▼起業して10年後も会社が残っている確率は10%にも満たないと言われています。一方で日本には創業100年以上も続く会社が3万社以上存在していて、世界トップクラスに老舗企業が多い国だと言われています。しかし、その老舗企業が今、“あとつぎ”を探しています。
起業するならば、自分でノウハウもコネもない所から始めるのではなく、老舗企業の後継ぎになって、第二創業者になる起業の仕方もあります。本記事では老舗の後継ぎになることの魅力について説明します。
新規起業のほとんどが失敗する理由
まず、老舗の後継ぎになる魅力を説明する前に、なぜ新規の起業がほとんど失敗してしまうのかについて説明します。実は、新規の起業が失敗しているのはほとんど次のような理由が原因です。
起業の生存率は、創業から5年後は15.0%、10年後は6.3%。20年後は0.3%と言われます。
起業は転職ではない
まず、社長は社長という仕事であって、営業が得意や経理とは全く別のスキルが要求されます。つまり、社長になりたいのならば社長候補として経験を積むべきなのです。事業承継する会社では、いきなり次世代の社長に交代するのではなく、まず現場から徐々に会社のことを知って、経営層として経験を積んでから社長交代をするのが一般的です。
社長及び経営層として会社経営に携わったことのない人材はどうしても起業してから場当たり的に勉強するしかありませんので、苦戦することが多くなります。
新規企業は「お客様」「ノウハウ」「人材」がない
そして、仮に会社の経営層として事業に関わった経験があったとしても、上手く会社が軌道に乗せられるとは限りません。事業を軌道に乗せるのはお客様、ノウハウ、人材が必要だからです。
① お客様
まず、事業を軌道に乗せるために最も重要なのはお客様を確保することです。お客様の数を安定させなければ売上は安定しません。そして売上が安定しなければ事業も安定しません。例えば、町中のお酒や料理にあまりこだわらず提供するスナックが潰れないのは、そこに通う常連客がいるからです。
起業した場合にまず重要なのはお客様の心を掴むことですが、多くのビジネスはお客様の心を掴むことができなくて失敗してしまいます。
② ノウハウ
例えば、まったく縁もゆかりもない土地で飲食店を開業したと想定します。おそらく、マーケティングによってはじめのお客様を集めることになりますが、そこで「美味しい」や「居心地に良い空間」だと思われなければおそらくリピートしないでしょう。これがノウハウです。
新規でお客様を呼ぼうと思えば、競合にはないノウハウが必要になります。飲食店で言えば、料理人の技術や、レシピ、材料の仕入れルート、居心地の良い接客、空間づくりなどがノウハウにあたります。起業したての店は競合と比較してノウハウが無いことが多いので、競合に競り負けてしまうのが事業が軌道に乗らない理由の1つです。
③ 人材
人材も重要です。事業は一人だけでは運営できません。事業を大きくするためには社員を雇う必要があります。しかし、どこの企業も人手不足なので、立ち上がったばかりの企業でわざわざ働いてくれる社員を探すのは大変ですし、雇った社員がきちんと会社に利益をもたらせてくれるかはわかりません。
お客様やノウハウがあっても人手が集まらなかったり、良い人材に巡りあえなかったりして事業を拡大できない企業もあります。
また、上の3つの要素を満たしていたとしても、事業が軌道に乗るかは運の要素もあります。例えば、従業員にお金を持ち逃げされて運転資金が無くなって倒産するかもしれませんし、倒産寸前の状態からメディアなどにとりあげられて起死回生に成功するかもしれません。いくら事前に準備をしても事業の成否の占いは誰にもできないのです。
一握りの経営者しか成功は掴めません。
②へ続く…
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