中小企業・スモールM&A専門の仲介会社及びメディア運営会社として、2018年に設立された株式会社事業継承通信社。ご相談の約7割が年商5億円以下のオーナー経営者様という、中小零細企業に寄り添った仲介事業を展開されている会社です。
事業継承通信社で代表取締役社長を務める若村雄介様は、バトンズも積極的に活用しながら多くの成約実績を積み重ねており、現在は成約したお客様からの紹介案件が増えてきているとのこと。
順調に業績を伸ばす事業継承通信社は、どのようにM&Aに取り組み、お客様との継続的な信頼関係を築かれているのか。大切にされているポイントやバトンズの利用方法などについて、これまでのキャリアとともに若村様にお話を伺いました。
【若村様の略歴】
・1997年、慶応義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。
・リクルートで17年間、不動産・IT・ブライダル業界を経験、幅広く活動。
・2018年、中小企業スモールM&A専門のサポート会社『事業継承通信社』を設立。
【株式会社事業継承通信社の企業概要】
2018年に設立。中小企業を対象としたスモールM&A専門の仲介会社。日本行政機関の1つである中小企業庁が定める「M&A支援機関」に認定・登録されており、年間10数件のM&A案件を成約までご支援。
自身のソリューション提案が、企業に役立つ楽しさを実感
私はもともと営業畑出身です。新卒で入社して17年勤務したリクルートでは大手企業から中小零細企業まで担当しましたし、さまざまな業界・多数のプロジェクトに携わらせていただきました。
その中で楽しかったのは「中小零細企業のオーナー経営者のサポート」でした。
経営者の方々とお話していると、こちらも刺激を沢山もらいながらも、採用、育成や組織づくりなどさまざまな場面でリクルート社内で日々経験していることがそのままお役に立てられる情報だったりします。
お金が発生しない場面であろうと、自分がサポートすることでその企業のお役に立てることに面白味を感じていました。
共同創業者の柳と話し合って、「経営者をサポートする事業を立ち上げよう」というのは先に決めていて、最初は自分たちの強みを活かした営業系サポートかなと思っていました。
ですが、友人から事業承継、M&Aの話を聞く機会があり、そこから自分達でもこのテーマについて調べる中で、日本が抱える後継者不在の問題について知りました。
どんな企業でも事業を継続させようと思うと、次の経営者に継承していくような出口をいつかは考える必要があります。そういった方々をサポートすることは、非常に意義がある仕事だと思いました。
第三者への事業承継の仕事、すなわちスモールM&Aを通じて中小零細企業の経営者をサポートすることもできますし、事業が残ることで社会貢献にもつながります。加えて、少子化で第三者承継の潜在需要は広がっていっていますので、ビジネスとしても可能性が高い事業でもあります。そして何より、自分がやりたいと思える仕事だったことが大きいですね。
バトンズは、今やどんな案件でも対応できるM&Aプラットフォーム
現在はバトンズさんを主に利用していて、成約の半分近くはバトンズさん経由かと思います。以前はいくつかのプラットフォームを併用しながら、自分たちのロングリストから直接電話をしたりすることが通常でした。その方が買い手さんのニーズを聞けますし、我々のネットワーク構築にも繋がるので。
バトンズを積極的に利用し始めたのは、当時取締役だった神瀬さん(現在 代表取締役)とお話する機会があって、バトンズの掲げるビジョンや理念と弊社の方向性が非常にマッチしていると感じたからです。また、多数のプラットフォームを併用するより、少数に絞って利用することで使い方がよくわかるので、今ではバトンズを重宝させていただいています。
以前は、案件毎にバトンズと自社のロングリストで成約しやすいのはどちらかを考えて使い分けていたのですが、その考えも変わり始めています。
例えば、「のれん代などが大きく上乗せされていたり、直近赤字だったりで、財務状況からすると売値希望価格が高めに見えるが、財務情報に現れない価値がしっかり存在する」案件などは、買い手候補リストにドアノックして説明すべき案件で、M&Aプラットフォームでは向かない案件なのかなと思っていました。
それは、多くの掲載案件を比較できるネットでは、まずスペック比較から入ると思っての仮説だったのですが、そのような案件でもブランド価値をしっかりと概要に明記することで、良質なお問い合わせがくるようになったケースが増えてきました。
そういったケースから、バトンズに向いている案件という概念が自分の中で変わり始めていて、今ではどの案件でも対応できるようになってきているんじゃないかと思っています。
経営不安に陥っていた千葉県のエステサロンで、途中から売り手さんの要望が変わり続け、価格感が上がっていってしまった案件が印象に残っています。規模感や急ぎで成約したかったということもあって、バトンズさんに掲載させていただいた案件になります。
6社ほど引継ぎ候補が挙がり、2社から意向表明をいただいたころ、売り手さんが「もっと高く売れるのではないか」「安く決めて早く終了しようとしているのではないか」と思われたようで、途中から金額を釣り上げるような発言をされはじめたり、他にも言うことが二転三転するようになっていきまして。
こちらも妥当な金額感で誠実に提案をしていますし、買い手さんとの信頼関係もあるので、普段はあまりないですが途中でサポートを断りました。
売り手さんはその後、他の多数の仲介会社に相談をしたそうですが、仲介業務契約は取り付けるものの、結果として買い手の紹介を一つもいただけなかったようで、半年後に連絡をいただき「どうしても事業承継通信社にやってほしい」と懇願されました。
そして一定の条件をのんでいただくことで受託し、もう一度仲介会社として取り組んだ結果、成約に至ることができたという案件になります。
成約になり、最後の食事会では大変感謝されましたね(笑)。また買い手さんとも本案件のやり取りをする中で、信頼関係を築くことができまして。今でも一緒にお食事に行ったり、周囲のご友人経営者にも弊社を紹介してくださったりするようになり、今でも良い関係を続けることができています。
大切にしているのは、Win-Winの成約を実現すること
強みは、経営者視点があるところだと思います。実際、事業をおこなう経営者として経験も知識もあるので、同業他社のアドバイザーの方と比較されても選んでいただくことが多いですね。
複数のM&A仲介会社がある中で、選んでいただいた理由を聞くと「信頼できそう、頼もしそう」と言っていただいたり、「話をわかってくれる、意図していることを汲み取ってくれる」というお声をいただくこともあります。
仲介業としての知識やノウハウ以上に、今までの経験から経営者の視点や気持ちに寄り添えることが強みになっていると思います。
ケースバイケースですが、ヒアリングは比較的長く深くしている方かなと思います。
最初は、会社を立ち上げた背景やこれまでの軌跡など、過去の深掘りをしながら経営者の方の価値観を知る時間になることが多いです。案件獲得のためにこちらを売り込む、ということはせずに、相手の話をしっかり聴き、理想のゴールを一緒に設定することを大事にしています。
しっかり話を聞いて状況を理解した上で、最終的にこちらでお引き受けできるかどうかの判断もします。お金目的があまりに強すぎる場合や、マイナスな部分を隠して少しでも高く売りたい姿勢を感じた場合は、引き受けません。うちでは難しいですと判断してお断りします(笑)。
そうですね。自分は本当に売り手さんと買い手さんのWin-Winを目指していて、自社手数料のことは一旦置いて考えるようにしています。売り手・買い手双方のためになるように、心から薦められるお見合いをコーディネートしている感覚でしょうか。
仲介会社としては、双方の相互理解が深まっていけるように進めています。
M&Aにおいて、金額的な条件は一部の判断材料にすぎません。そこだけではなく、相手のお人柄や事業承継後の安定経営イメージができるかなど、総合的な判断で決めていただけるようにお伝えしていますね。お互いが納得した上で進んでいくことが、成約につながっていると感じています。
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