インカムゲインとは？キャピタルゲインとの比較やそれぞれの特徴について解説

インカムゲインとは資産を保有することで得られる収益のことを指します。近年は資産運用がトレンドで、多くの方が投資を検討していたり、すでに投資をしていたりするのではないでしょうか。

今回はインカムゲインについて詳しく知りたい方に向けて、基本的な意味、キャピタルゲインとの違いについて解説します。すでに投資を始めている方や、これから投資を始める方にとっても知っておきたい投資で利益を得る仕組みを解説するので、この記事を参考にしてみてください。

インカムゲインとは?

インカムゲインとは資産を保有していることで得られる収益のことで、配当金や利子は該当する株式や債券から定期的に発生します。金融資産以外では、不動産を保有することによって得られる「家賃収入」もインカムゲインに該当します。

インカムゲインは株や債券を売買する際と違い、損失が出ないことが大きな特徴です。先述の通りインカムゲインは資産の保有のみで得られる収益ですので、不労所得として扱われるケースも多いでしょう。

投資においては、短期的な利益を狙うか長期的に安定した収益を目指すかで投資手法が大きく変わります。

キャピタルゲインとはなにか

ここでは、キャピタルゲインについて基本から解説します。インカムゲインと対になる収益なため、特徴や違いを理解することで自分にとって最適な投資形態を知りましょう。

キャピタルゲインとは

キャピタルゲインとは株式や債券といった金融資産、不動産の価格変動によって生じる売買差益のことです。

例えば、ある会社の株式を購入して値上がりした際に売却すれば、差額分がキャピタルゲインとなります。一方で、値下がり時に売却した場合は、キャピタルロスという形で損失が発生します。

インカムゲインとの違い　

ここでは、インカムゲインとの違いについて解説します。

資産の保有期間

キャピタルゲインを狙った投資では、保有する資産の値上がりしたタイミングで売却することが重要です。そのため、インカムゲインを目的とする投資に比べて資産の保有期間が短い傾向にあります。

インカムゲインの場合、株式の配当金や債券の利子などは短いものでも月単位、長いものだと年単位で支払われるため自ずと資産の保有期間は長くなるでしょう。

ロスの有無

キャピタルゲインは資産を売却するタイミングによっては損失が発生します。そのため、資産を保有しているだけで自動的に収益が発生するインカムゲインに比べてリスクは高いといえるでしょう。

ただし、インカムゲイン主体の投資であっても資産の値動きには常に関心を払っておく必要があります。

リスク

先述の通り、キャピタルゲインを目的とした投資には損失が発生するという点でリスクがあります。しかし、損失にとどまらず株式投資における信用取引、FX取引においては借金を背負ってしまうリスクもあります。

投資の種類ごとのインカムゲイン・キャピタルゲイン

ここでは、投資の種類ごとにどのような形で収益が発生するのか解説します。それぞれの商品ごとの特徴を理解して、投資先を慎重に選ぶようにしましょう。

株式投資　

最もイメージしやすいのが株式投資ではないでしょうか。

株式市場では毎日活発に取り引きが行われており、常に株価が変動しています。ある株式が値下がりしたタイミングで購入し、値上がりした時に売却すればキャピタルゲインという形で売却益を得ることができます。

また、株式には配当金が支払われる銘柄もありますため、定期的なインカムゲインとしても期待できます。

投資信託

投資信託は資産運用の専門家に株式や債券の運用を任せることができる金融商品です。

個人で株式を購入する場合と違い手数料が発生したり、複数の銘柄に投資できたりするなどの点で株式投資と違いがあります。一方で、運用中の売買によるキャピタルゲインが期待できることと分配金などの形でインカムゲインが発生することは株式投資と似ています。

普通預金・定期預金

普通預金、定期預金は元本保証でありながらも少額の利子が発生する点でインカムゲインの1種と考えることができます。しかし、元本が保証される分、預金額の変化がないためキャピタルゲインは発生しません。

また、利子についても株式や債券から得られるインカムゲインに比べればはるかに少額であるため、ある程度のリターンを期待する場合は預金のみでは不十分です。

不動産投資

不動産投資では、マンションや土地を貸し出すことによって得られる賃料と売却益によって、インカムゲインとキャピタルゲインの両方が期待できます。

不動産は実物資産であるため、株式やFXほど大きな価格変動がなく、適切な投資物件を選べば安定した収益が見込めることが特徴です。一方で、物件価格は数千万に及ぶためローンを組む必要があることや流動性が低く現金に変えることが難しいという特徴もあるため、自己資金と借入金のバランスを考えて取り組む必要があります。

FX取引

FX取引はForeign Exchangeの略であり、外国通貨の為替取引を意味します。FX取引では通貨を安いレートで購入し、レートが高くなった際に売却することで得られる為替差益をキャピタルゲインとして狙います。

FX取引では自己資金の最大25倍のレバレッジをかけることができ、リスクと引き換えに大きなリターンが狙えることが特徴です。

仮想通貨

仮想通貨も株式と比べ値動きが激しいため、キャピタルゲインが主な収益になるでしょう。また、株式や債券のように配当金や利子は存在しませんが、ビットコインやイーサリアムといった主要通貨ではステーキングという報酬が発生します。ステーキングは対象の仮想通貨を保有しているだけで定期的に発生する報酬であり、インカムゲインに該当します。

インカムゲイン・キャピタルゲインのメリット・デメリット

ここではインカムゲインとキャピタルゲインのメリットとデメリットについて解説します。これまで見てきた通り、インカムゲインとキャピタルゲインの内容は大きく異なるため、それぞれのメリット・デメリットを整理してみましょう。

インカムゲインのメリット・デメリット

ここでは、インカムゲインのメリットとデメリットについて解説します。

インカムゲインのメリット

インカムゲインの最大の利点は、損失のリスクを負うことなく定期的な収益が期待できることです。

例えば、株式の配当金、債券の利子、不動産の賃料収入は資産を保有してさえいれば、特別なことをしなくても確定的な収益として発生します。一方で、不動産投資の場合は入居者がいなければ家賃が発生せず、利益を得ることができないので注意が必要です。

インカムゲインのデメリット

インカムゲインの注意点は短期的に大きな利益が見込めないことです。

例えば、株式の配当金は配当利回りが高いものでも株価の4%程度のため、短い期間で大きな収益を見込むことは難しいでしょう。また、保有している銘柄が大きく値下がりした場合は含み損を抱える可能性もあります。

キャピタルゲインのメリット・デメリット

ここでは、キャピタルゲインのメリットとデメリットについて解説します。

キャピタルゲインのメリット

キャピタルゲインの利点は短期的に大きな収益が期待できることです。どのような投資であっても購入価格より大きく上回る価格で売却できれば利益を得ることができます。

配当金や利子といったインカムゲインが月や年単位で発生するのに対して、キャピタルゲインは値上がりのタイミングで発生するため、インカムゲインに比べて早く利益が得られる傾向にあります。

キャピタルゲインのデメリット

キャピタルゲインを目的とした投資の注意点は、いつ資産を売却するかによって損失が発生するリスクがあることです。また、どの投資であっても最適な売却時期を見極めることは容易ではありません。

株式投資であれば各社の業績やIRなどの資料、世界の経済指標などを分析する必要がありますし、不動産投資であれば物件の目利き力、人脈などが問われます。インカムゲインを目的とした投資と比べて、さまざまな手間やテクニックが求められることもデメリットだといえるでしょう。

インカムゲインが向いている人・気を付けるべきこと

ここではインカゲインを目的とする投資が向いている方の特徴と気を付けるべき点について解説します。

インカムゲインは手堅く運用したい人向け

インカムゲインは資産を保有しているだけで半ば自動的に得られる収益であり、余裕資金と時間があれば特別なノウハウがなくとも手に入れることができます。また、市場動向を常に分析して売買のタイミングを見極める必要もありません。

そのため、副業として投資を行いたい方、時間をかけてでも確実に収益を上げたい方に向いています。

インカムゲインの注意点

インカムゲインを狙った投資は比較的手堅く取り組めることが特徴ですが、注意点もあります。保有している資産の価値が大幅に下落してしまった場合は、本来得られるはずであった利益に影響が出るケースもあるためです。

例えば、配当利回りが高い株式銘柄であっても、株価下落が長く続くと減配されてしまうこともあります。また、資産価値が低い状況が続くといつまでも資産を売却できないまま塩漬けになってしまうこともあるでしょう。

長期的に少しずつ利益を得ることを目指した投資であっても、定期的に価値の動向はチェックして将来的な資産価値について常に注意を払うことが重要です。

まとめ

インカムゲインとキャピタルゲインは投資を行う上で知っておくべき重要な概念です。投資を始めるにあたってはそれぞれの特徴を正しく理解して、ご自身の目的に合った形で投資先を選択するとよいでしょう。