小さな飲食店から事業をスタートし、その後はリラクゼーション領域において沖縄県で複数店舗を成功させてきた敏腕経営者の山内様(仮称)。今回譲渡されたのは、通算4店舗目に立ち上げた、沖縄にあるリラクゼーションサロンになります。
コロナ禍に翻弄されながらも果敢に挑戦し続け、お客様や従業員のために一度も店を閉めることなく2年間経営を続けてきたという山内様が、このタイミングで譲渡を決断された理由は何だったのか。そこに至る経緯や想いを詳しくお伺いしてまいりました。
譲渡事業 | |
---|---|
店舗名 | 匿名 |
業種 | 脱毛・エステサロン |
拠点 | 沖縄県 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
---|---|
社名 | 匿名 |
業種 | 医療 |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
都市部から郊外へ!積極的に業界と商圏を変えてきた、挑戦の日々
山内様が初めて経営者としての一歩を踏み出されたのは、那覇市にある小さなBARでした。ご本人曰く、「昼間から酔っ払いがいて、頻繁に警察が出入りするようなディープな場所」だったそうなのですが、その商才が程なく開花して、順調に業績を伸ばしていきました。
そんな中、知人からマッサージサロンの開業話を持ちかけられた山内様。当時は那覇市にオイルマッサージを施すサロンがなかったことから勝算を見出し、BARを知人に譲ってリラクゼーション業界に足を踏み入れたのが、今から10年ほど前のこと。
そして、地元民ではなく観光客をメインターゲットにした戦略が的中し、2年後には同市に2店舗目をオープンするまでに成長されたのだそうです。
「沖縄の中で、那覇市は一番マーケットが大きいですし、激戦区でもあります。そのため、一度はそこで勝負してみたくて2店舗目まで出したのですが、そのうちに他の商圏でも挑戦したくなりまして。そこで、那覇で始めた2店舗を知り合いに譲り、その際に得た資金で中南部に同じようなリラクゼーションサロンを出しました。
那覇市での勝ちパターンは場所を変えても通用し、売上も順調に伸びていったので、新たに注目されはじめた南部方面でも勝負をしてみようと進出に踏み切りました。そして、新天地で “さぁ、今から” という時に、コロナ禍がやってきたんです」と話す山内様。
そこから、2年間におよぶコロナ禍での戦いが始まったのでした。
コロナ禍に翻弄されながらも耐え続けた2年間に「もう限界」
世界規模で感染者が増えるコロナ禍を受けて、沖縄でも例を漏れずに新規感染者数が増加。その影響で、マッサージの予約件数は毎月ジリジリと減少していったものの、驚くことに脱毛の予約は毎月少しずつ増えていったとのことで、2020年度の着地としては及第点に終わったのだそう。
まだ成長見込みのありそうな事業を、なぜ譲渡に踏み切る決断をされたのかについて、山内様は「コロナ禍でも脱毛需要があることに活路を見出したことから、2021年4月に脱毛の機材を増やしてこの状況を乗り越えようとしたのですが、翌月5月に緊急事態宣言が発令され、それが半年間続きました。その間に予約数は落ち、たとえ予約が入っても新規感染者数が増えるとキャンセルも増えるという感じで、業績は非常に不安定でした。結果的に、2021年度は2店舗とも赤字で決算を終えることになりました。
この状態がいつまで続くか分からない中で、“もう限界かもしれない”と思っていたところ、今の経営状況や疲弊している私を見て、会計士の方がバトンズを紹介してくれたんです」とのこと。
「居抜き物件はたくさん見てきたのですが、M&Aというのはテレビで名前を聞いたことがあるくらいで、小さな事業でも譲渡できるということや、ネットを介して買い手候補を募れるということは知りませんでした。でも、バトンズの担当者の方が “掲載自体は無料なので、一度試してみて本当に売るか売らないかは候補者を見て判断すればいい” と背中を押してくれたので、一歩を踏み出すことができたんです」とも。
こうして、「とりあえず」という形で始まった山内様のM&Aは、実際にバトンズへ掲載をし、ご自身もM&Aについての知識を得ていくうちに、だんだんと本気度が増していったのだそうです。
検討開始から7ヶ月、想いもスタッフも全て引き継いでくれる理想の相手との出会い
「とはいえ、実際に買おうと言ってくれる人が現れるのかという不安はありました」と笑う山内様ですが、検討を開始してから7ヶ月目にして、「本当に自分は恵まれていた」とおっしゃるほどの理想のお相手に巡り合えたとおっしゃっており、そのお相手が、医療法人の理事長を務める池田様(仮称)でした。池田様は30年近く医療に携わっており、今後は興味・関心がある医療とエステを組み合わせたメディカルエステやスパ事業、マリンレジャーで事業展開を構想している中で、山内様の事業に興味を持たれたのだそう。
確かに、沖縄の美容サロンとは相性の良さそうな候補者様ではあったものの、なぜ最終的に池田様を選ばれたのか、その理由をお伺いすると「私は、お客様のためはもちろんですが、従業員の生活を守るために、コロナ禍でも一度も店を閉めずにやっていました。彼らも時短で頑張ってくれたので、そのことには心から感謝しています。なので、このままサロンを営業してくれて、スタッフも全員引き継いでくれる人でないと譲ることはできないと考えていました。その点、池田さんは私の希望を全て受け入れてくれたんです。
あとは、池田さんのお人柄も良かったのが大きかったです。綺麗事かもしれませんが、たとえ売却希望額の10倍を提示されても、話した感じが嫌な人には譲りたくないと思いました。そんな人だと、後に残るスタッフも気の毒ですから」とのこと。
「私は買ってもらう側なので、何かを強要することができないのはわかっています。ですが、池田さんはとても人間的で温かく、私の想いを汲んでくれました。お店の名前も変えてもらってもよかったのですが、それも含めて引き継いでいくと言ってくださって。本当に話が早かったです。
彼は県外の方ということもあり、土地勘がない中で当初は慎重な感じだったのですが、2回目にお会いした時には、既に譲渡に向けた具体的な話を進めていました。この事業を “売って終わり”ではなく、池田さんとは今後も良い関係性を続けていきたいと思っていますし、私は本当に恵まれていると思います」とも。
実は、池田様とお会いし始めた頃からサロンの業績が戻り始め、やはり売却はせずに自分で頑張ろうかと迷ったこともあったのだそうですが、池田様との御縁を大切にしたいという想いもあって、成約まで進めることにされたとのこと。
本件で得た資金を元手に、今後は残ったサロンを立て直していきたいと語る山内様は「今はコロナ禍で疲弊している経営者の方も多いと思いますが、積極的にM&Aを展開して攻めていきたいと考えている経営者の方もいらっしゃいます。真剣に前向きに対応すれば必ず反応が返ってきますから、私のように事業譲渡を検討しているものの不安を抱えている方々には、ぜひ頑張ってほしいと思います」とエールで締めくくってくださいました。
山内様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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