
バネの製造販売メーカーに長年勤めていた豊橋様(仮称)。定年退職後、当時の同僚と起業し、バネの受注生産事業を始められました。精力的に営業活動をされ安定した経営を続けてきましたが、体力の限界を感じ2019年7月に同じくバネを扱うメーカーの新オーナーに株式譲渡。一年に及ぶ引継ぎ期間を経て、現在は円満引退されています。
地道な営業のお陰で安定経営を維持してきたバネの総合メーカー
豊橋様が起業されたのは定年後の2004年。定年以降も働くことを望んでいましたが、このまま会社員を続けるよりも起業したほうが将来性があると考え、当時仲が良く同時期に定年を迎えた同僚と共にバネメーカーを創業しました。
豊橋様が取引先の新規開拓営業を行い、同僚が仕入れを担当、奥様は会社勤務しておられましたが、創業を機に退職されバネの検品・出荷作業を担当するようになりました。前職の経験と人脈を頼りに10社ほどのバネ生産協力会社のネットワークを築き、鍵や筆記具に使われる超極細バネから、家電や自動車に使われる太いバネまで、特殊製品にも対応したあらゆるサイズの生産を請け負う総合メーカーへと成長。
リーマンショック時には一時低迷したものの、一年ほどで持ち直し再び業績は軌道に。実直に営業を続けてこられたお陰で継続的に受託件数も伸び、長年安定した経営を続けてこられたそうです。
2017年頃から体力の限界で新規開拓が厳しく・・・証券会社に事業承継の相談
とはいえ豊橋様もご高齢になり、新規開拓のため営業先に足を運ぶことが少しずつ困難になってきていました。2017年以降はほとんど新規の取引先を獲得することができず、赤字が続いていたといいます。
会社をたたむか、誰かに事業承継するか・・・。
豊橋様には娘様がいましたが、親族への事業承継は望まれていませんでした。
「だんだんしんどくなってきていまして。最初は身内に事業承継することも考えていましたが赤字になりだしてからは身内に譲るのはダメだなと思って。一人娘がいるんですが女の子にこの事業を継がせるのは忍びない。仮に娘婿が跡を継いでくれたとしても、もし上手くいかなかったらと思うと・・・。それに、その職業に慣れた人でないと承継するのは難しいんですよ」。
そんな折、お付き合いのある証券会社に相談を持ちかけ提案されたのがM&Aです。M&Aで最適な後継者が見つかれば廃業する必要がないうえに、長年仕事を発注してきた生産協力会社との取引も引き続き維持され彼らの仕事が守られる。
証券会社を通じてバトンズを知った豊橋様は早速、事業内容をバトンズ上に掲載し買い手の募集を始められました。
後継者探しをバトンズで開始後、アドバイザーから毎日のように連絡が
実際にM&Aを行うにあたっては、お相手との交渉から契約締結までのすべての実務を売り手に代わって実行するM&Aアドバイザーの今村さんに依頼しました。
すると掲載して間もなく、続々と候補者から連絡が来るように!
「嬉しいことに毎日のように今村さんからメールがきて、買い手候補者から問い合わせが来ていますがどうされますかと。その中から2社だけ、面接をさせてもらったんです。そのうちの一社は親子でバネの製造販売の会社を経営している方でした。共通点があり、資金力もある。最終的にその親子にお譲りすることにしました」。
M&Aを行ううえで重要条件であった生産協力会社との取引継続も、新オーナーが約束して下さったお陰で安心して会社譲渡することができたそうです。「まったくの同業者に譲ってしまうと値下げのため取引を切られてしまう懸念があったのですが、新オーナーの場合はそうした心配がなかったのも決め手でした」。
信頼できる親子に会社譲渡。引継ぎ期間はなんと1年!顧客のあらゆる要望に応え続けたからこそ重宝された
無事に後継者が見つかったら最後は引き継ぎを行わなければなりません。なんと、買収するにあたって新オーナー家族は豊橋様のオフィス近くに引っ越しをされ、事業引き継ぎを行われたとのことです。“慣れた人でないと難しい”と豊橋様が語るように、今までやってこられた事業を承継することは簡単なことではなかったようです。
「小物から太物まで受注生産になりますから、なかなか難しいところがあるんです。規格品はないので図面をもらったらそれを検討して発注し、納品されたら検品作業を行い、合格したものだけを出荷する。一連の工程を引継ぐのに1年かかりましたね」。
こうして引き継ぎ期間を終え、2019年7月末に無事M&Aが完了しました。
豊橋様は現在引退され、同僚と奥様は新オーナーのもとで引き続きお仕事をされています。
「引き継ぎは終えたのであとは新オーナーのやり方を尊重し、今まで通り事業を継続していただきたいです。今回のM&Aで今村先生には何から何まで対応してもらって、本当に世話になったと思っています」。
取引先との関係や従業員の雇用も守られ、やっと肩の荷が下りた豊橋様。円満引退することができてよかったですね。
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