを引き継いでいただける買手様とのマッチングが非常に大きな役割でした。TOP面談時に、買手の阿波野様は「新たな成長機会」を目的とされていることが明確で、今回の事業譲渡における今後のビジネスモデルを熱く語っていただいていたことが成功の要因になったと思います。

また特殊な事業である為、事業譲渡においても安達様が当面顧問という形で阿波野様のサポートをするということで合意形成がとれたことも重要なポイントです。当社では、この成功は両社がお互いを尊重し、オープンなコミュニケーションを重視していたからこそ実現したと考えています。

M&Aは、単に買収するだけでなく、企業文化やビジョンの共有が重要であり、双方が協力し合うことが必要です。このM&Aでは、売手と買手がオープンな対話を行い、お互いの価値観やビジョンを共有することで、共通の目標を達成することができました。阿波野様と安達様の今後の成功を祈念いたします。

当社は、常にクライアント企業の成長と成功を支援することに取り組んでいます。
今後も、両社が成長し、発展するために必要なサポートを提供していきたいと考えています。

この案件を担当した「ブルーバード合同会社」紹介ページ
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