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神戸で30年愛された居酒屋の店主が「後を継ぐ者」に求めたこと

2023年02月16日

神戸市内の駅近という好立地で開業してから、およそ30年。5年で半数以上が閉店すると言われている厳しい飲食店業界において、特に広告宣伝をせずとも、口コミで常連客を増やし、地元に愛され続けてきたのが、今回の事業譲渡対象となった居酒屋A店です。

店主兼オーナーとして全てを切り盛りしていた金海様が、事業の後継者探しをスタートされた背景や、何を大切にして候補者を選定されたのか、詳しくお伺いしてまいりました。

 


 

譲渡企業
スキーム 事業譲渡
業種 飲食業(居酒屋)
拠点 兵庫県
譲渡理由 後継者不在

 

 

譲受企業
区分 法人
業種 観光関連事業
拠点 兵庫県
譲受理由 新規事業への参入

 


「いつかは居酒屋をやってみたい」そして訪れた、人生のターニングポイント

Photo by iStock-652520606

兵庫県最大の都市である神戸市を構成する9区の中で最も面積が小さく、最も人口密度が高いとされる長田区は、平安時代には既に区画が引かれていたという長い歴史を持つエリアです。

そこには生田神社、湊川神社と並ぶ「神戸三大神社」のひとつであり、千年以上前に開かれたとされる長田神社があるため、常に人の往来が絶えない賑やかな場所でもあります。

そんなエリアにお店を構え、30年以上もの長きに渡って地元・神戸市民に愛され続けてきたA店。素材にこだわった食事や豊富なドリンクメニューが自慢の店は、世代を超えてファンを増やしてきました。

本店舗の創業者であり店主でもある金海様は、お店を立ち上げる以前は京都で会社勤めをされていました。飲食店には、学生時代にアルバイトとして携わっており、そのころから「いつかは居酒屋をやってみたい」という思いを抱いておられたのだそう。

そんな折、神戸にお住まいだった義理のお父様が他界され、残されたお母様との同居を決められたのをきっかけに、ここ神戸に居を移した金海様。そして同タイミングで、かねてからの夢だった居酒屋経営に踏み出したのでした。

全く縁もゆかりも無い土地で、一から飲食店経営を始めるのは決して楽ではなかったはず。そこで、開業当時のお話をお伺いすると
「私は山口県出身なのですが、この長田区というエリアの言葉使いは、独特のイントネーションや言い回しがあって、それが当時の私には非常に乱暴に聞こえてしまって。ここはガラが悪い場所なんですかと、周囲に聞いて回ったくらいなんですよ。この言葉使いに慣れるまでは、毎日、お客さんに怒られているような感じがして(笑)。それが当時は辛かったのを覚えています。」と笑っていらっしゃいました。

それでも、「必ずお客様と会話を重ねる」と決めて真心を込めた接客を貫き通すことで、確実に常連が増えていき、特に広告宣伝をしなくとも安定した業績を上げ続けたA店。気づけば、30年という月日が経っていったのでした。

コロナ禍の到来で状況は一変。早期の決断を迫られた後継者探し

Photo by iStock-1360462782

そんな繁盛店も、いわゆる後継者不在という問題に以前から直面していたため、金海様は商工会議所とコンタクトを取りながら、ご自身のペースで後継者を探しておられました。

ところが、2020年に到来した新型コロナウィルスの蔓延と、その防止策施行の長期化によって、「状況が一変してしまった」と金海様は話します。

初年度は、為す術もなく休業状態が続く中で、お弁当販売を始めるなどして事業を繋いでいきました。しかし、飲食店に従事する人々が一気に減っていくのを間近で見るにつれて、気力が限界に近づいていくのを感じるようになったそうです。

「不安な気持ちも含めて商工会議所の方に話を聞いてもらっていたら、『この状況は今後も長引くだろうから、事業を継承しようと考えているなら早めに決断したほうがいい』とアドバイスをいただきまして。

それもそうだと思い、商工会議所に兵庫県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介してもらうことにしました。それが2021年の初頭のことです。そして、引継ぎ支援センターから紹介されたのが、バトンズさんだったんです。」とのこと。

こうして、金海様の後継者探しがスタートしたのでした。

後継者の選定基準は、これまでのスタイルを好きになってくれるかどうか

Photo by iStock-1442211703

バトンズに登録してすぐに反響があったという金海様が実際にお会いになったのは、全部で3名の候補者。そこで、どんな選定基準を持って後継者を決められたのかをお伺いすると
「この店のことを好きになってくれるかどうかは見ていました。例えば、お会いした候補者の中に大手飲食チェーンの方がいらっしゃったんですが、彼らには彼らのスタイルがあって、この店の良いところを残してくれるという安心感がなかったため、お断りしました。

お店の全てを残したいと思っていたわけではないんですが、内装や造作は気に入っていたので、少しでも使ってくれたら嬉しいなと考えていました。

その点、今回お譲りすると決めた方は、内装はもちろん、店名まで引き継いでくれるとおっしゃっていて。それは、とても嬉しかったですね。」とのこと。

「その方は、現在は旅行業を営んでいらっしゃるのですが、食べ歩きが大好きで国内外問わずに飛び回っていたそうです。なので、ご自分が飲食店をやる際のメニューも何となくイメージしていたそうなのですが、その好みがお店の品揃えに近いものがあるとのことで、すごく気に入ってくださって。私も食べ歩きが好きで、自分が食べたいと思ったものをメニューに加えていった感じだったので、共感できる部分も多かったです。

これから改装工事をするそうなのですが、お店の雰囲気を含めて良い部分は残したいと言ってくださったので、安心してお譲りできると思っています。」とも。

今は店舗の引き継ぎ中で、調理方法やオペレーションなどスタッフに教えていらっしゃるという金海様に、最後に今後の展望をお伺いすると
「とにかく今は引き継ぎが忙しいので、これが終わる3月末までは何も考えられないという感じですかね。いくつかやりたいと思っていることはあるんですが、これまでのノウハウを全て後任のスタッフの方に伝え終わったあと、落ち着いたらゆっくり腰を据えて考えるつもりです。」とのこと。

引継ぎが終わるまでは何も考えられないと笑う金海様の言葉の端々から、これまでどれほどの愛着を持ってお店を営んでこられたのかが伝わる、とても心の温まるインタビューとなりました。

金海様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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