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創業から30年の広告代理店が、事業環境の変化にどのように対応したのか?

2022年10月19日

2022年8月、西日本に本社を置き、ロゴ制作、会社案内やパンフレット・チラシ等のデザインそして各種印刷、ホームページデザイン、WEB広告運用、写真撮影や動画制作など幅広い事業を手がける会社の東京支社をM&Aで譲渡された山田様(仮名)。「夢のようなパートナーと出会えました!」と語る山田様から、東京支社を立ち上げられた経緯や、譲渡に至るまでのお話を伺いました。

 


 

譲渡企業
スキーム 事業譲渡
業種 WEB広告・制作、デザイン事業など
拠点 東京都
譲渡理由 選択と集中

 

 

譲受企業
区分 法人
業種 映像企画・制作
拠点 東京都
譲受理由 新規事業への参入

 


憧れのクリエイティブな仕事と東京進出の夢

デザインなどのクリエイティブな仕事をするのが夢だった山田様は、2000年に第二新卒として、今の広告代理店に中途入社。新しい職場では、これまで経験のなかった顧客への販促物の作成や、学生向けフリーペーパーなどの仕事を任せてもらえたため、とても充実した日々だったそうです。

そんな山田様が東京事務所を立ち上げられたのは、2001年のこと。当時12~13名の規模だった事業を拡大させるために、東京での顧客開拓業務に抜擢されます。西日本を離れてたった一人で上京し、事務所兼自宅で寝泊まりをするという環境の中、業務に邁進されたそうです。

その後、3年間は東京事務所で営業活動を行い、西日本に戻られて遠隔で東京のお客様とやり取りを重ねていたのですが、やはり東京に事務所を置いてやっていきたい、という気持ちは捨てきれませんでした。

社長への抜擢と東京進出の再チャンス

Photo by Jaison Lin

山田様は、営業としての実績とチーム運営のバランス感覚を創業オーナーから高く評価され、2013年、30代前半という若さで取締役社長として実務的な責任者を任されることになります。社長就任当初は年上の部下との人間関係の問題や、資金繰りをどうしていくべきかなどの不安もあり、大変ご苦労も多かったそうですが、創業オーナーは山田様の社長就任後も会長として1~2年温かく見守って下さり、現在も相談役として支えてくださっているそうです。

そんな創業オーナーから山田様が学んだことは「任すと決めたら任す」ということ。山田様ご自身も創業オーナーにどんどん任せてもらう経験をしたので、従業員に挑戦させたり、自由に決断させたりすることの大切さを身をもって感じられたそうです。

東京事務所への夢を持ちつつ責任者として業容拡大を推進する山田様に、ある日従業員の1人から相談がありました。

「東京で勝負させてください!」

東京での営業経験もあり、1人で開拓をしに行く気概を持った従業員に20代の時の自らと重なるものを感じた山田様は大変胸が熱くなり、2016年、東京事務所の立ち上げを決意します。小さなシェアオフィスを借りて一畳にデスク1つという状態で始まりましたが、営業から採用までその従業員を支社長にして任せていくことで、最終的にはデザイナーやディレクターを含めた4名体制まで成長し、順調に拡大していきました。

軌道に乗ってきた事業と裏腹に突如訪れたコロナ禍と苦渋の決断

夢だった東京事務所も軌道に乗り、会社全体の業績も好調。しかし、そんな会社を無情にもコロナ禍が襲いました。

元々、人を採用することにより先行投資としてのコストが増えながらも、翌年には売上が増えて、回収するという状況だったため、コロナ禍で売上が減少してしまうと人員計画と業績のバランスにこれまでとは違う狂いが生じます。

イベント需要の落ち込みがありながらも、最初の1年間はWeb広告へのシフトをはじめとする諸々の工夫によって売上減少の影響を最小限に抑え、なんとか乗り切ることができました。しかし、コロナの影響が長期化するにつれて、2021年以降は抜本的な対策がなければ、東京オフィスの存続は厳しいという状態になってしまいました。

昔の山田様のように、単身での東京進出であれば、東京事務所を撤退することは容易でした。しかし、東京で採用した3名のスタッフについては、生活の基盤が関東にあるため、西日本への配置転換は現実的でありません。

山田様にとっても、思い入れのある東京事務所。何度も検討を重ね、様々な試行錯誤を重ねましたが、やはり自社単独で業績を改善させることは困難であるとの結論に至りました。一緒に働いた仲間や守り続けてきた拠点と離れてしまうことは苦渋の決断でしたが、2022年になっても、コロナが落ち着く兆しはありませんでした。とはいえ、何とか東京の従業員の雇用を守り、事務所も残せないものかと考えた山田様。どこかの資本や業績を大幅に上げられる人材が入ってくる方法はないかと調べたところ、M&Aという手段に行き着きます。

国や自治体においても、事業者向けに様々な支援制度や相談窓口を設けていることを知った山田様は、各都道府県ごとに設置されている事業承継・引継ぎ支援センターの東京支部に足を運び、東京オフィスを事業譲渡するお相手を探すことにしました。

「M&A」によって出会えた夢のようなパートナーと実現できたコト

Photo by iStock-1310443750

福岡県事業承継・引継ぎ支援センターの支援を受けながら、M&Aプラットフォームに登録をしてお相手を探す日々が始まりました。複数のM&Aプラットフォームに登録されたそうですが、その中でも「バトンズでは複数のオファーが来て、譲渡先の選択肢の多さに驚いた」と山田さんは仰います。

多くのオファーの中で、一際山田様の興味を惹いた企業。それはエンターテイメント領域の映像を手がける一社でした。これが後に、運命的な出会いとなります。

山田様の会社は元々、ビジネス領域の映像制作に強みを持っておられましたが、お相手はエンターテイメント領域が専門。お相手としては、山田様の会社の東京事務所が持つ、ビジネス領域の映像制作の知見にかなり関心を持たれていました。

「両社が力を合わせることで、エンタメとビジネスのニーズに横断的に対応できるのではないか」その提案は、山田様の「東京事務所の存続」という期待を超えた「東京事務所の急拡大」も狙える新しいものでした。ビジネスチャンスの拡大や売上の増大はもちろん、両社のスタッフも、共に新しい挑戦が出来るのではないか。夢のようなパートナーと巡り会えた瞬間でした。「こちらの立場を理解してくれながら、前向きな想いを伝えてくれる方と巡り会えました」と山田様。

通常、M&Aでは同業者とのマッチングも多く、譲受側の関心は自ずと「いくら売上があるのか?」に集中しがちです。譲受側は、貴重な資金を投じる上で、どのぐらいの期間で回収できるかを気にするためです。

しかし今回、山田様が選ばれたお相手は少し異なっていました。「異業種なので、エンタメとは違ったデザインやクリエイティブの機能を持ちたい」というお申し出から、従業員も新しい業種のデザインやクリエイティブにチャレンジしていけるということがとても嬉しかったそうです。

最終的なお譲り先を決定する決め手となったのは、社長の人柄。良い意味でフレキシブルで、ガチガチに要件を固めて交渉をしていくというよりかは、山田様の会社の事情を汲み、希望を優先してくれる姿勢があったことが大きかったといいます。従業員の給与や条件を守りたいという山田様のお考えにも賛同してくださって、引き継ぐ従業員を不安にさせず、活躍してもらうために、どのように処遇していくべきか一緒に考えてくださったそうです。

勤務先がM&Aで譲渡される場合、従業員が少なからず動揺するものですが、1人で東京事務所を立ち上げた支店長をはじめとした東京オフィスのメンバーも、今回のM&Aという名の挑戦を喜ばれていたそうです。山田様と引き継ぎ企業の間で交わされた、“従業員を守っていく”という約束が東京事務所の皆様を安心させ、未来の明るさを信じる力になったのかもしれませんね。

M&Aは事業の譲渡であると同時に、「人」の要素が大きく関わります。「このようなお相手と巡り会えて、嬉しかった」と山田さんは仰います。

現在では、エンタメ映像とビジネス分野の映像制作という、両社の強みを融合させながら、新たなチャレンジが始まっています。新規企画に向けた具体的な話も広がっており、ビジネスパートナーとしてのお付き合いも深まっているそうです。M&Aによって事業を譲渡することは、オーナーにとっては寂しい部分もありますが、その事業がなくなってしまうというわけではありません。新しい資本や人材を迎えることで、事業を存続・発展させることができ、従業員の雇用や取引先を守ための、そしてビジネスパートナーを増やしていくための経営手法だと言えるでしょう。

 

山田様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援しております!

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