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東京オリンピックで日本の会社は増える?減る?オリンピックと開業・廃業の関係

2018年11月06日

▼東京オリンピックの開催まで2年が切りました。スポーツに関わる人もそうでない人も、期待や不安で非常に高い関心が集まっているかと思います。今回は日本の開業率と廃業率に視点を当てて、今後の日本の経済状況がどのように推移していくのかを考えていきたいと思います。

特に、2020年の開催に向け盛り上がってきている東京オリンピックに視点を当てて考察していきたいと思います。

 

期待される東京オリンピックが与える経済への影響とは

 

日本の開業率と廃業率の分析

 

下記のグラフは日本の開業率と廃業率の推移を示したものです。ここでは開業率と廃業率の推移を分析していきたいと思います。

 

参考:資料:総務省「事業所・企業統計調査」、「平成21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」、総務省「平成26年経済センサス-基礎調査」

青線:開業率/赤線:廃業率

 

① 廃業率

前回の東京オリンピックが開催された1964年から廃業率はおよそ20年ほどの間3~4%と低い水準で推移してきたことが分かります。1990年代に入り、「バブル崩壊」を境に廃業率が跳ね上がりました。

景気は回復してきているといわれますが、バブル崩壊後6~7%という高い水準で廃業率は横ばいで推移しています。

 

② 開業率

前回の東京オリンピックが開催された1964年から開業率は高度経済成長の後押しを受けて急上昇してきました。その後バブル崩壊まで開業率は7%から4%かで穏やかに下降してきたことが分かります。

特筆すべきは、バブル崩壊後から「開業率<廃業率」と基本構造が変化したことが挙げられます。

 

参考:日経平均推移

 

また、開業率は景気が上向いた時期に高まりやすいように思われます。開業率が上昇している時期と、日経平均株価が高く推移していた時期が重なっていることが見てとれます。

 

③ 日本の開業率と廃業率の推移

上述のことから、日本において廃業率は景気に左右されることなく、長期的に上昇傾向を示していることが分かります。

また、開業率は景気の影響を受けることが示唆されました。

このことから、今後の日本の廃業率と廃業率を考えていく場合、廃業率と廃業率を別々に分析する必要がありそうです。

 

今後の日本の開業率の推移

 

では、まず開業率からみていきましょう。今後の日本の開業率を考えるうえで重要なことは、今後の日本の景気の状況です。現在はアベノミクス効果や2020年に開催される東京オリンピックの特需もあり、株価も景気も上昇しています。問題となってくるのは東京オリンピック後の景気状況だと考えます。

 

① 東京オリンピックがもたらす経済効果

 

東京都のオリンピック・パラリンピック準備局が公表した資料によると、およそ32兆円もの経済波及効果があるとの試算がなされています。

問題は2020年東京オリンピックの開催後になります。前回の東京オリンピックが開催された1964年のケースでは翌年大きく景気は落ち込み、東京商工リサーチの全国企業倒産状況によると倒産件数は1963年の1,738件から6,141件と大幅に増加しています。

今回もこういった大きな不況が起こることは当然想定されています。ですから、現在好調に推移している開業率ですが、東京オリンピック後は低迷すると予測されます。

 

② 日本の起業に関する関心も重要

参考:ランスタッド「ランスタッド・ワークモニター」調査結果 https://www.randstad.co.jp/wt360/archives/20170511.html

 

上記は総合人材サービスのランスタッドが行った世界33か国の意識調査です。日本は33か国中トップの7割の層が「起業したくない」と答えています。

 

参考:ランスタッド「ランスタッド・ワークモニター」調査結果 https://www.randstad.co.jp/wt360/archives/20170511.html

 

また逆に「起業したい」と思っている層は世界平均の半分以下と日本人の起業意識の低さがうかがわれます。

景気がオリンピックの反動で低下してしまうことに起因するのみでなく、そもそもの日本人の「起業」に関する意識を改善していかない限り、今後も開業率を高めていくことは難しいように思われます。

このように、開業率には構造的な問題が横たわっており、官民が協力して向上に取り組んでいかないと日本の将来は危ぶまれます。

 

今後の日本の廃業率の推移

 

長期的に上昇してきている日本の廃業率ですが、今後はどのように推移していくのでしょうか?日本の人口ピラミッドと産業構造の変化から推察していきたいと思います。

 

① 日本の人口ピラミッドからの考察

参考:総務省統計局HP「我が国の人口ピラミッド」 http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0402.html

 

2020年には、戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代の人々が全員70歳以上になり大部分が現役を引退すると考えられます。また中小企業の経営者も高齢化が進み跡継ぎ不足の問題が表面化してきています。

人口ピラミッドから日本の廃業率を考察した場合、2020年の東京オリンピック後、急速に廃業率が高まることが容易に予測されます。

 

② 産業構造の変化からの考察

現在日本ではM&A(身内以外への事業承継)が急速に広まってきています。前述したように中小企業の経営者の後継ぎ不足が中小企業のM&Aを加速させている要因だと考えられます。近年は個人(サラリーマン)が会社を買うことのできるインフラも整いつつあり、M&Aの広がりは廃業率、開業率の双方にプラスの影響を与えるかもしれません。

 

今回は2020年に開催される東京オリンピックと日本の開業率と廃業率の関係を様々な資料を調査・分析することで考察してきました。結果としては、今後も大きなテコ入れをしなければバブル崩壊から続く「開業率<廃業率」の構造は変化しない、むしろ廃業増、開業減の傾向が強まるとも思われます。社会全体、官民を挙げて意識改革を行っていくことが必要なのです。

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