▼創業時には通常、過去における事業の実績などがないため、メガバンクや都市銀行などから融資を受けるのは困難と言われます。しかし、政府系金融機関などでは創業時の資金を無担保かつ低金利で借りられる可能性があります。今回は、創業時におすすめの資金調達方法を紹介したいと思います。
融資を受けるのは簡単なことではありません。自己資金の土台の上に借入れるものだとしっかり認識しておきましょう。
起業時の定番! 日本政策金融公庫の新創業融資
サラリーマン時代にコツコツと貯めてきた自己資金で起業することはもっとも堅実な方法です。しかし、店舗や事務所の開設など、最初にある程度まとまった資金が必要な場合もあります。また、黒字になるまでに時間がかかるビジネスでは、当面の運転資金や生活資金をカバーできるだけの余裕も必要になります。
創業時の資金調達方法としては、日本政策金融公庫による融資が定番の方法といえます。日本政策金融公庫は政府系の金融機関です。そのため、これまでに実績がない起業家に対しても資金を融通することで日本経済の成長や発展に貢献するという使命を持っています。
例えば、日本政策金融公庫の国民生活事業では、新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人を対象に「新創業融資」と呼ばれる制度を用意しています。この制度では、最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円)まで無担保かつ無保証で融資が受けられます。
もちろん、満額まで借りられるケースはごく限られていますが、不動産などの担保物件を提供できない人や借入の保証をしてくれる人を見つけられない人にとっては力強い味方となります。
都道府県が窓口になる創業融資という制度も
金融機関でお金を借りる場合、「プロパー融資」と「保証付き融資」という2つのタイプの貸出方法があります。これらの分類は融資にかかる回収不能のリスクを誰が負担するのかを意味しています。
プロパー融資というのは、純粋に金融機関がリスクを負って債務者に融資を行う方法です。これに対して保証付き融資というのは、信用保証協会が融資に対して保証を行う方法です。保証付き融資では、仮に債務者が借入の返済をできなくなったとしても、信用保証協会が代わりに支払をしてくれるため、金融機関はまるまる損害を被らずに済むのです。
こうした信用保証の枠組みを活用して、都道府県、金融機関、信用保証協会の三者が連携して創業者の支援を行う「創業融資」という制度があります。
例えば、東京都の創業融資の場合、東京都内で近々個人開業あるいは会社設立の方法で創業する計画のある者や創業してから5年未満の中小企業者などが対象となります。融資金額は運転資金と設備資金合わせて最大2,500万円となっています。
通常、信用保証協会の保証を受けるためには信用保証料を支払う必要があります。例えば、金融機関からのローンで保証料を金利と一緒に支払っている場合にはあまり意識されないこともありますが、実は債務者が保証料を負担しています。
都道府県の創業融資では、この信用保証料に対して2分の1など一定割合の補助が受けられるという利点があります。また、地域の商工会議所や商工会から創業支援を受けているなど、一定の要件を満たすことで金利が優遇される「創業支援特例」という特典も用意されています。
審査上も優遇される創業融資は有効に活用しよう
以上のように、創業融資は事業実績がなくてもお金を借りられ、様々な優遇も受けられるというお得な制度です。
一般に、業況が厳しいときほど、融資が必要であるにもかかわらず、審査は通りにくくなるものです。取引のない金融機関に初めて融資の申込をする場合などは特に審査は厳しくなります。
そのため、創業時に融資を受けておくことは資金繰りの面で好ましいだけでなく、金融機関と取引実績を作っておくという意味でも有用です。そのような効用も考えた上で日本政策金融公庫や都道府県の創業融資はうまく活用したいものです。
こんなお悩みありませんか?
つなぐマッチングプラットフォームです。
累計5,000件以上の売買を成立させています。
またM&Aを進めるためのノウハウ共有や
マッチングのための様々なサポートを
行わせていただいておりますので、
まずはお気軽にご相談ください。
編集部ピックアップ
- ROA(総資産利益率)とは?目安や基準、ROEとの違いも解説
- 会社売却とは?M&Aのポイントや成功事例、IPOとの違いも解説
- 【完全攻略】事業承継とは?
- インサイダー取引とは?どこまで該当するかわかりやすく解説
- 債務超過とはどういう意味?赤字や倒産との違いや解消法・貸借対照表の見方も解説
- EPSから企業の収益力や成長性を判断!その他の代表的指標も紹介
- PBRとPERの違い説明できますか?株価の割安性を見る2つの指標
- EBITDAとは?意味や特徴、会社の何を知れるかを解説
- 「MOU」とは法的拘束力を持たない契約?丨オンラインのM&AでMOUを交わす意味も解説
- カフェって実際のところ儲かるの?カフェ経営の魅力と開業方法
- ROEとは?目安や計算式、分解式を理解し、M&Aに活用しよう
その他のオススメ記事
-
2024年04月19日
【M&A完全ガイド】M&Aの流れやメリット、注意点などを徹底解説!
M&Aとは M&A(エムアンドエー)とは「Mergers and Acquisitions」の略であり、日本語で「Mergers = 合併」と「Acquisitions = 買収」を指...
-
2024年03月20日
スクイーズアウトとは?重要性やメリット、手続きの流れを専門家が詳しく解説
今回は、「スクイーズアウトとは?」について、解説します。 スクイーズアウトとは、少数株主より株式を強制的に取得する方法のことです。 ...
-
2024年02月28日
表明保証保険とは?加入の必要性や保険内容、メリット・デメリットを専門家が詳しく解説
今回は、「表明保証保険とは?」について、解説します。 表明保証保険とは、M&Aの最終契約書に記載される表明保証条項に違反があった場合、...