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アメリカ発のソックスブランド。ウルトラマラソン愛好家の経営者が描く未来

2022年10月03日

ランニングや登山を中心に、多様なスポーツで活躍する「ライトソック」は、アメリカ発のソックスブランドであり、コアなリピーターの多い知る人ぞ知る人気の商品です。そんな本ブランドの日本独占販売権を取得していた株式会社mesuttaから、M&Aによって販売権を引き継いだのは「株式会社カスク・ストレングス」の代表を務める堀尾佑記様です。広告やウェブ制作を中心として事業を展開されている堀尾様が、なぜアパレル業界での事業買収を決断されたのか。その背景や、引き継ぎが完了した今の心境を詳しくお伺いしてまいりました。

 


 

譲渡企業
社名 株式会社mesutta
業種 アパレル事業
拠点 東京都
譲渡理由 選択と集中

 

 

譲受企業
社名 株式会社カスク・ストレングス
業種 web広告・制作
拠点 東京都
譲受理由 既存商品・サービスの強化

 


29歳での独立起業。紆余曲折乗り越え、人生初のM&Aに挑戦

新卒でファッション企業にご入社された後、当時笹塚にあったベンチャー企業や外資系広告代理店を経て、老舗広告制作会社で制作した広告により、多くの顧客から引き合いがあるご活躍をされていました。そんな中、29歳の時に大口顧客とのご縁に巡り合われたことをきっかけに、若くして独立企業を果たされます。

知人のオフィスを間借りするところからスタートされた会社経営は、さまざまな苦労経験も経ながらも今年で14期目を迎え、主要事業は現在安定した業績をあげているそうです。

そんな堀尾様がM&Aに興味を持たれたのは、ご友人が事業承継の斡旋事業をやっていたことがきっかけでした。ここ2〜3年は、週に一度のペースでバトンズ上の案件を閲覧し、事業探しをされていたとのこと。

金額と規模感で絞り込みをかけながら、当初探していたのはパティスリー* の案件。理由は、パリにあるピエール・エルメ本店で修行をしたのち、日本に戻ってきたパティシエのご友人と一緒に何かをしたいと考えていたからだそうです。

ところが、なかなかご自身の希望に合致する案件に巡り合えないまま、時間だけが過ぎていく中で、ご友人は再びフランスに戻ってしまい話は頓挫してしまったのだとか。

「もともと、自分で店を出すということに乗り気ではなかった感じだったので、これでよかったんだと思います。今は、フランスでフランス語を学び直しながら、パティシエをやっていてとても幸せそうですから」と笑う堀尾様は、これを機に全く異なる業界の案件にも目を通すようになり、そこで運命的な出会いを果たされるのでした。

*フランス語で菓子店。ケーキや洋菓子を専門に扱うベーカリーの一種

「どうせやるなら自分の好きなものを」商品価値がわかるからこそできたスピード決断 

堀尾様が出会った運命的な案件、それはアメリカ発のスポーツやレジャー用靴下「ライトソック」の日本独占販売権でした。ライトソックは、ダブルレイヤー構造によって足蒸れや靴擦れを防止する機能を持ち、それによって特許も取得されている高機能商品。

「事業継承や企業買収などを検討する際、新規事業への挑戦既存事業へのシナジー創出を目的においている方が多いと思うのですが、私の場合は前者でした。そして、どうせやるなら、自分の好きなものを扱いたい、そう思っていました。

そんな折、案件の中にライトソックを見つけました。実は、私は飛騨高山のウルトラマラソン(100km)を5年連続完走、これまで他のレースとあわせて7回完走をしてきた中で、ちょうど長時間のランニングをサポートしてくれる高機能靴下があればと思っていたんです。

この商品の詳細を見たとき、私が純粋に欲しいと思いましたし、自分のような人間はある一定数存在するだろうと感じたんです」と、当時のことを思い出されながら微笑む堀尾様。

また、今回の継承元となった株式会社mesuttaの代表を務める栗原様の印象をお伺いすると「すごく判断の早い方で、会ったその日に“この販売権を渡した後も、一緒に何かやっていけそうですよね”と言ってくださったのが印象的でした。まだ各論について何も話していなかったので、既に栗原さんが私に譲ってくれる気満々だったことに驚いたんですが、メールのやり取りの時点で私に興味を持ってくださったみたいでした。

また、栗原さんはアパレルをする前はweb系ディレクターだったそうで、自分もかつてアパレルにいた経験もあって今の仕事ということで、似たような空気感だなぁと感じましたし、シンパシーも感じました。

そんなわけで、ウマがあったというか意気投合しまして、他にも候補者はいたみたいなのですが、その後はメールのやりとりのみでスムーズに物事が進んでいき、約2ヶ月ほどで成約が決まりました。お陰様で、困ったりすることはありませんでした」とのこと。

「もちろん、今回の案件が企業買収ではなく事業継承だったというのも、このスピード成約を実現できた理由のひとつだと思います。パティスリーを探していた時は、企業買収のパターンだったので、背負うリスクの大きさが全然違いました。

例えば、ある案件は家族経営のパン屋件パティスリーだったのですが、従業員として抱えているおじいさん、叔父さん、叔母さんを引き取ってほしいというのが条件で、さらには5000万の負債を抱えているので、それも面倒見てほしいとものでした。これは流石に今の自分には難しいと思いました」とも。

こうして、取り扱う商品そのものの価値に心から共感・納得できる事業と、気の合うビジネスパートナーを同時に手に入れた堀尾様は、約3年に渡って続けてきたM&A案件探しを満足のいく形で終えることができたのでした。

取引先とコミュニケーションをとる中で改めて感じた、商品の魅力と明るい未来 

そんな堀尾様に、実際に事業継承が本格スタートしてからの感想や今後の展望をお伺いすると「まずは、栗原さんが当たり前にやっていたレベルまで、早く到達したいと思っています。Amazonのアカウントに在庫を入れるとか、ECサイトを作るとか、早急にやらなければならないことはたくさんあります。

それが落ち着いたら、ターゲットや販路を広げていきたいですね。これまでは、主にスポーツ系を中心にアプローチしており、競技用自転車やトレイルランなど楽しむ人たちがロイヤル顧客だったみたいなのですが、今後はフェスやアウトドア、ハイキングといったカルチャー系にも焦点をあてて売り込んでいきたいと考えています。

また、実は既存の卸し先からの引き合いがすごく強いということも、嬉しい驚きでした。みなさん、この商品を強烈に推してくださって、“一番売れる”と太鼓判を押してくださいます。中には、きちんと足病医学を勉強されている販売員さんもいて、そんな方々がライトソックに高い信頼を寄せてくださるのを見ると、改めて商品力の強さというか、特許を取るだけのことはあるなと感じています。

本格的に始動して、今は家に在庫が山積みになっており、発注が入るたびに梱包して発送する毎日なのですが、久しぶりのザ・スタートアップ事業という感覚を持って、とても楽しいです」とのこと。

さらに、事業が軌道に乗った暁には本業である広告やウェブ制作の案件を継承するなど、新しいチャレンジもしていきたいと語る堀尾様は、ビジネスの可能性を見出す能力に長け、ポジティブに未来を見通す素晴らしい実業家でいらっしゃいました。

 

堀尾様と株式会社カスク・ストレングスの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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