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人材派遣業界の今後の動向とは?コロナ過において取り組むべきこと

2022年03月05日

人材派遣業界は業界として規模が大きく、企業が従業員を雇用する際は利用しているケースが多いのではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたものの、企業の採用や労働者の相談先として重要な役割を担っており、今後も労働市場において欠かせない存在であり続けると考えられます。

では、人材派遣業界の現状や今後の動向はどのようになっているのでしょうか。コロナ禍の影響も含め、詳しく見ていきましょう。

 

 

 

人材派遣業界の現状【2022年】

まず、人材派遣業界の現状について説明していきます。コロナ前後で大きく変わっている状況を理解しましょう。

 

コロナ前までは市場規模は増加していた

2020年の初頭頃から世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で、ほとんどの業界が何らかの影響を受けました。人材派遣業界も例外ではなく、緊急事態宣言の発令や会食の自粛、イベントの中止など、社会生活が変わったことが引き金となり、状況に変化が見られています。

2008年のリーマンショックの影響で世界的な不況が広がり、企業による派遣切りなどが行われたことから業界全体で売上高は減少しましたが、その後は徐々に回復傾向にありました。特に近年は多くの業界において人手不足の状況などが続き派遣人材のニーズも高まっていたため、新型コロナウイルス感染症が拡大するまでは、人材派遣業界は好調に推移していました。労働者の中における派遣社員の割合は、2.5%程度の水準と過去10年以上大きく変わらない水準を維持しており、新型コロナが拡大する前の2019年までの数年間は、業界規模は堅調に拡大していたと言えるでしょう。

人材派遣業界は景気の影響を受けやすく、経済が好調なときは市場規模が拡大し不調なときは縮小する傾向が見られます。売上高を見ると、最大規模を記録していたリーマンショック前の水準へはなかなか届かないものの、近年は景気の拡大が観測されており、人材派遣業界には追い風となっていました。

昨年度のリクルートHDは売上高前年比で3.9%減、パーソルHDは同2.0%減、アウトソーシングは1.5%増、パソナグループは3.0%増、テクノプロ・HDは1.8%の増加と全体的に横ばいの変化となっています。

(参考:https://gyokai-search.com/3-haken.htm

 

人材派遣会社におけるコロナウイルスの影響

堅調な成長を遂げていた人材派遣業界ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により様々な影響を受けました。どのような変化があったのかを詳しく見てみましょう。

 

有効求人倍率が低下

新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で経済活動が大幅に減速し、消費者の需要も下げ止まりとなってしまいました。その結果、新たな人手を必要とする企業が少なくなり、日本のみならず世界的に見ても雇用ニーズが減ったといえます。

前述の通り、人材派遣業界は有効求人倍率に大きな影響を受けます。新型コロナウイルスが日本で拡大する前の2020年1月には、新卒者を除く有効求人倍率が1.5倍をやや超える程度の水準でした。しかし、1回目の緊急事態宣言が発令された3月には1.4倍に低下し、その後長引く自粛の中で、同年7月には1.1倍を切るほどにまで低下しました。

2021年の半ば頃からはようやくやや持ち直してはいるものの、コロナ前と比べると有効求人倍率はまだ低い状態が続いています。この状況は、企業に労働力を提供する存在である人材派遣企業にとっては逆風といえるでしょう。

 

宿泊業、飲食サービス業の採用ニーズが激減

新型コロナウイルス感染症の拡大によりネガティブな影響は数多くありましたが、目に見えて大きな影響を受けた業界の1つが飲食サービス業です。1回目の緊急事態宣言下では幅広い業種に対して営業の自粛や時間の短縮などが要請されましたが、特に飲食サービス業はその後に繰り返された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による影響も強く受けました。夜の時間帯の営業を制限されたり、酒類の提供の停止に協力したりする状況が長引き、従来通りの営業活動ができないために、すでに抱えている従業員ですらシフトに入れない状況が続いたため、新たな採用ニーズは減少傾向にありました。

また、海外からの旅行者の受け入れが実質停止されているうえ、国内でも県境をまたぐ移動の自粛が求められる期間が長くあったため、観光業も大きな影響を受けています。新型コロナウイルスの感染拡大により安定的な需要の回復が見込めず、施設の維持や管理ができなくなってしまったことで休業や廃業に追い込まれた宿泊業者等も数多く存在します。

コロナ前では、休暇シーズンなどの繁忙期に有期雇用での派遣ニーズがあったり、大型イベント等のスタッフ需要があったりと、人材派遣が活躍する面は多々ありました。

しかし、このような状況下では人材派遣に対するニーズは減少し、人材派遣業界には大きな痛手となりました。

 

医療や物流業の採用ニーズが増加

新型コロナウイルス感染症の拡大により多くの業界で人手が余剰となり、人材の採用ニーズがなくなる中、感染者の急激な増加によりサービスの提供が追いつかなくなった医療機関や自治体など人手不足が生じる業界もあります。

医療機関では、感染症対策を徹底したうえで医療サービスを提供するために、通常以上の業務量が求められる上、濃厚接触者に認定されたスタッフが業務に従事できなくなる事態が発生し、残りのスタッフが長時間労働を強いられるケースが多く見られました。また、感染者の追跡や情報管理、ワクチン関連の業務など、新型コロナの拡大で行政にも大きな負担がかかっています。

さらに、運送業界における人材不足も社会的な問題となりました。できるだけ外出せずに済むように買い物をオンラインで済ませたり、外に出られない代わりにオンラインショッピングを楽しむ習慣が定着したりと、Eコマースの分野での消費が盛んになったからです。結果として運送業界における負担が増し、トラックドライバーなどのニーズが高まりました。

経済活動が停滞することで、余剰人員が発生したサービス業などの業種もある一方で、医療関係や保健所、運送関係など、社会インフラを支える業界の中には採用ニーズが増えた仕事も数多く見受けられました。

 

 

人材派遣業界の今後

新型コロナウイルス感染症の拡大による社会の変化や、より長期的な展望も踏まえた上で、人材派遣業界が今後進んでいく方向性を考えてみましょう。

 

人手余り業界から人手不足業界への労働力移動

コロナ禍の人材派遣業界を見てもわかるとおり、同じ時期であっても人手が不足している企業、余剰人員のいる企業もあり状況は多様です。そのため、人材派遣業界では人員が過剰になっている分野から人手不足の分野へとできるだけスムーズに労働力を移動させることがポイントとなります。しかし、ある人材を今までとは異なる業界に派遣するのはそう簡単ではありません。

労働力の移動を少しでもスムーズにするために重要なのが、職業訓練やスタッフの教育制度です。人手を必要としている業界で働くために前提となるスキルや専門知識について、事前に体系的に身につけることのできるカリキュラムを用意するなど、より質の高い人材の育成を行うことが求められます。

新型コロナの拡大が落ち着いても、世の中の状況やビジネスモデルの変化により、どの業界により人員が必要かというのは刻々と変化するため、今後も労働力の移動が求められる機会は数多く発生すると考えられます。そのため、派遣人材に対する教育は今後もポイントとなるでしょう。

 

事業拡大化、多角化が必要

今後も人材派遣会社が事業を継続していくためには、事業の多角化や構造の見直しなども必要になると考えられます。

人材派遣会社は、紹介先の企業から得る紹介料の一部をスタッフの賃金とし、残りの紹介料を利益としています。利益を大きくするため、派遣スタッフの時給を上げずに中抜きをしている、というようなイメージが語られることもありますが、実際には人材派遣会社の営業利益率はそれほど高くありません。紹介料のうち直接スタッフの給料として支払われるのは70%程度で、残りの大部分も派遣人材の教育や社会保険料の支払い等にあてられ、多くの企業では営業利益率は1桁台に過ぎません。営業利益率を改善するためには、IT等の活用により業務の効率化を進めたり、派遣スタッフの教育カリキュラムを適切に整備して無駄を省いたりするほか、オフィスを都心から移転させて賃料を下げるといった方策も考えられます。実際にオフィス面積を減らしたり郊外へと転出したりする企業も増えてきています。

また、持続的な経営のためには事業の多角化も必要です。最近では人材紹介業も行う派遣会社が増えてきていますが、人材紹介は人材派遣とは異なり人材管理のコスト等を削減することができるため、利益率が高くなる傾向にあります。このように、人材派遣にとどまらずその他の事業に展開していくことで、営業利益率の改善を目指すことができる可能性があります。

 

 

 

M&Aを有効活用して事業拡大を図ろう

近年様々な業界で増加しているM&Aの案件ですが、人材派遣業界についても例外ではありません。M&Aを行うことで事業の拡大や効率化を図ることができるため、M&Aに関心を抱く人材派遣会社は増えてきています。

最近では人材派遣業でもスタッフの教育制度やスキル向上のためのカリキュラムを用意することが求められるようになっていますが、そうした投資についてはM&Aによる企業規模の拡大が効率的です。また、近年ではデジタル人材やIT知識のある人材など、一定の要件を満たす人材に対するニーズが強まっている傾向にあります。そのような人材紹介に強みを持つ会社とM&Aを進めることで、特定の業界に特化した会社として紹介料を上げたり、人材の質を高めたりすることができます。

バトンズは、国内最大級の成約実績を誇るM&Aの総合支援サービスを手がける会社で、スピードや紹介案件のボリュームなどに強みがあります。中でも人材派遣関連の企業の案件は数多く手がけているため、それぞれの企業のニーズに合った紹介や提案をすることが可能です。人材派遣業界においてのM&Aを検討している際は、バトンズにご相談ください。

まとめ

人材派遣業界はコロナ禍の影響を受け厳しい局面もあるものの、医療業界や運送業界など人手不足が問題になっている業界や、IT産業など今後も成長が見込まれる業界なども柱の1つとしながら、成長していくことのできる余地がある業界でもあります。

また、コロナが収束すると需要の回復や景気の拡大などの傾向が期待できるため、再び人材派遣のニーズが高まり、業界規模が拡大する可能性があります。事業拡大なども視野に入れてM&Aによる成長戦略を検討する際は、お気軽に一度バトンズまでご相談ください。

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